二章 36 琴葉のギルドテスト
まずは一ヶ月あき申し訳ありませんでした。父の転勤や家族の病気、怪我など様々なことが、重なり続きを書く暇がありませんでした。これからはここまで開かないように遅くとも5日おきくらいには出せるようにしていきたいと思います。本当に申し訳ありませんでした。
琴葉が訓練所に入ると、逆側から木製のハンマーを持った女性が出てきた。その女性はショートでどちらかといえば男性よりな体型だ。なぜならその女性は女性とは思えないほどの筋肉をつけており、普段から重いハンマーを振り回していることがすぐ想像つく。
「パワーファイター系だな。琴葉は萎縮している。いつも通り戦うなら勝てる可能性もあると思うが、結果は予想しづらいかな。」
俺がそんなふうに言うと、近くで聞いていた萌音は
「琴ちゃん合格できるかな。」
と、心配しているような声をあげた。どうやら萌音もステータス見たみたいだな。だけど見落としがあるみたいだな。
「ランクBだけど、その代わりハンデもあるみたいだしな。腕のところ見てみろ。あれがあるから結果は見えない。」
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ステータス封じの腕輪
スキル
〘ステータス封じ〙〘移動阻害〙〘装備者保護〙〘自動修復〙
〘サイズ自動調整〙
装備者の全ステータスを10%抑える。腕輪をはずすと効果は消える。主に訓練用として用いられる。10個つけると身動きが全く取れなくなる。他にも足枷タイプや首輪タイプもある。サファイアの作品。
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〘装備者保護〙
装備者の命を守る。
サファイアのワンポイントアドバイス
これをぉ〜つけたままぁ〜殺すことはぁ〜できないよぉ〜。しかも外した瞬間にぃ〜封印解けるからぁ〜悪人に渡ってもぉ〜大丈夫ぅ〜。
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知っている名前が書かれていたが一旦無視してみる。そしてその腕輪を鑑定した萌音も気づいたのか、
「あ、あはは。」
と、乾いた笑いをしていた。
「私はあってないけど、あいかわらずの人だね。」
と、萌音はつぶやいた。萌夢たちは何のことかわかってないみたいだから、後で教えとくか。一応コピー品履いているし。そんなこと考えていると試合が始まるみたいだ。
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SIDE 琴葉
僕は緊張しながら訓練所に立った。キョロキョロしながら訓練所を見ていると、僕が出てきた方とは逆側から女性が出てきた。女性にしては筋肉質で、僕の身体がこわばるのを感じた。
「ワハハ。緊張しなくていいぞ。わたしゃBランクのバラヤだ。さぁ実力を見る、本気で来ていいぞ。ハンデ付きとはいえ、3分持ったらEへの紹介書いてやるぞ。」
そう言って木製のハンマー構えた。その両手に腕輪がついていた。一つにつき10%だから20%減か。僕は自分のほっぺを叩いた。身体の震えを、止めるのが目的なの。すると視界が広かった気がした。
「頑張れー」
「落ち着け。いつも通りやればいける。」
結希斗先輩や萌音先輩の声も聞こえてきた。そうだ僕は一人じゃないの。僕は筆を構えた。レベルはかなり上。それでもハンデもあるしここで負けるわけにはいかないの。
「胸を借りるの。お願いしますなの。」
僕がそのように挨拶を返した。それを聞いたバラヤは大笑いし始めた。
「その意気込み上等。それじゃ本気で行くぞ。」
バヤからの圧が上がった気がした。それでも怖気づくだけの僕ではもういない。そこで審判がでてきて、
「それでは冒険者、琴葉のランクアップ試験を開始する。両者構え。……………………はじめ。」
と、宣言した。どうやらバラヤは僕に先手を譲ってくれるらしい。片手にハンマーを構えて、もう片方の手で私に挑発するかのように手をクイクイと動かした。挑発とわかっていても僕は乗るしかなかった。なぜならそうしなきゃ僕は不合格になる。
「いくの!」
僕は筆を上からたたきおろした。それをあっさりとバヤはハンマーで受け止めた。やっぱり一撃じゃ無理なの。僕はすぐに反撃を恐れて距離を取った。
「ふむ。実力はなかなか。こちらからもいくぞ。」
バラヤが構えたと思うと、ハンデがついていると思えないスピードで近づき、ハンマーをふりおろした。
「速いの。」
僕は慌てて筆で受け止めた。それでも衝撃を抑えきれず僕は軽く後ろに吹っ飛んだ。威力を消しきれなったの。
「パワータイプ相手に真正面から受け取るな。」
結希斗先輩の声が聞こえた気がした。僕は軽く距離を取って、その言葉を考えた。その間に再び詰められて僕は同じように受け止めて飛ばされた。そうか結希斗先輩相手の攻撃を流して受け止めてた。僕はそう思いついて、再び同じ攻撃を仕掛けてきたバヤのハンマーを真正面から受け取らず筆を斜め構えた。それでも衝撃はきたけど吹き飛ばされなかった。
「お返しなの。」
僕は靴に貯めてた月光の光を出した。それによりスピードが上がりその勢いのまま。バラヤの鳩尾に筆で一撃いれた。
割りと強めに入れたのにバラヤは何事もなかったように立っていた。
「ワハハ。すごいぞ。今回の新人は有能だな。痛みなんていつぶりだろうか。おめでとう合格だ。ここからはわたしゃが試したいぞ。本気で行く。せいぜい耐えるんだぞ。」
そうバヤがいうと、バラヤは僕から離れて両手につけていた腕輪を外して、放り投げた。そして、つぎは足に手を伸ばした。足にも腕と同じようなリングがついていた。つまり40%減だったということなのか。
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バラヤ (?)
年齢 42
性別 女
LV102
以下妨害スキルにより鑑定不可。
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バラヤのステータスはあいかわらずレベルまでしか見えないが、ここからホントの意味での戦いになるのかな。僕は筆を構え直した。審判は止めようとしていたが、それよりバラヤのほうが速かった。というより見えなかった。ハンマーが振り下ろされる瞬間だけ見えた気がして先程と同じように斜めに構えた。受け流しの体制取ったにも関わらず僕は壁まで吹き飛ばされた。壁にぶつかるギリギリのところで光を出せてなんとかぶつかるのは防げたけど、衝撃はでかかった。片膝をついてしまったが、バラヤの方を見直して筆を構え直した。
「そこまで。これより審判の判断で、強制的に琴葉の試験を終了とする。バラヤお前はやりすぎだ。」
と、審判はバラヤを注意した。バラヤはそれを笑いながら聞き流して、
「見てみろ。まだ戦意喪失してないぞ。わたしゃやりすぎたかもだが、わたしゃをここまでさせたのも嬢ちゃんぞ。それにここには優秀な治癒士が揃っている。琴葉といったか?あやつは未来を担うのにふさわしい1人だぞ。わたしゃなんかより強くなってな。ワハハ未来が楽しみじゃ。」
と、反省する気のない態度で、出てきた場所へ戻っていった。
「…………ありがとうございましたなの。」
僕はお礼を言ったところで記憶が途切れた。




