第28話:戦闘の余波
白い粉がまだ空気中に舞っている中、俺は荒い息を整えた。
「な、なんだ今の……?」
リーナが目を丸くしながら俺を見つめている。
野党の少年たちは完全に混乱し、視界を奪われながら逃げ散った。数人が咳き込みながらよろよろと森の奥へ消えていく。
「おい、無事か?」
ガルスが駆け寄ってきた。彼の服も白く粉まみれになっている。
「……なんとかな」
俺も肩で息をしながら答えた。
護衛の仲間たちは戦闘のダメージを確認している。数人が軽傷を負っているが、致命傷を負った者はいないようだ。
俺は地面に転がった消火器を拾い上げた。赤い筒の表面が白く汚れている。
「透……本当に、さっきのは何だったの?」
リーナが慎重な口調で聞いてきた。
俺は地面に転がった消火器を拾い上げながら、説明を始めた。
「これは消火器っていう道具だ。火事になったときに使うもので、中に詰まっている粉が火を抑えるんだ。まあ、今回は敵の目潰しに使ったけどな」
リーナは興味深そうに消火器を眺める。「そんな便利なものがあるの?」
「俺の国ではどの家にもあったよ」
「なるほど……透の力、面白いね!」リーナが笑顔を見せた。
「とにかく、無事に進むしかないな」
ガルスが荷馬車の再点検を終えると、旅の再開を促した。
俺たちは気を引き締め、次の目的地であるカミカムの街を目指すのだった。