一章 35 夜の出会い
全部の猪を解体して終わり、今夜は休むことにした。もちろん俺以外はだ。俺はレイに頼んで水をペットボトルに汲んできてもらい、先程解体した猪の毛皮を洗いはじめた。血は先程の解体ナイフで解体したときにわけられていたが、それでも一度洗っておいたほうがいいだろ。
俺がそうやって洗っているとレイが急遽警戒モードに入った。俺もとっさにいつでも戦闘態勢に入れる準備をしてまっていると、森から一人の女性が現れた。魔女っ娘のような服装をきていて、手には箒を持っていて、夜なのに森から現れる。それだけでも怪しいのに、もっと怪しい場所があった。それは、その女性が数体の岩でできた魔物みたいなのを引き連れているからだ。ちなみに鑑定は通らない。女性も岩の魔物もだ。
「はぁちょうどいいボア見つからないよぉ〜。そろそろ活動的にぃなるはずなのになんでかなぁ〜?」
と、女性はため息をついていた。あちらはまだ気づいていないらしく、下向きながら落ち込んで歩いてきていた。俺は一瞬仕掛けるかと思ったが、その言葉聞こえて仕掛けることは、頭から消え失せていた。というのもボアが見つからないのは俺らが狩り尽くしてしまったからでは?と考えたからだ。もし彼女が冒険者として依頼受けて来ているなら依頼は失敗。その状態の人に原因である俺が先に手を出すのは踏んだり蹴ったりだろ。そんなこと考えていると向こうも俺にきづいたようだ。
「あれぇ〜?こんなとこで寝泊まりぃ〜?君もボア狙いかなぁ〜?」
と、話しかけてきた。一瞬話をあわせようかとも考えたが、こういう場合信頼得るのは本当のことを行ったほうがいいだろ。俺はそう考えて、
「いえボア帰りです。明日立とうかとおもいここにテントを置きました。」
俺がそういうと、女性は目を輝かせながら、
「ほんとにぃ〜。?もしかしてぇ牙とか持ってたりするぅ〜?」
と、聞いてきた。ボアの牙は一匹につき2本ついている。俺は半分の14本持っているボア7匹分だ。残りはメイが持っている。
「えぇ。持ってますよ。」
俺は具体的な数字は言わず、事実だけ返した。
「じゃー6本ほしいなぁ〜。できれば8本〜。もちろんただでとはいわないよぉ〜。ちゃんとお金は払うから譲ってくれないかなぁ〜?」
俺は黙って8本出した。本能的に逆らっても勝てないと感じていたのもあるが、そもそも牙今必要無いからね。
「お〜ありがとう〜。1、2、3……………8だねぇ〜。しかも状態いい〜。プロが解体したみたいだねぇ〜。それじゃ約束のお金払うよぉ〜。こんな場所だしぃ〜、お店での買い取りの2倍のぉ〜金貨16枚ぃ〜。これで大丈夫かなぁ〜?」
と、金貨を俺に差し出しながらそういった。おれはしっかり受け取ってから。
「確認しました。ありがとうございます。」
と、いった。それを聞いた女性がちょっと怪訝な顔をしてきた。
「さっきからさぁ〜。なにか違和感あるんだよねぇ〜。たしかに私が年上だけどぉ〜。君はぁ〜敬語使うような人じゃないでしょ〜?」
と、言われた。できれば敵対したくないから苦手な敬語使っていたが、バレてしまったな。
「わかったよ。確かに俺は敬語苦手だ。これでいいか?」
と、俺が聞くと女性は満足したように頷いた。
「それでさぁ〜。それボアの毛皮だよねぇ〜。何に使うのぉ〜?」
今度は、俺の作業に興味が向いたらしくそうきいてきた。ちなみにこの頃になると警戒はだいぶとけていた。レイも最低限の警戒のみにとどめていた。
「街につくまでの靴にしようかな。と、おもってな。俺の仲間たちが靴はいてないから。」
俺がそう返すと、その女性は少し感動したみたいな顔をして、
「それはすごくいいことねぇ〜。そうだぁ〜、牙のお礼に作ってあげるよぉ〜。」
そういうと、どこからともなくでっかいなべ?みたいなのを取り出して、どんとおいた。その鍋を鑑定してみると、
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錬金鍋
〘錬金〙〘錬成〙〘合成〙〘?〙〘?〙〘?〙〘?〙〘?〙〘?〙
引き継がれた錬金鍋。現在存在している錬金鍋の中でも最高峰のひとつである。これを扱うためには普通の才能では絶対にむりである。以下詳細不明。
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〘錬金〙
様々な素材を使い別のものを作ることができる。錬金鍋にこのスキルがついている場合、錬金の補助と出来上がったものに+効果がつく。
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〘錬成〙
様々な素材を数段階昇華することができる。錬金鍋にこのスキルがついている場合、錬成の補助と出来上がったものに+効果がつく。
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〘合成〙
2つのものを1つに合わせることができる。錬金鍋にこのスキルがついている場合、合成の補助と出来上がったものに+効果がつく
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スキルが少ししか見えなかったが、それでも目の前の女性の職業はわかった。おそらく錬金術師だろう。さっきもちょうどいいボアがいなかった。っていってたし。
「鑑定終わったぁ〜?」
と、錬金術師の女性からきかれた。俺はドキッと感じながら、ごまかせないと思い、素直に謝ることにした。
「すみません。」
俺が謝るのを聞いたら錬金術師の女性は手を横に振りながら、
「いいよいいよぉ〜。別に怒っている訳では無いしぃ〜、私の師匠もぉ〜初めて合う人とあったらまず鑑定かけろぉ〜ってぇ〜よく言ってたしねぇ〜。それに結希斗くんはぁ〜こっちに来たばっかりでしょ〜?おそらくパーティー組んでいる人の数人もぉ〜。」
と、言いながらちらっとテントの方を向いた。どこまでバレているんだろうか。
「たしかに、鑑定かけているならわかると思うけど、おれともう二人は異世界から召喚された。だけどこの国の王においだされたし、命も狙われているからこの国に出ようって話になったんで隣の国に向かっているところだよ。」
俺が正直にこたえると、
「そっかぁ〜。大変だったねぇ〜。やっぱり私もぉ〜公爵と同じ意見かなぁ〜。この国いらないねぇ〜。勝手に呼んでてぇ〜それで追い出し命を狙うとかぁ〜人の風上にもおけないよぉ〜。」
笑顔で言っているが、言っている内容が物騒だな。しかも公爵ってなかなか上位の名前も出てきたし。俺は賛成だがそれについてはなんともいえなかった。今の実力じゃどうしようもできないことが容易に想像できるからだ。
「ここをまっすぐいけばぁ〜、隣の国にいけるよぉ〜。とりあえず始めようかなぁ〜。皮を貸してぇ〜。」
と、いいながら錬金鍋に何かの水を入れながらいった。俺は何枚かの皮を渡した。
「これでたりるかな?」
俺が聞くと錬金術師の女性は鍋をかき混ぜながらこっちを向いて
「それで足りるよぉ〜。この鍋に全部入れてねぇ〜。」
と、指示された。俺は皮をの鍋にいれた。これから錬金が始まるのか。俺はワクワクしながらそれを見ていた。




