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第37話:目覚める小剣

サーシャが完成させた小剣は、柄を取り付けた後も、その生物的な脈動を止めることはなかった。


鞘に納められたはずの刃から、かすかに青白い光が漏れ、微細な振動が手のひらに伝わる。まるで、まだ完全に眠りについていないかのようだった。


「……これ、本当に剣なのか?」


俺がぼそりと呟くと、リーナも慎重に距離を取りながらそれを見つめる。


 「私も、こんな武器は見たことがないわ。でも、魔鉱石を鍛えると、時々こういう『異質なもの』が生まれるって話は聞いたことがある」


サーシャは息を整えながら、小剣を鞘からゆっくりと抜いた。


シュル……


刃が露わになると、血管のような模様が青く脈打ち、裂け目の奥の目玉が再び開いた。ギョロリと視線を巡らせ、最後にサーシャをじっと見つめる。


「……気に入られてる、のか?」


俺が冗談めかして言うと、サーシャは苦笑しながら頷いた。


「たぶんね。でも、もしこいつが何か意思を持ってるなら、まずは使い方を理解しなきゃ……」


その言葉と同時に、ギルドの職人たちも興味深そうに近づいてくる。


「おいおい、あれ、本当に鍛えたのか?」


「まさか生きてる武器が生まれるとはな……」


職人たちのざわめきの中、ゲロリンギョスさんが前に出た。


「お前の鍛冶が、新たな可能性を生んだようだな」


彼の言葉にはいつも以上に重みがあった。


「だが、その剣の本質を見極めるには、ただ持っているだけじゃ足りん。試し斬りをして、その力を確かめてみろ」


サーシャは剣をしっかりと握り、深く頷いた。


「わかりました」


こうして、異質な小剣の力を確かめる試し斬りが始まるのだった。

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