ファンアートの御礼 ミコの日常
これは騒音の無い世界様よりミコのファンアートを描いていただいたお礼です。
時間軸は403話以降〈大陸支配編終了後〉です。
では、お楽しみください。
大陸の支配も終わり、私は暇つぶしに魔王城の宝物庫を訪れていた。
魔王城には貴重なものや高価なもの、非常に危険なものがたくさんある。
そのため、宝物庫もたくさんある。
今私が訪れているのはその中でも神器が集まっている部屋だ。
シンが創ったものには劣るけれど、神器に相応しい威力や効果なものが山ほどある。
その中から何か面白そうなものがないか、探しているのだ。
目についたものを適当に『超鑑定』していく。
「あ、これいいじゃない」
私は一つ、面白そうなものを見つけた。
「せっかくだし、皆の前で使おっと」
私は見つけた神器を持って、上機嫌に宝物庫を出るのだった。
シン視点
「それで、宝物庫から引っ張り出してきたと」
「うん」
俺は今リビングでユアとユイと三人でくつろいでいた。
魔王城の面子は基本的に部屋かリビングにいる。
リビングなら大体誰かいるから雑談もできるし、リビングにはいろいろな本やら軽食やらが置かれている。
勿論ある家具は全て最高級品だ。
まぁ、魔王城にある家具で最高級じゃないものなんて、牢屋とかにある意図的に質を悪くしてるものしかないが。
そんなわけで俺も例にもれずリビングでくつろいでいると、ミコが元気よく入ってきた。
何でも、宝物庫から面白い神器を引っ張り出して着たらしい。
俺と約束をしてから、今まで以上にずっと上機嫌だ。
「それって、猫耳?」
「当たらずしも遠からずってところかしら」
ユアがミコに聞く。
ミコが持ってきた道具はどうみても前世でよくパーティーグッズとしてあった猫耳だった。
ただ、異様に耳の再現度が高く本物のようだ。
ぶっちゃけ、俺自身も魔王城にどんなものがあるかなんて全ては把握していない。
というのも、魔王軍が国を完全に滅ぼす時は滅ぼす前にその国の貴族、王族、商人などの所持している宝物を出来るだけ回収する。
消し炭になってはもったいないからな。
ちなみに、実は大陸を支配する時の戦争でも実はそれをしていた。
というのも宣戦布告期間中にヨル、ガーナ、レイメスが中心となってそれを実行していたのだ。
自分の担当範囲外のところもだ。
おかげで、更に物が増えた。
場所はいくらでもあるから、別に構わないが。
国がスムーズに滅びたのも、それが一役買っている。
まぁ、つまり戦争に有用な魔剣や魔道具、アーティファクト、神器、更には金すら盗まれていたのだ。
金がなければ、戦争なんて出来ない。
おまけに城に仕掛けてあった、結界の魔道具とか即死を防ぐ魔道具とかもある程度回収していたらしい。
宣戦布告しておいてと思うかもしれないが、今回に関してはマジで知らなかった。
まぁ、どうせ滅びたしいいんだけど。
皆、回収したものが何か判断してちゃんと指定の部屋に置いくんだが、いちいち記録をつけたりしないので何があるのか本当に分からないのだ。
ちなみに、大陸を支配する戦争で魔王国は賠償金なんてなかったが大量の金を得た。
当然だろう。
この大陸で出回る金の額面にして約99%を回収したのだから。
さて、だいぶ話が逸れてしまったがミコの持ってきた神器だ。
「それで、どんな効果の神器なんだ?」
「それは、見てのお楽しみ。それじゃっ使うわよ」
そう言い、ミコは自身の頭にその神器を装着した。
その瞬間、ミコの姿が光り出す。
「なんだ?」
「まぶしっ」
光が収まると、そこには。
「どうかしら?」
猫耳を生やし、お尻のあたりから尻尾が生えているミコがいた。
「尻尾どこから出てきたの?」
「っていうか、猫耳の色変わってない?」
ユアとユイからの鋭いツッコミが届く。
ふむ、見たところ耳も尻尾も本物に見える。
