二章 30 貴族の目的
そうして案内されたのは高いホテルの最上階の一部屋。この貴族みたいな人が顔パスで連れてきた。いやどれだけこの人すごいんだよ。
「あーそういや名前いってなかったな。カイザー·バールディア男爵だ。まぁ男爵っては言うが、名だけだしな。気にするな。一応バルガーとサザカの上司に当たるかな。元々俺も公爵に仕えていた一人だったんだが、俺らの中でリーダー決めよってなって俺がなった感じ。まぁよろしくな。」
と、右手を出しながら、自己紹介をしてきた。俺はその手を握り返して、
「まぁ知っているみたいだが、俺は結希斗だ。」
俺がそう返した。そして俺の後に続いて萌音達も自己紹介をしはじめた。
「私は萌音だよ。そして妹の萌夢。」
萌音はいつもの口調で挨拶した。萌夢は警戒しているのか萌音の後ろから前に出てこず、少しペコリと頭をさげただけだ。
「僕は琴葉なの。こちらはソウタ君。」
琴葉がそのように説明した。その後ソウタ君がソウタです。と、自分のことを紹介していた。
「ジェイドと申しします。」
「ソウヒナですわ。」
と、最後にジェイドとソウヒナが挨拶をして終わりだ。
「一応だけどさこの部屋と隣の部屋借りているから、自由に寝泊まりして構わねーぞ。元々バルガーとサザカが君らのこと教えてくれたから会いに来ただけ。俺は、仕事あるしもう行くわ。ただこの階にある、一番奥の部屋だけは近づかないようにな。多分大丈夫とは思うが、俺と違いホントの貴族の公爵令嬢が休んでいるしな。それじゃーな。」
それだけいうと挨拶もそこそこに部屋を出ていった。
「…………台風みたいなやつだな。」
俺があまりの速い撤退にそう呟いてしまった。萌音や琴葉などから否定の言葉が帰ってこないと言う事は、そういうことだろ。その後俺は一応ホテル側に確認を取ると、2週間分の部屋代がすでに支払われているらしい。全部男爵持ちだそう。なんでここまでしてくれるか不明だが、善意は受け取るとするか。
「まぁ予定とは違うが、無事にホテルの部屋確保できたし。このあとは冒険者ギルドに行くか。」
俺が問いかけるように聞くと、琴葉がすぐに手を上げ、
「賛成なの。」
と、答えた。俺は萌夢とソウタに目を向けて、
「萌夢とソウタはどうするの?二人は今のところ戦ったりしてないからな。必ずしも登録はいらないだろ。」
俺が聞くと、萌夢はすぐに反応した。
「おねーちゃんが受けるなら私も受ける。」
と、萌夢は返してきた。まぁそこは本人の希望なら拒否はないな。そしてソウタは一生懸命悩んだあと、
「僕は一緒にいって応援します。」
と、答えた。俺は映写機でコピーした破れた火魔法の書と、風魔法の書取り出してそれを萌夢に投げ渡した。
「ほら。これを使いな。萌夢のエクストラスキルの都合上魔法覚えてなければ話にならないだろ。」
萌夢は俺が投げ渡したことに少しイラっとしたのか、少し俺を睨みその後俺が渡した2つの書を見て頭をひねっていた。それを見かねた萌音が説明をした。
「これは開くとスキルを覚えることができるスキルの書だよ。こちらの破れている方は運にもよるのだけどね。」
萌音の説明を聞いた萌夢は早速とばかりに破れている火魔法の書を開いた。
「わーすごいキレイ。」
そして、感動したような声をあげた。そしてその書は最後までいかず途中でポトンと落ちて、消え去った。何も覚えないとこんな感じになるんだな。
「何も覚えてないみたい。」
萌夢もいつもあるような元気が少し落ちていた。俺は、別のコピーした書を取り出して、それを再び渡した。
「まぁ運がわるかったったな。まぁ風は確実だし、火も予備あるから遠慮はするな。」
そう言えば属性魔法以外も花吹雪の書ってあったな。これも破けているけど。俺は映写機を取り出して、それのコピーを始めた。そしてできたやつをそのまま萌夢に渡した。
「冒険者ギルドのランクってどれくらいの難易度かわからないが、これだけ覚えておけばなんとかなるんやない?最悪萌音と一緒行動しておけばいいしな。」
俺がいうと、萌夢は少し照れたように視線を外しながら、
「………………ありがとう。」
と、いった。俺に礼など、今までいったことはなかったのだけど少しは信用されたのかな?そしてその後は順調に風魔法、弱火魔法、桜吹雪を覚えた。
「私魔法を使ったこと無いからわからないけど、どう?発動できそう。」
萌音が疑問に思ったことを聞いた。萌夢は少し自分で、出す素振りをして、
「大丈夫そう?出そうと思うと頭に出し方がながれてくる感じ。」
萌夢がそう答えた。とりあえずこれで冒険者ギルドに行けるな。
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SIDE カイザー
バルガーとサザカから報告あった人たちをほんの興味本位で見に行ったけれど、何人か割と強いな。万が一のときは、手伝ってもらおうかな?この街からやつの落とすために。




