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第14話:呪いの影と新たな出会い
リーナの監視のもと、俺はしばらく市場を歩いていた。人々の喧騒が響く中、俺は異世界での生活に少しずつ馴染んできているのを感じる。
「透、本当に何も感じない? 体が勝手に動くとか、変な音が聞こえるとか……」
リーナがしつこく聞いてくる。
「何もないって。呪いなんて迷信だろ?」
俺は苦笑しながら答えたが、リーナは納得していない様子だった。ふと、視線の端に妙な光景が映る。
「ん?」
市場の通りの向こう、少し外れた広場に人だかりができている。中央には、長い金髪をなびかせた一人の女性が立っていた。
「……すごい美人だな」
思わず呟くと、リーナがじろりと俺を睨む。
「ちょっと、何見てるの?」
「いや、なんか注目されてるみたいだから気になって」
彼女は淡い青のローブを身にまとい、手には杖を持っている。雰囲気からして、魔法使いだろうか?
「透、行くよ!」
リーナが俺の腕を引っ張る。彼女の表情が妙に真剣だった。
「え、なんで?」
「なんかあの人、只者じゃない感じがするの!」
俺たちは人混みをかき分け、女から離れた。