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プロローグ

少し短めの投稿をさせていただきます。

その後も検討中ですが・・・

 世の中は平等、法の下に平等……嘘ばかりだと気が付いたのは何時頃だろうか。

 逆に明けない夜もない、どん底の後は上がるだけ、因果応報……これも身をもって実感した。そう言った意味では、非常に恵まれていたのかもしれない。


 数十年前になるのだが、当時の上司に愛する妻を何時の間にか持って行かれて絶望を味わった。

 こちらは何故か貯金も無くなったうえで、慰謝料なる物を請求される始末。


 妻に対してはどう考えても何もしておらず、むしろ大切にしていたのに……


 そして結果は、立場も財力も有る上司には複数の弁護士が付き、お金の無いこちらには若手の一人で、そこに正義はなかった。


 もちろん会社は何故か解雇されたのだが、捨てる神あれば拾う神あり!


 その後、同じような境遇の女性と出会って今に至ると言う訳だ。


 そこからは本当に幸せに過ごす事が出来たのだが、その時の経験を糧に決して身の丈に合わない、背伸びをしないようにすることを心掛け、出来る範囲、時折本当に少しだけ背伸びしつつも必死で努力し、できる事をちょっとで良いので広げていく事が大切だと気が付けた。


 前妻とは学生時代に知り合ったのだが、とある大企業経営者の箱入りお嬢様、対して俺は普通のサラリーマン家庭の次男坊。


 見栄をはってつま先立ちし続けても碌な事は無いと、高い授業料を払って気が付いたのだ。


 そうそう、元妻と元上司について気になるでしょう?元上司はその後に会社で横領をしていた事が明るみに出て、借金抱えて解雇の上元妻と離婚。その時に芋づる式に社内での不貞が明るみになり、会社からは遅まきながら謝罪と相当の賠償金を渡された。


 元妻は実家に戻るも、実家の経営が傾き借金漬けになり行方不明……


 全く恨みがなかったと言えば大嘘だが、あそこまで一気に落ちると哀れに思った事をよく覚えているし、その事実を知った当時の私は何とも言えない表情をしていたのか、妻は優しく支えてくれていたな。


「洋二お爺ちゃん!」


「ユカちゃん、洋二お爺ちゃんに……グス、ご挨拶して」


 遠のく意識の中、大切な家族、息子、娘、そして孫達の声が聞こえる。

 フフフ、もうすぐあっちで愛しい妻と会える。


 素晴らしい家族に見送られて大往生。

 改めてよく考えると、一瞬だけ不幸があったが素晴らしい人生だった。


 子供達、孫達、幸せに暮らしてくれよ……


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


『皆さんお待たせいたしました。漸く四人目が揃いましたのでこれから説明させて頂きます』


 ここがあの世……かな?


 目の前にはユラユラ揺れている炎、いや、炎ではなさそうだが、炎の様な物体が四つ。

 その中には、何か言っているような感じがする一際大きな炎もある。


 う~ん。良く分からないが、子供と孫に見送られて幸せのまま逝ったのは間違いない。

 しっかりと記憶があるし……


 いやいや、そんな事ではなくて、私は愛する妻と早く会いたいのだが……

 何故か動けないし、口も開けない。って、もし自分も炎なら口ってあるのだろうか?


 周囲にある炎の様な物達の存在は認識できるが、それだけ。いや、不思議な声も聞こえるが……


『あ~、待ちくたびれたぜ。300年位か?いくら適合する魂を集めていると言っても、待たせ過ぎじゃねーの?』


『すっご、300年?私よりも100年近く前から待っていたんだ?チョーうける』


『私も200年近く待ちました』


 おや?同じ大きさをしている炎の様な物三つからも不思議な声の様な物が聞こえるが、一人は若い男性、二人は若い女性の様な……


『ハイ。では皆さん揃いましたので、新人さんもいる事から少しだけ説明しますね。ここは、死後の世界の一つ……と言っても、通過点で皆さんを集めさせて頂いています。一号さんの言う通り、とある世界に向かえる魂、適合性のある魂が四体集まるのを待っていました』


『おいおい、待っている長さで一号、二号って呼ぶのは止めろって!おかげで、自分の本当の名前すら思い出せねーじゃねーか』


 よくわからないが、そうなると私は四号か?この年で新人?


 しかし、待つ事最長300年とは凄い長さ……ひょっとしたら私の知らない史実とか教えてもらえたりするのかな?


『四号さん、ここでの時間経過は地球とは大きく異なりますので、実際にはほぼ全員同じ時代から来ていますよ。それで本題ですが、漸く揃いましたので皆さんには地球ではない世界に向かって頂きます。よくご存じの通り、魔獣有り、魔術有り、貴族有り、人族以外の種族有り、残念ながら奴隷有りの世界です』


『それって、当然私達は何か特典……力のある能力を貰えるのよね?』


『マジか!漸く俺の時代が来たな!!』


『楽しみです』


 私にはよくわからないが、説明を受けている側の三人は喜んでいるようだ。


『ハイ。そもそも皆さんが向こうの世界に行った時点で、他の方とは成長度合いが異なります。魔獣を倒して得られる力、自ら努力して得られる力、ダンジョンと呼ばれる空間から得られる宝によって得られる力と色々ある中で、個々人によって上限は異なりますが適応できる力の数は多く、そして強力である事は間違いありません』


 私は不安になる。


 身の丈に合わない生活は自分自身を滅ぼすので楽しい生活などできる訳はないと経験したからだが、三人から聞こえてくるのは期待に満ちた声だけなので、敢えて自分の考えを口に出す事はしない。


 そもそも、どうやって喋って良いか分からないし。


 って、そう言えばさっき考えを読まれていたので、これからは余り何かを考えない方が良いだろうな。


 年の功で、心を落ち着かせ……


『そこで、向こうに行く前に皆さんには初期の力を選んでいただきます』


『うお~、これって無敵じゃねーの?』


『やった!キャハハ、向こうの世界でその力を使って豪遊してやるわ。サイコーじゃん』


『楽しそう!』


 本当について行けない……いや、心頭滅却!


『これから能力が封印されている水晶を出します。……これは向こうでも同じように手に入れる事が出来ます。ダンジョンの宝として手に入りますので、頑張って探してくださいね。それで、この水晶を握りつぶせば力を得る事が出来ます』


『その水晶って、何の力か分からないの?』


『そこは知りたいですね』


『そうだぜ。なんだか呪いみてーな能力があっても困るし、能力被りも無駄だろ?』


『……能力の中に鑑定と言う物がありますので、それを得られればわかる場合もあるでしょう。それと、呪いの様な能力はありませんが、忌み嫌われる能力はあるでしょうね。例えば……虫が嫌いな人に、虫を操る能力を見せても嫌がられるでしょう?』


 なるほど……って、すっかり聞き入ってしまったが、そう言う事か。


 目の前には12個の水晶があって全て同じように金色に輝いているように見える。


『では皆さんには三つ力をつけて頂きます。言葉は普通に通じますので安心してくださいね。皆さんは三つの力をそれぞれが得て頂きます』


 ……そんな事より、私は妻に会いたいのだが……


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