二章 1 結希斗の安否
SIDE 萌音
私達はメイちゃんに引きづられながら戦場から離れていた。
「メイちゃん離して。ステータス見る限り、結希斗君じゃ。」
私が抵抗を少し見せると、メイちゃんは首を横に振って、
「ご主人様の命令。敵は強い。戦闘経験少ないと、足手まとい。少なくとも最初の一撃動けなかったメイ達では無理。ご主人様はメイたちが死ぬことを恐れている。」
メイちゃんは、少し悔しそうな声でいった。
「でも一人だと危ないの。」
琴葉ちゃんも心配そうに声をかけた。
「大丈夫、絶対無事。メイ達は信じるしかない。」
その後私達は先に逃されたテラたちと合流して、平野をぬけた。道が2つに分かれてて片方が森でもう一つはどこまで続くかわからない長い道だ。ちなみに長い道の方には川らしきものが途中で挟んでた。私が川を把握できるくらい見渡しがいいということでもあるけど。
「またこの二択か〜。ここがどこかわからないけど、おそらく森に結希斗君は来ると思う。それに、もう結希斗君を手伝うなんて言わないから離してほしい〜。今は、他の追撃に備えなければならないでしょ。」
私がそういうと、メイちゃんは静かに頷き私達の糸を解放して、森の中に入っていった。ある程度進んだところで、糸による罠を仕掛け始めた。
「琴ちゃん。今はどんな感じ?」
私が聞くと、
「仲間が2人、敵1人。まだ結希斗先輩が追手を抑えているの。」
と、琴葉ちゃんから帰ってきた。仲間が二人?私は、一瞬頭に?がうかんだけど近くにレイ君がいないことを確認して気づいた。そっかレイ君が手伝っているのか。物理無効だから。攻撃効かないんだね。
「萌音お嬢様。周辺の魔物の間引きがおわりました。」
テラと、ユフィアが報告にきた。おそらくメイちゃんが指示したのだろう。結希斗君心配するあまり周りの魔物にやられたら意味がなくなるからね。
「うん。ありがとう〜あとは結希斗君まちかな。」
私がそう呟いているとメイがナイフを準備していてそれを投げた。テラも指示されてたのか弓を放ったようだ。
「メイちゃんどうしたの?」
琴葉ちゃんが気になってメイちゃんにきいた。
「逃げろという指示で手伝うなとは命令されてない。」
と、メイちゃんからかえってきた。
「それはそうだけどこの距離で当たるの万が一にも結希斗君に当たったら。」
私がそういうと、メイは、糸をだしながら
「逃げるときに敵に糸つけた。今のナイフは糸にそって攻撃している。ご主人様に100%あたらない。」
と、自身満々な答えが帰ってきた。そして、2つ目投げようとしていると、
「糸の到着点が消えた。」
と、メイちゃんが不思議そうにいった。メイちゃんの糸は例え敵が死んでも消えるはずないのに突如消えたらしい。琴葉も敵の反応は消えた。と言っているから間違いはないのだろう。結希斗君の勝利だ。そして、こっちに2つの青い点がむかってきているらしい。その後は私達は結希斗君を迎える準備をした。多少文句は言うつもりだ。そのことを考えていたが結希斗君が帰ってきたときにその考えはとんだ。
結希斗君が来たとき、大きい狼に運ばれていた。
「た、助けなくちゃ。」
私が慌てて狼を攻撃しようとすると、
「だめ。よく見て。仲間。」
メイちゃんがそう言って私の身体を糸でとめた。
「確かに赤反応はないの。それにしても、青も2つしか見えないの。」
と、琴葉ちゃんも、そういうので私は武器をおろした。そして結希斗君の姿見て絶句した。
「う、腕が片方無いの。」
琴葉も言葉を失っているのか、ポツリとそれだけ呟いた。テラちゃんたちも悲壮な表情を浮かべ、マナちゃん、シイナちゃん、シイカちゃんはショックで気絶していた。私達があまりの出来事に動けないでいると、メイちゃんは急いで結希斗君に近づき心臓に耳を当てた。
「ご主人様は生きてる。速く回復魔法かけて。」
メイちゃんの声に正気戻った私は、慌てて回復魔法かけた。その時レイがちぎれた腕といろんなアイテムを浮かべていた。メイちゃんはちぎれた腕とポーションみたいなやつを手に取り、腕の切断口をできるだけくっつけて、そのポーションをかけた。すると腕が元通りに再生を始めた。
「レイありがとう。腕がないと回復できない。」
メイは、そう言ってレイに感謝を伝えていた。危機は脱したようだ。今は、どうやら落ち着いて寝てるだけのようだ。メイ曰く回復の衝動とかで3日〜5日くらい眠るかもしれないらしい。でも良かった、ほんとに無事で。心からそうおもった。念のため琴葉に周りを調べてもらった。
「特に、いないの。結希斗先輩が戦っていた敵の気配も感じないの。」
と、琴葉から帰ってきた。
「やっぱり、結希斗君が腕一本無くしたかわりに勝てたのかな?」
私の疑問に答えることができるのはいなかった。唯一レイは成り行き知ってそうだけど、話せないし、今離れている。どこに行ったのだろう。そして狼君も知っていそうだけど今は結希斗君の近くで丸まっている。
「もう夜だし。ここで今日はキャン」
プしよう。と、言いかけていた頃にレイが戻ってきた。その頃には気絶したマナたちも正気に戻っていて、ユフィアちゃんの膝の上から今は起き上がっていた。レイ君は、レイ君が来たほうを指しながら自分を引っ張るモーションを取った。
「あっちに何かあるの?」
私と同じく気になった琴葉ちゃんが聞いた。レイ君は、頷き歩き始めた。いや正しくは浮かんでいるので歩いてはいないのだけど。
「みんな~移動するよ〜。」
私が声をかけて各々休んでいたけど、全員が立ち上がって、すぐに準備した。狼が結希斗君を運んでくれるらしい。
「それで、いかがなさいましたか?」
テラが聞いてきたが私も答えようがない。
「レイについていくだけなの。」
琴葉ちゃんも言う通りのことだった。レイのすぐ後ろをユフィアが歩き始めていた。普段から森を歩き慣れているからなのか私や琴葉ちゃんよりだいぶ速い。その状態で数十分、下手したら1時間かもしれない。
「洞窟が見えますにゃ。って、あの洞窟にゃ…………」
レイのすぐ後ろをかけていたユフィアちゃんから声がかかった。だがユフィアちゃんの悲痛そうな声が聞こえた。そして、先をかけていたレイ君が足を止めて洞窟を見るようにとまった。それにあわせてユフィアちゃんも警戒しているようだ。まだ離れている私達にはわからなかった。
そして、私がついたあと、殿を努めていたテラが洞窟を見て息をのんだ。マナたち3人も恐怖に染まった顔をしている。




