一章 1 ガチャ
俺は、現れたタブレットみたいなものをみた。ぱっと見はタブレットだが、タブレットにはないものがついていた。それは、自動販売機の小銭入れのようななにかを入れる穴があることだ。この世界での通貨は、どれほどのものかまだ見てないため分からないが、地球の10円玉が10枚並べて入れても余裕で入りそうな大きな穴である。そしてその穴の前には
〘今回は無料ガチャのため条件を入れることはできません。〙
と、表示されていた。このことから推察するようにやはり条件とはガチャ引くために必要なもののことらしい。まぁその条件の詳しいことは分からないから、今はなんとも言えないが。そんなこと考えていると、
「……その、タブレットみたいなのが………先輩の能力なのですか?」
集中しすぎてたら聞き逃しそうなほどの小さい声が聞こえた。文脈から考えてこれは後輩ちゃんからの質問だろう。俺は、顔上げて二人が座ってるほうをむくとふたりとも興味津々な顔を向けていた。先程、俺が外にバレないようにと言っていたためか、できる限り声を抑えてたのだろう。それでも興味にはかてなかったらしい。それも仕方ないことだけどな。目の前にいきなり現れたら誰でも気になると思う。
「俺のスキルはガチャで、これはガチャ画面らしい。今からひいてみたいと思う。」
俺も声を抑えながらそう返した。これ以上タブレット観察しても意味ないし、俺は、タブレットの真ん中あたりで光っていた。〘10連を引く〙というボタンをタップした。するとタブレットに白い玉が1個現れた、その白い玉が回転始めると、それが黄色に変わり、赤に変わった。そして青にかわって、黒に変わったところでとまった。スマホゲームの好きだった自分からしたらそれはある程度あたりの確定演出に見えた。少なくとも、白より悪いはずがない。そんなふうに考えていると、黒のボール10個の玉に分裂した。でも全部黒というわけでなく、白が4個、黄色2個、赤2個、青1個、黒1個となった。その後画面が光っりだして、白い玉から順にタブレットからでてきた。最後に黒い玉が出てくると、画面には、
〘またのご利用お待ちしております。〙
と、表示されていた。どうやらガチャの玉は自分で開けなければいけないらしい。
「わ~すごいきれいな色。」
同級生の女の子が呟いた。確かにガチャ玉と知らなかったらちょっとでかい宝石みたいにも見える。後輩ちゃんも食い入るように見てた。ただいつまで見ててもきりがないので早速白から開けることにした。
白の玉にに手を伸ばすと、自動で2つに割れて中身が出てきた。短剣と杖と雑草みたいなやつが2つ出てきた。そしてタブレットが光りだしたと思うと、
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C
錆びた短剣
木の杖
薬草(状態悪い)×2
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と、言う情報がタブレットの画面に現れた。実物も、タブレットの画面に書かれていることも、どっちを見てもハズレだということがよくわかった。やっぱり白は一番低いんだな。俺は、そんな事考えていると、
「おぉー」
「ヤバい。ちょーすごい」
と、感動してた。まぁ確かに地球では見ないようなやつばっかりやしね。俺が冷めてるのかな。そんなこと考えながら黄色の玉の方に手を近づけた。やはり手を近づけるだけで玉がわれて、バスケットみたいなかごと巫女服があらわれた。
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N
簡易食料10日分
巫女服
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「は?」
思わず声に出てしまった。簡易食料はいいとして巫女服をどうしろっていうんだよ。俺が着るわけにもいかないしな。そんな事考えていると、すごく輝いた目で見つめてくる人が一人。同級生の女子だ。巫女服を手にとって右にずらすと視線も右に、左にずらすと視線も左に動いていた。これは確定だな。
「………ほしいのか?」
俺が聞くと言い終わる前に
「いいの?」
と、食らいついてきた。今まで暗かった表情も、嘘みたいに晴れていた。こんなので少しでも苦しみから立ち直ってもらえるなら大歓迎だ。
「あぁ。俺に使い道ねーしな。」
俺は、そういってしっかりたたみ直してからわたした。
「ありがとう!」
そういうと、巫女服をギュッと抱きしめた。見た目からは想像付かないがコスプレが好きなのかな。俺は深く掘りさげず次の赤の方に手を伸ばした。今まで同様に玉はわれて、なにかの書物が2つでてきた。
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R
スキル鑑定の書
スキル収納箱(マジックBOX)の書
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ガチャってスキルからスキルの書っていう、謎いのが出たんだが、これの検証については後回しにするか。残り2つだしさっさと開けてしまうか。俺は、右手を青にのばし左手を黒に伸ばした。今まではてを近づけると、割れるだけだったのに対して、青の玉は青い煙見たいのがでてからビンに入った水?が出てきた。黒のたまも黒い煙が出てから、刀があらわれた。どうやらあたりの方になると演出があるらしいな。
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SR
ポーション(良品質)
SSR
黒刀
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刀が出てきた。さっきの錆びた剣とは大違いだ。少なくとも業物だろう。さっそく俺は、装備してみることにした。
「おー先輩のスキルってすごいですね。こんなにいろいろ出るとは。」
俺が刀の握り心地確かめていると後輩の女の子が話しかけてきた。
「確かにな、俺自身もここまでとは驚きだ。もとからそのつもりだったが、万が一のときは二人共おれが守るよ。もともと地球でも刀握ってたから、簡単に負けないとおもうし。まぁ安全なところまでいけたら別れてもいいからさ。」
おれは自分でもカッコつけたな。と、思いながらもとから考えていた事を二人に伝えた。
「確かに。今は一緒にいたほうがいいよね。いろいろあって落ち込んでて不安だったけど。旅は道連れって言うしね。これからふたりともよろしくね。」
と、同級生の女の子が反応してくれた。そして、俺が後輩方を向くと、ちょっと言いづらそうにしながら俺らの方をむいて
「すみません。先輩方、名前なんて呼べばいいですか?」
と、いった。
「「あっ」」
俺と同級生の女の子は二人して声をあげた。そういえば自己紹介してなかったな。ガチャ開放されて俺の意識はそっちばっかり向いてたし。
「あはは……順番逆だったね。」
と、同級生の女の子が呟いた。俺と同級生の女の子は二人して勝手に先に進みすぎてたことに気づき顔を赤くした。
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SIDE ???
「あの3人は例の称号獲得してなかった。どうやら作戦は成功みたいですね。お嬢様の考え通りだったことは喜ばしいのですが、自分の能力の低さに自己嫌悪します。まさか3人しか成功しないとは。」
私は、ただいま追放された。3人を見届けながらつぶやいた。
「これ以上潜入はやめておいたほうがいいですね。このことについて速めにお嬢様に伝えたほうがいいですし。それにしても追放された男子、あの子は才能にあふれてますね。気配を消していたのに、自分に気づいていたみたいですし。それにあの称号、おそらく彼の知り合いでしょう。将来がたのしみです。まぁそれはともかく3人にはいずれ謝ったほうがいいでしょう。すぐに保護するつもりがあまりの追放の速さに何もできませんでした。さすが愚かな王なだけありますね。おっとお嬢様によく注意されてたひとりごとしてました。気をつけなければ」
そういって呟いた男はその場で姿を消した。