普通なら冗談みたいな答えだが、神器なら全然あり得る。
「一時的に種族を変えることが出来る神器か」
「さすがシン。ご名答。これは装備者を猫の獣人に変える神器。可愛い?」
「とっても可愛い」
「後で貸して」
「勿論いいわよ」
「そうだ。写真撮っても?」
「勿論」
「いいわね。私も撮りたい」
そうして俺達は『無限収納』からカメラを取り出してミコの写真を撮りまくった。
たまに、猫耳も尻尾もゆらゆら動くのが可愛い。
ミコもノリノリで色々なポーズをしてくれた。
一通り猫に合うポーズの写真が撮り終わった後、ユイが。
「どうせなら、服も変えない?」
「いいわね」
ということで、更に別の服でも撮っていく。
『ドレスチェンジ』があるので、服を替えるのに時間はかからない。
何故かリビングにあったメイド服に、災姫、学園の制服など様々な服を着てもらった。
どれも最高に猫耳とあって可愛かった。
「ねぇねぇ、シン」
「何だ?」
「和装ってこの世界にないの?」
ユアが聞いてくる。
「残念ながら聞いたことはないな。少なくともこの大陸にはない」
「残念。ミコに似合いそうなのに」
「二人とも、待て。俺を誰だと思っている?」
俺は『創造』を使って、記憶にある着物を創り出す。
「ないからと言って、着せられないというわけじゃあない。ないなら創ればいい」
「シン、その服は?」
「俺達の前世で行きていた国の、何と説明すればいいんだ?」
「伝統衣装? 的な奴よ。あんまり気にしないでとにかく着て」
「了解」
そうして、ミコは『ドレスチェンジ』で着物に着替えた。
俺が用意したのは赤い着物、その赤はミコによく似あっている。
俺達は再びシャッターを押したのだった。
2時間後
撮影会は終わった。
着物以外にも様々な和服を着てもらい、ポーズを撮影した。
今は着物に戻って俺が『創造』で創った和菓子を食べている。
団子、餅、八つ橋などなど様々だ。
「楽しかった」
そうしてミコが生えている猫耳に手で触れて魔力を流した。
その瞬間、ミコの姿が再び輝きだしミコの尻尾が消え猫耳は神器の姿となった。
「それじゃあ、ユイ」
「ありがと」
ミコは約束通りユイに猫耳を渡した。
「それじゃ、お姉ちゃん。部屋に戻ろ」
そうして二人は部屋に戻っていった。
「そう言えば、そういう種族を一時的に変えるような神器って他にもあるのか?」
「あるんじゃない? 場所は分からないけどいつぞやに犬耳を見たから、多分どこかにあると思うわ」
結局、猫耳ミコの写真は魔王城内で出回り後日第二回獣耳撮影会が行われたのはまた別の話。
???
ゼロがいなくなった。
滅ぼされた。
あり得ないことだ。
あり得ないことが起きている。
魔王様に深い忠誠を誓っていたものほど、表情は暗い。
逆に、野心が強く魔王様への忠誠心が浅い者は普段通りだ。
何なら普段よりも上機嫌な奴すらいる。
ゼロがいなくなり、魔王位継承権第一位であった私が魔王国の王となった。
セイを含めた幾人かは転生するらしい。
私は何も考えていなかった。
ただただゼロがいない無味乾燥な日々を歩んでいるだけ。
ゼロは帰ってくる。
今の私はそれを信じるしかない。
信じなければ、自分が壊れてしまう。
私は今日もただただ玉座に座って過ごした。
ここに座れば少しでもゼロを感じれる気がするから。
ふと、窓の外を見た。
私は無意識的に普段出さない羽を出して、空を飛んだ。
そして気づけば、元々吸血鬼の国があった場所。
私とゼロが出会った場所に来ていた。
周りには誰もいない。
私は一人だ。
孤独には慣れている。
慣れて、いるはずだ。
「ゼロ」
気づけばその名を口にしていた。
「何故ゼロがいない?」
神に滅ぼされたからだ。
「ゼロが負けた?」
あり得ないだろう。
「敵、敵だ」
そう、ゼロには多くの敵がいた。
