一章 24 貴族と揉める
「もうビックスライムとは戦いたくないの。」
僕は心の底から思っていることを呟いた。なぜならビックスライムを倒すのはとても面倒くさかったからだ。ビックスライムが身体の一部を触手みたいに操って水に触れるとせっかく削ったビックスライムのおおきさがもとの大きさにもどってた。もちろん消しそびれて残っても一緒だ。おかげで、互いに耐久戦だった。メイちゃんもおなじこと考えているのか、帰りのスライムへのあたりが強くなっていた。
元の位置まで戻ってきた僕達はこのあとどうするか話し合うことにした。本来なら入ってきた門から出るのが普通だけど、門のところにいる兵士は常に身体目当ての関わりたくない人たちだ。だからといって他の出口から出ると森が遠くなり合流するまでに時間がかかる。
「何かあったらやる。そして逃げる。」
と、メイちゃんは少し物騒なこと言ってるが、確かにその方が速いと思う。僕は入ってきた入口の近くに抜け出せる場所ないかと考えながら足をすすめた。最短距離でむかってたら少し賑わっている場所についた。中央にステージみたいなのがあって、そのステージの上に、首に首輪をつけている、格好は薄い布一枚のみの女の子たちが大量にならんでいた。そして、まんなかに高そうな服を着た男がたっていた。
「あれは奴隷。奴隷に落ちる理由は様々。犯罪者、借金身売り、口減らし、など。でもここは違法が多い。罪のないものに冤罪かけて奴隷にしたり。誘拐して奴隷にしたりなど。」
と、メイちゃんが説明してくれた。メイちゃんの目は厳しくそのまんなかに立っている男を睨んでいた。
「冤罪はかわいそうなの。助ける方法はないの?」
僕は、メイちゃんに尋ねてみた。メイちゃんは横に首をふり、
「首輪の場合無理に外そうとするとナイフが飛び出す。だから無理に助ける方法はない。冤罪とはいえ犯罪奴隷はなおさら首輪外しにくい。」
と、無理にはずすという恐ろしさを説明してくれた。
「でも、一つだけならある。おそらく今は、オークションだからメインのご主人様登録が空いているはず。そこを奪って逃げるということ。でもおそらくこの国で、完全指名手配される。」
と、とんでもないことをいってきた。それを行った場合、僕たちは、逃げ場なく先程いった犯罪奴隷に落ちるのがオチだと思う。今の僕たちでは、どうすることもできないため今回は見なかったことにすることにした。オークションに参加するにも心もとがないため、下手に希望与えてしまうと心苦しくなるからだ。
そんなことを考えこの場からさろうとしていると、僕たちがオークションから目を背けて、向いた方角から豪華な馬車がきた。そこから上等な服を着た人たちが降りてきて、オークション会場に向かい始めた。僕たちには関係なさそうだし、通り過ぎようとしたときにあとから降りてきたちょっと太っている人と目があった気がした。その太っている人は僕を足からなめるかのようにじっと見てくると、
「お前、僕ちんの奴隷にしてやろう。光栄に思うがいいぞ。」
と、僕にいってきた。一瞬のことで僕は内容に理解できずにいると、近くに控えていた騎士が奴隷の首輪みたいなのを取り出して、
「ダスト様。こちらに首輪があります。」
と、太っている人。ダストにわたした。そして僕の方につけようとしてきたときに、おそらくメイちゃんが、引っ張ったのだろう、強く後ろに引かれて首輪がつけられるのをまぬがれた。僕は、今起きそうになったことを理解したときには、身体が震えていた。
「なぜ逃げる?うんよく見れば後ろにいいメイドもいるではないか。一緒に奴隷になれ。」
と、今度は、僕とメイちゃん両方にめをつけたようだ。
「や。豚に使えたくない。メイの主はただ一人。」
と、メイちゃんが啖呵をきった。
「僕も、奴隷になりたくないです。」
