二章 43 靴の本領
「な、なぜだ。なんでこれだけいて一撃すら当てられないんだ。今ここにはランクの高い奴らも集まっているんだぞ。速くしなきゃバレてしまって、俺等ギルドカード剥奪、最悪犯罪者だ。人質でもとって動きを封じろ。」
そういうふうに、リーダーは命令した。
「うぉーーー」
現時点で残っている奴らは返事の代わりに叫び声をあげて、見学している萌音たちの方に7人向かった。訓練所のすぐ近くにいるからだろ。俺はすぐ近くにいる2人の敵を両方とらえるように、回し蹴りを放った。1人は鳩尾を少し外したところにあたり、近くにいたもう一人は巻き込まれて倒れた。武器を離しかけた手に木刀で、強めに一撃をあてて、武器を落とした2人分も回収したあと俺はすぐにその7人追いかけた。
スピードも俺の方が上らしくすぐ追いついた。まだ16メートルくらいはあるだろう。俺は萌音たちに気を取られいる7人のうち1人のガリに後ろから飛び膝蹴りを入れて、無理やり1人倒した。
「グハッ」
受け身も間に合わなかったのか俺が膝蹴り当てた敵は大きく前に倒れ顔から地面に落ちたらしい。俺はそれを気にせず一瞬足を止めていた1人の首に木刀をかけて、自分の方に無理やり倒した。
「ゴ、ゴホゴホ。ゴホホ。」
一瞬とはいえ、首が完全にしまっていたため、きつそうにしていた。やつを無視して、俺は残りの5人に顔を向けた。そして俺の後ろから2人も追いかけてきている。ボスは動いてないな。そして前にいる5人はどうやら3と2に別れて3人のほうが萌音たちの方にむかっていた。時間稼ぎか。俺は持っていた木刀を1人に向けてなげて、怯んだ敵に一瞬で近づき冒険者服を掴み自分の後方に投げ飛ばした。
俺を追いかけてた2人はまとまっていたため、俺が投げ飛ばした1人で2人とも、足が止まった。俺はそのうちに、呆気に捉えていた足止めのもう一人に近づき、少し太った腹に強めに木刀で攻撃いれた。どうやらあまり鍛えて無いらしいな。その少し太った敵は一撃で気絶した。
だが、少し時間かけすぎたかな。3人は萌音達のもとにつきそうだ。あと5メートルくらいか?萌音は幣を構えていて、萌夢も杖を構え、ソウヒナも弓の弦を引いている。ジェイドは万が一に備え琴葉の近くで護衛している。俺が手を出さなくても、問題なく殲滅できそう。だが俺が全員やると言った以上示しがつかないからな。俺は今まで武器回収にしか使ってなかった。靴を起動することにした。
俺は、いつも走るよりも本気でかけて、靴の射程に入った瞬間今までに出したことない最大出力で〘引きずり込む常闇〙を使った。すると自分の影が自分を中心に5メートルの円を描き、その影の上にいた萌音達を人質にしようとした敵らが進めなくなりまるでベルトコンベアーのように中心の俺に近づいてきた。いやベルトコンベアーにしては速すぎるか。いうならば砂地獄に飲まれている虫?まぁとにかく速いスピードだ。太め、平均、細いやつ関係なく同じスピードで中心の俺に近づいてくる。俺の仕事は、そいつらを木刀で殴るだけの簡単な作業。敵らが武器を手放すと自動で回収されるしな。更にだ。さっき投げ飛ばしたのを身体で受け止めた残り2人もしっかりとつれたため、同じようにする。俺の周りは残り敵のボスだけかな?
俺がボスの方を見るとボスは、呆気に取られたような顔をして、
「し、信じられない。」
と、言いながら立ちすくんでいた。俺は〘引きずり込む常闇〙を解除しながら、そのボスに近づいて木刀を構えた。そこで正気に戻ったのか、
「く、くそ。」
と、悪態つきながら、持っていた剣を俺に向かって振り下ろしてきたが、俺はその剣を持っている手を木刀で強く叩いた。さすがに、木刀とはいえ素手で受け止めると痛いだろう剣を取り落として、そのまま俺に回収された。これで勝負など見えたもんだ。そう考えていると、俺の気配察知に別の気配を感じ、慌ててそちらを向いた。