敵が一つなら、問題なかったのだ。
たくさんいたから駄目だったのだ。
「私からゼロを奪ったのは?」
邪神オースト。
ゼロによって殺された神だ。
その他にもたくさんの最上級神がゼロの敵だった。
それがいけなかったのだ。
「ゼロの、敵」
そうだ。
例えゼロがこの世界に戻ってきてもゼロの敵がいれば、また同じことになってしまうかもしれない。
「どうすればいい?」
滅ぼせばいいのだ。
敵は滅ぼす。
ゼロから教えて貰ったことだ。
そして、私の得意なことだ。
「あは、あははははは」
あぁ、愉快だ。
全く、面白い。
最高じゃないか。
「ゼロの敵は私が、滅ぼす」
二度と同じことを起こさないために。
自問自答の答えは出た。
後はそれを実行するだけ。
魂から膨大な魔力が溢れ出す。
「とりあえず、神は滅ぼすでしょ」
ゼロの敵だ。
ゼロを滅ぼしうる存在だ。
なら、そんなのいらない。
「邪魔な人間も滅ぼすでしょ」
あんな弱者、ゼロには不要だ。
だが、いれば面倒しか生まない。
ゼロの安全を確保するには、そんな奴に構っている暇はないのだ。
「魔族もいらない」
人間よりも強いけど、所詮私達からすればどんぐりの背比べだ。
ゼロの庇護を受けておきながら、恩に仇で返すゴミ。
平気でゼロを裏切ろうとするゴミだ。
いらない、面倒を減らすためにも滅ぼしておくべきだろう。
「ってなったら、もう人類いらない?」
エルフも獣人もわざわざ生かしておく必要なんてない。
「天使と悪魔と精霊もいらない」
あの程度の生物に戻ってきたゼロが負けるとは思えないけど、あれらは人類より強い。
脅威になりうるのならば、滅ぼしておこう。
まぁ結局、私がやるのは。
「世界滅亡」
今までの私なら難しかったかもしれない。
でも、今の私になら出来る。
だって、私はゼロの代理。
魔王国の王。
魔王なのだから。
そこからの私の動きは速かった。
まだ魔王城にいたゼロが信頼していた配下である、ルミネス、シェール、レイメス、ヨル、リーフェ、ガーナ、アンデスにのみ私の計画を伝えた。
皆、賛同してくれた。
協力すると言ってくれたけど、それは断った。
私ひとりで十分だ。
私が皆に願ったのは一つだけ。
私の魔王城の中にいてと。
世界滅亡を果たすために、私は一つ魔法を使う。
それによって、全てを滅ぼしつくす。
だけど、魔王城内なら私の魔法に耐えることだって出来る。
私は魔王城の改装をすると言って、計画を伝えた面子以外を城の外に出した。
これで、私の魔法から逃れられるのはゼロが信頼している配下だけだ。
私は魔王城の上空で自分の羽で飛んでいる。
『全ての生きとし生ける者よ……』
私は詠唱を開始する。
それと同時に魔法陣を編んでいく。
この魔法は私がまだ魔王軍に入りたての頃、ゼロと二人で創った魔法だ。
この魔法を『魔法創造』で創って、魔法陣を二人で一週間かけて描いた時ゼロは言った。
「俺にはきっとこの魔法を使うことは出来ない。だが、お前なら使えるかもな」
そう、ゼロが言ったのだ。
私なら使えると。
そして、それを今日。
私は確信に変えた。
魔法神の加護を持ち、世界で最も魔法に精通し、魔王の力を得た私ならこの魔法を使えると。
丸1日かけて魔法陣を描いた。
詠唱もこれが最後だ。
『我は魔王、ミコ・エンド・クリエイトブレイクである』
さぁ、終わりの時間だ。
魔法名を紡げば、魔法は発動する。
この魔法の魔法名は決めていなかった。
だけどすぐに思いついた。
それ以外ないと言えるほど、最高の名を。
さようなら、私からゼロを奪った報いだ。
『全属性複合始原級魔法『コラプス』』
世界が光り出し。
周囲が光りに包まれる。
10秒ほど経った後、光が徐々に収まった。
さすがに魔力がすっからかんだ。
地面を見るがそこには魔王城だけがあり、街も森も全て綺麗さっぱりなくなっていた。