僕も、正直に伝えた。素だと下に見られると思い敬語だ。だが相手はそれで納得しなかった。確かにメイちゃんが喧嘩腰にいったのもそうだが、相手は、おそらく貴族だ。一瞬にしてまわりの騎士たちが赤に変わり、おそらくダストの親に当たる人もも、
「者共、こいつらを引っ捕えよ。侮辱罪で犯罪奴隷に落としてやる。」
と、宣言してきた。それにつられてダストも、
「最初から聞いてればいいものを。」
と、いってきた。騎士だろうと一人ひとりになら負けないが、多勢に無勢だ。僕たちは次第にステージの方に追い込まれていった。
「捉えたものに白金貨30枚贈呈しよう。」
と、ダストの親はさらに宣言してきた。それにやる気を出した騎士たちが襲いかかってくる。そのときに
『大丈夫?危険知らせが届いたんだけど。』
と、頭の中に言葉が響いた。萌音先輩の声だ。
『ごめんなの。今兵士に囲まれて、大ピンチなの。』
と、僕がそうかえすと、萌音先輩は慌てた様子なく、
『いい?慌てずに聞いて。メイちゃん近くにいるよね?』
と、聞こえたので僕は返事すると、
『30秒以内にメイちゃんと手をつないで。いい、何があっても絶対に離したらだめだよ。』
と、聞こえてきた。僕は急いでメイちゃんの近くによって
「萌音先輩からの伝言が届いたの。僕と30秒間手をつないで欲しいの。」
僕がそういうと、メイちゃんは質問したりせずに左手をさしだした。僕たちは残りの空いている手で騎士たちを牽制しながら、待っていた。30秒がいつも以上に長く感じていると、ステージに並んでいた奴隷の一人が
「はぁ。潜入はここまでかな。ひと目会いたかった人にも会えたしいっか。みんな彼女たちに加勢して。とんずらするよ。」
と、自分についていた首輪を外しながらそういった。そして、どこからともなく、街の入口であった、強面の人たちが現れて騎士たちに攻撃しはじめた。そして、30秒たったのかメイちゃんが急に光りだしたかと、思うと目の前が暗転した。暗転する前にメイちゃんが糸を飛ばしているようにも見えた。
暗転から覚めると目の前に心配そうな顔している萌音先輩がいた。
「大丈夫?怪我とかない?何かあったらあたしがなおすからね。」
と、とても心配してたみたいに僕の身体とメイちゃんの身体をみながらいってきた。隣にいる結希斗先輩も、
「危険な任務任せて悪かったな。」
と、僕とメイちゃんに声かけてくれた。二人にはものすごく心配かけたみたいだ。
「大丈夫なの。特に怪我とかしてないの。それよりなんで、二人のところにいるの?」
僕がそうきくのも無理はない。兵士に囲まれてたと思ったら気づけば森の中だからだ。そして結希斗先輩の服装みて僕は固まってしまった。制服ではなかったからだ。しかもものすごく似合っている。
「それについては、あとから教える。それでメイ、そいつらは誰だ?」
結希斗先輩が僕とメイちゃんが手をつないでいる、後ろに目線を向けながらいった。僕は、その意味がわからず、後ろを振り向き驚いた。メイちゃんの糸で結ばれてる奴隷が5人いる。女の子3人、女性2人。奴隷は、自ら首輪を破った1人を含めて全員で11人いたはずだ。そのうちの半分をここに連れてきたらしい。
「奴隷。助けたかったから連れてきた。」
と、説明した。どう考えても説明不足で、結希斗先輩が頭を捻っているので僕が彼女たちのことを説明した。
「ふぅん。なるほどね。メイよくやったな。」
と、結希斗先輩はメイちゃんの頭をなでた。
「助けられるなら助けたほうが気分いいしな。まぁここからは移動しながら話すか?琴葉たちは目的は達成できたんだろ?」
と、結希斗先輩に聞かれたので僕は大きく頷きかえした。
「お疲れ様。」
そういって、結希斗先輩はあるき始めた。それに萌音先輩が続いたので僕たちも動き始めた。メイちゃんはもう糸を外してて奴隷たちに
「ついてきて。」
と、だけいってかけて結希斗先輩の横にならんだ。奴隷たちもわからずそのままついてきた。一気に9人まで増えた僕たちのグループは隣の国にあるきはじめたのだ。




