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ヨージの力

 時は経ち、この世界で四歳になった私は全く痛みのない体に感動を覚えて遊びまわっている。


 地球では自分の事は自分でしていたのだが、正直に言ってしまうとあちこちが痛くて仕方がなかった。具体的には手も上がらなければ、節々が痛い。わかるかな?


 しかし今、正に四歳の体を持っている私はどこも痛くないし、全力で長時間動き回れるのだ。


 フフフ、素晴らしい!これだけで想像以上の能力を手に入れたと言っても過言ではない。


 元お爺ちゃんとバレないようにしなくてはいけないのがつらい所ではあるのだが、段々と演技ではなく本当に子供として振舞えるようになっている。


「お母さん、()ちょっと森に遊びに行ってくるね」


「気を付けて行くのよ、ヨージ」


 相変わらず奇麗な母親、いや、前の私の妻の方が奇麗だったが、同じような雰囲気の優しい女性に心配してもらえるとは嬉しい限りだ。


 そして私の名前、最近聞いたところによると両親ともに夢にこの名前が出てきたとの事で、恐らく炎さんが何か干渉してくれたのだろう。


 若干発音が異なるが、地球と同じ名前で呼んでもらえているので違和感なく過ごす事が出来ている。


 森に入って母親が見えなくなると……全力で移動する。


「お待たせ、ラーカ。今日も沢山遊ぼうか!」


 返事はないが、とても喜んでいる事が伝わってくる目の前の少し大きめの鳥。


 地球で言えばカラスが近いので、何となくカラス、スラカ、ラカ、ラーカと発展して名前が決まった。自分の中では中々イケてると思っているけど、どうだろうか?


 カラスと比較すると同じように見かけは黒いけど、大きさはかなり大きい……と言うより、羽を閉じた状態で四歳の私とあまり変わりのない大きさだ。


 このラーカは私が森に入って一人で遊んでいた所、羽を怪我していた状態で大人しくしているのを見つけたのだが、どうやら動けない為に相当衰弱していたようなので餌を与える事にして、周囲の小さな獣を捕らえて与えた結果、懐かれた。


 その行為が自分の力になるとは思わなかったのだが、結果的に炎さんが言っていたように、後天的に結構な力を得る事が出来ている。


 今の私が持っている能力は、炎さんの言っている最大レベルが10という情報を考慮するとかなり良いのではないだろうかと自分では思っている。でも、身の丈……


 まぁ、そう苦労せずに得る事が出来たのだから、今の自分にしてみれば身の丈に合っていると考えた方が良いだろう……と思う事にしよう。


 もちろんこの力、今の所は父さんや母さんに伝えるわけには行かない。

 この世界の常識が分からないのだから。


名  前 ヨージ

種  族 人族

能  力 身体強化 レベル6

操  術 レベル5

鑑定眼  レベル5

回復魔術 レベル6

気配察知 レベル6


 身体強化は、餌を探し回って全力で動き回っている時に得たらしい。

 操術は、ラーカに懐かれて遊んでいるとこうなった。

 鑑定眼は、ラーカの状態が心配で見続けていたら出来るようになっていた。

 回復魔術は、ラーカの羽を何とかしたいと優しく撫でていたら、治す事が出来ていた。

 気配察知は、餌を探すために集中したら取得したようだ。


 ラーカの為に動いた結果、何故か何の苦労もせずにここまでの力を得てしまっていた。


 そもそもこのラーカと遊ぶにも身体強化がないとうっかり骨折したり、内臓破裂してしまったりするレベルで間違いないだろうと、今冷静に考えれば理解できる。


 私は父さん母さんの前では大人しくしているけれど、どう見ても普通の人が移動できる速度ではない速さで動けるし、この間は転んで手をついた所の石が砕け散っていたのに怪我が一切ないし……


 あの場所にいたあの三人はこんな力を最初から三つ、いや、私の力を均等に奪ったようだから四つを持って同じようにこの世界で生活しているのだろうか?


 余計なお世話と言われるかもしれないが、力に溺れていない事を祈るばかりだ。


 そんな私のこの世界での友達ラーカは、鑑定で確認すると、こうなっている。


名  前 ラーカ

種  族 黒炎鳥(厄災級)

能  力 千里眼   レベル7

     飛翔術   レベル7

     隠蔽魔術  レベル6

     炎魔術   レベル9

     身体強化  レベル8

状  態 ヨージの眷属


 なんだかとっても強そうな種族だけど、ついでに恐ろしい級もついている……のは無視しよう。


 自分の鑑定眼以上のレベルが見えるのは眷属だからだろうか?魔獣や能力の話を父さん母さんにすると心配して森で遊べなくなる可能性があるので、機会があれば黒炎鳥について調べてみるのも良いかもしれない。


「じゃあね、ラーカ。また遊ぼう!」


 声は聞こえないが、少しだけ寂しそうな、残念そうな感情が読み取れる。


「フフ。ラーカ、またすぐ来るよ!」

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