二章 23 投獄の真相
俺は牢獄の中で堂々と座り込んだ。まぁ誰かくるやろと思ってだ。盗賊達は別の檻に入れられてた。まぁどうでもいいけどな。
「結希斗君落ち着いてるね。」
萌音がどうしたものかと、ソワソワしているなか俺は普通に座っているからな。いや萌音に限らず不安に感じていたりして、俺以外全員落ち着いてないような状況の中、唯一落ち着いている俺は目立つだろう。
「武器を含め持ち物何も奪われてないからな。慌てる理由がないからね。俺達を最初からどうにかしたければ、まず持ち物奪う。そして奴隷の首輪でもつけると思う。それがないってことは訳ありだろ。どうせしばらく待ったら誰か来るだろうし。」
おれはそう言った。だけど念のため、周りの気配は探っていた。他のメンバーも俺の言葉で少しは落ち着いたのか、各々すわりはじめた。床は石でできているため、座り続けると、少し痛くなったりするが、特に問題は無い。最悪テントを出せばいいだけだしな。そんな感じで待っていたら、誰か近づいて来る気配を感じた。
「誰か2人来たの。」
琴葉もすぐに気づき、そう声をかけた。それにより全員が引き締めた顔で檻の入口の方を見つめた。
「こいつらで間違え無いか?」
装飾が多い豪華な騎士服を着た人が、俺らをこの牢獄に連れてきた人に聞いた。聞かれた騎士は少し怯えながら、
「ま、ま、間違い無いです。」
と、答えた。それを聞いた豪華な騎士服の人が今答えた騎士を殴り飛ばして、
「ばかやろう。この人たちはスコーピオン倒したかもしれないんだぞ。こんな牢獄入れるバカはいるか。隔離するにしても客室に通しやがれ。今が非常時とはいえ、来訪目的や理由など聞くのが常識だろうが。しかもだ、大人しく言う事聞いた客を真っ先に牢獄案内する。なんてバカな話があるか。」
と、目の前で説教が始まった。どうやら騎士に手違いがあったらしい。とはいえ、非常時、隔離など気になる言葉を発しているな。
「それでさ。俺達結局どうなるの?」
説教が止まらなさそうなので、俺がちょっと怒気をこめながら聞いた。すると説教してた声が止まり豪華な騎士服の騎士ががこちらを振り向き慌てて頭をさげた。
「申し訳ない。確認したいこともあるので、部屋を用意するから、そちらに移ってほしい。もちろん牢獄ではなく、ちゃんとした部屋だ。バカな部下のせいでこんなところに5時間閉じ込めたことを心から謝罪をしたい。」
と、頭を下げて謝ってきた。しっかり謝罪も聞いたため、これ以上責めても話が進まないだけと考えた俺はそのまま牢獄から出た。
そして俺達が案内された場所は正面に絵が飾ってあり真ん中に大きな机があった。ベットも左右の壁際に四つづつある。貴族が住んていそうな豪華な部屋だった。案内した騎士は机の反対側に座り、俺に座るように促した。
「俺はここの警備隊長に当たるバルガーという。先程は部下が本当にもうしわけなかった。この部屋は一週間自由に使ってほしい。」
と、向かいに座る俺にもう一度頭を下げて謝った。
「俺は結希斗。一応このパーティーのリーダーだ。何故牢獄に閉じ込めたとか、ここで一週間待機する理由とか答えていただけますよね?」
俺は責めるような口調で聞いた。流石に意味なく理不尽を許すつもりはない。少なくともこの隊長のバルガーは話が通じそうなので、遠慮することなく聞くことにした。
「順を追って話そう。もしかしたら知っているかもだが、国境を超えて、隣の町にあたる。デッドリアのエッジっていう街で疫病が流行りだした。そしてその疫病から逃げてきたデッドリアの奴らが大量にこの街に来るようになった。だが、逃げてきてもあとからその疫病にかかるやつもいて、しかもこの街の人一部にうつしたんだ。それで、俺らデッドリアからきた奴らを関係なく隔離することにした。症状は遅くても4日以内で出るため一週間隔離して症状出なかったら大丈夫だろうと判断して街へつながる街道への通行許可出すという感じだな。だが、デッドリアからくる奴らは、どいつもこいつも態度が横柄で、決まりをすぐ破ろうとするし、なんなら暴力行為にすぐ出るから、そんな奴らの隔離は牢獄にすることにしたんだが、何を勘違いしたのか部下共は話を聞かずに全て牢獄に隔離してたみたいだ。これは俺の責任である。本当に申し訳なかった。」
と、バルガーが説明した。なるほど疫病か。それなら兵士がピリピリしているのもわかる。とはいえおそらくそこから来たであろう俺達は疫病が流行っているなど気づかなかった。……………まさかな。
「とりあえず謝罪は受ける。それで一週間ここで過ごせばいいんだな。」
俺は確認のためにそう聞いた。すると、バルガーは頷き、
「やはり君らは他のデッドリアの奴らと違って話がわかるようだ。トイレはドアから出て左手の方にある。そしてトイレの横のところでシャワーも浴びれる。食事は3食部屋に届ける。不自由かもだが一週間このフロアだけで、過ごしてくれ。決して他のフロアには行かないでほしい。それさえ守ってくれるなら、謝罪の意味を込めて、できる限り君らの要望を受け入れよう。」
と、バルガーはそういった。俺は、少しだけ考えて
「一つだけ訂正させてくれ。俺らあんなクソ野郎共のデッドリアの人間ではない。だからあんな奴らと一緒にしないでほしい。そして要望だが、路銀の持ち合わせが少ない。魔物の素材売るから買い取ってくれ。そして暇つぶし道具がほしいな。本とかなんでもいいから持ってきてほしい。俺からは以上だ。他に何かほしいものがあったらその都度言う。」
俺がそういうと、バルガーは考える素振りをして、
「本でしたら、魔物分布表や、年刊騎士誌などがあるがそれでもんだいないか?魔物の素材の買い取りだが、ゴブリンなどの下級は買い取れない。」
と、いった。ゴブリンはそもそも全部燃やしたり捨てたりしているから問題ないな。どれくらいの値段つくか分からないがボアの牙の残りや、俺が気絶している間に萌音たちが倒したロックオーガなどある。それなら買い取ってもらえるかな。俺がそんなこと考えていると、
「一つ伺いたいがスコーピオン倒したか?」
と、真剣な顔で聞いてくるバルガーがいた。スコーピオン?俺は、頭に?がうかぶのだった。