周りに人っこ一人いない。
魔法は確実に発動した。
成功だ。
確認したわけじゃないが、この日。
私達を除く全ての人類、神、悪魔、天使、精霊が滅びた。
残ったのは私を含めて、ゼロに忠誠を誓う数人だけ。
最高じゃないか。
これで、ゼロがいつ戻ってきても問題ない。
準備は整った。
後は、私達以外誰もいない世界でゼロの帰りを待つのだけだ。
「がはっ」
私は思わず、飛び起きた。
「今のは、夢?」
私は人生で夢を数える程しか見たことがない。
だが、ここまで寝覚めが悪いのは初めてだ。
「私が眠らず、世界を滅ぼした世界線か」
私はこの夢に心当たりがあった。
ゼロがこの世界を去った後、一度世界を滅ぼそうと思ったことがあったのだ。
結局やめたけれど、もしやめなかったらこうなっていたのかもしれない。
まぁ、でもしなくてよかったかもしれない。
だって……
「今が幸せだし」
そう、今の私は幸せだ。
心の底から満たされている。
なら気にすることなんて何もない。
でも、ちょっと怖かった。
以前も一度だけ見たことがあった、ゼロがこの世界を去っていた頃の夢は気分が悪い。
ゼロが私の傍にいない。
その事実は吐き気を催すほど最悪なものだ。
そんな状態を夢であろうと体験すれば、気分は最悪になる。
もし、契約がなければ恐怖すら覚えたかもしれない。
「シンに癒してもらおっと」
そうして、私はシンの部屋に突撃した。
シンは快く迎えれ入れてくれた。
「どうしたんだ?」
「ちょっと、夢見が悪くて」
私はシンに抱き着く。
「そうか」
シンはそっと抱きしめ返してくれた。
「シン、血を吸っていい?」
「いいぞ」
シンは抵抗しない。
私はそれに満足して、シンの首筋に歯と突き立てる。
極上の血。
これを飲むだけで、心が安定していく。
安心する。
やっぱり、世界を滅亡させる必要なんてない。
そんなことしなくても、シンは帰ってくるしシンに愛してもらって、シンの血を吸って、こんなに多幸感を得ることが出来るのだから。
今日の吸血は普段と違い、ハグされながらだ。
最高すぎて、普段よりも強く吸ってしまう。
「ミコ、長くないか?」
(まだまだ、今日はどれだけシンの血を吸えるか限界に挑戦してみたいから)
私は吸血を一瞬でもやめたくなくて『念話』でシンに言葉を伝える。
「まぁ、やることもないし。好きにしろ」
そうして私はひたすらにシンの血を吸い続けた。
3日後
「ぷはっ」
私は吸血をやめた。
これ以上は私の身体もシンの身体も限界だ。
吸血には快楽が伴う。
シンも私もレベルにより、肉体的な疲労を覚えることは基本的にない。
だが精神的な疲労は普通にある。
快楽をずっと流しっぱなしというのは、気持ちいがそれと同等以上に精神的に疲労する。
これ以上続ければ、どちらかが快楽で気絶するところだった。
「はぁはぁ」
シンもさすがに疲れたらしく、疲労を隠していない。
「シン、ご馳走様」
「さすがに疲れた。俺は寝る」
さすがのシンも快楽による精神疲労と永遠と血を抜かれ続けるのはしんどいのだろう。
というか、抜いてる血の量的には常人なら数千回出血多量で死に至るレベルだし、肉体も多少疲労しているかもしれない。
「私も寝るわ」
シンの傍に添い寝する。
「悪夢は気にならなくなったか?」
「えぇ、完全に」
私は『完全記憶』のスキルがあるから、自然とモノを忘れることはない。
勿論、魔法とかで無理やり忘れることもできるけれど。
その悪夢のおかげで、シンとの最高の時間を過ごすことが出来たのだ。
だから、もう忘れる必要もないだろう。
シンは私の傍にいて、周囲が平和で、私は幸せなのだから。
改めまして。
騒音の無い世界様。
ミコの素晴らしいファンアートを描いてくださり、本当にありがとうございます。
これからも本作を楽しんでいただければ幸いです。




