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洋二の新たなスタート

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『そ、そんな……そんな事って』


 恐らくあの三人、いや、全員ではないかもしれないが、言われた通りに三つの力ではなく私の分の力も欲をかいて持って行ったのだろう。


 本当に浅ましい。


『も、申し訳ありません、洋二さん。こんな事になるなんて……私には、これ以上あの水晶は出せないのです。まさかこんな事になるなんて。魂の適合性で選んだあの三人ですが、性格までは考慮できないのです』


 炎さんの言い分では、恐らく三人共に私の能力を奪ったのだろう。


『はい。誰がいくつ能力を得たか位はここからでもわかります。あの三人は、水晶四つ分の能力を持っています。向こうに行ってしまってはこれ以上の情報は得られないので、誰が何の能力を得たかまではわかりませんが……』


 私が喋るつもりがない事も、心で思っている事が分かってしまうので回答してくれる炎さん。


 表情は外観が炎の様のものなので知る由もないが、怒っていつつも私に申し訳ないと言う気持ちが溢れているようだ。


『大丈夫ですよ。そもそも私はそこまでの力を欲している訳ではありませんので。ですが、向こうに行って突然命の危険とかは無いようにして頂けると嬉しいです。せっかくなのできちんと生を全うして、妻に地球以外の世界の話も聞かせてあげたいので』


『……洋二さん、本当に申し訳ありませんでした。私はこれ以上あの水晶は出せません。ですが洋二さんの様に素晴らしい心をお持ちの方であれば、向こうで得られる力の殆どを最大のレベル10で使う事が出来るでしょう』


 全く不安が無いかと言われると、流石に能力が一つもない状態となってしまったので嘘になるがなるようにしかならないし、突然与えられた強大な力だと身の丈に合わないので自分のポリシーに反すると言えなくもないか?


『大丈夫です。向こうでも地球にいた最後のように満足して旅立てるように頑張りますから、ご心配なく!』


『本当に申し訳ありませんでした。洋二さんの未来に幸あらん事を。再びこちらに来られた際には、奥様の所にお連れする事、必ず守らせて頂きます』


 その後、私の意識は遠のくのだが……時間の感覚がないのでよくわからないまま、炎さんの言う通り異なる世界で新たな生を得られたらしい。


 暫らくは目も見えず、あの不思議な場所でのように自分自身の意志で動く事すらできなかった。


 どうなっているのか把握できたのは数か月後だが、まさか乳児になっていたとは。


 せめて幼児になっていれば……洋二だけに。


 いや、下らない事は置いておくが、地球の記憶がある枯れ果てたおじいちゃんが、銀目金髪セミロングの可愛らしい人にお乳を飲ませてもらっているこの様。


 本能なのか、お腹が空くとどうしても無意識に吸い付いてしまうのは絶対に抗えないのだ。


 ここまでは辛うじて良い。厳密には決して良くはないが。


 その後の排泄……私は地球で亡くなる直前まで幸か不幸か自分の事は全て自分でできていたにも拘らず、孫までいたこの私が成す術なく……


 こんな事なら、暫くの間記憶を無くしてもらうように交渉するべきだった。


 まさかこんな事になろうとは……見ていますか炎さん、正直ある意味相当な辱めを受けているように感じていますよ!恨みますよ!


 何れそっちに行ったとき、この部分は改善するようにアドバイスするべきだと固く心に誓った。


 そうは言っても命に危険はない上に両親ともに自分を慈しんでくれるのが分かるので、そこは大満足だ。


 お爺ちゃんとしての記憶がある者が成す術なく養われている事に若干の違和感を覚えるが、ここはこう言う物だと納得しよう。


 もちろん今後両親に自分の記憶についても余計な事を言うつもりはない。


 何がきっかけでこの幸せな空間を破壊してしまうか分からないから。


 あの場で、炎さんから余計な事(前世)について話すと良からぬトラブルになる可能性があると全員に注意がなされていたからという事も有る。


 余計な一言でこの幸せが崩れてしまうのは本意ではないので、自重しよう。

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