プロローグ 2 ステータスと追放
生徒や教師などが一人ひとりが水晶に触れて一喜一憂する中、事件が起きた。制服の色的に後輩で、黒髪で大人しそうな女の子が水晶に触れて、出た結果に問題あったらしい。それをみた大臣がまゆを潜め、その女の子を連れて行くように指示した。学校の大体のやつはそのことにも気づかず自分のことばかりだったのだが、俺は冷静だったため気づいてしまった。この時点で俺は、この国に対する信用は完全に失っていた。
そして、自分と同じ学年のクラスが違う女子も同じような対応されていたため、おそらく望まないスキルがでたんだろう。連れて行かれた女の子たちは別に隔離とかされてるわけではなく角に集められ逃げられないように監視されていた。二人は震えていた。しかも兵士たちがさらに悪口だったり言ってるのか涙も見える。そのことについて周りは何も触れない。きらびやかな服を着た奴らも聖王も。ただよく確認すると、兵士の一人だけその姿を睨んでいた。何度か自分の手を抑えるようにしていたのも印象的だ。だけどその兵士以外は全く気にもとめない。この国の在り方がなんとなくわかってきた。自分はスキル獲得による合否に関わらず国から出ることを決めた瞬間でもあった。
ただスキルについてだけはワクワクしてたのはしょうが無いと思う。ゲームが好きだった俺からしたら、たとえその国の人が嫌いでも、スキル獲得はゲームでは絶対あることだからね。そんなこと考えていたら、俺の番がまわってきた。
「次のもの」
案内の兵士に呼ばれて水晶の前にたった。
「この水晶に右手を触れてください。するとあなたのステータスが見ることができます。また、勇者としてあたえられたエクストラスキルと称号はこちらも確認できる特別製ですので、そちらはご了承ください。」
この説明のお陰で、自分が考えていたことが事実と認識できた。やっぱり彼女たちはスキルが求めていなかったものなんだろう。
「いかがなさいましたか?」
俺が触れないため不信感を持ったのだろう兵士が急かしてきた。正直こいつらに知られたくないが触れなきゃ自分自身も知ることはできないな。俺は諦めて触れることにした。すると、目の前に自分のことについて書かれている画面が現れた。
…………………………………………………………………………………………………………
黒波 結希斗 (くろば ゆきと)
年齢 16 (誕生日10月4日)
性別 男
Lv 1
HP 78
MP 66
STR 85 DEF 25
INT 34 RES 159
MDF 25 AGI 78
DEX 89
エクストラスキル
〘ガチャLv1〙
スキル
〘刀術Lv10〙〘弓術Lv6〙〘毒耐性Lv2〙〘料理Lv3〙
〘格闘術Lv10〙〘家事Lv2〙〘威圧Lv5〙〘気配察知Lv7〙
称号
〘黒波を継ぐもの〙〘刀を極めしもの〙〘救済者〙〘異世界からの召喚者〙
装備
頭 無し
上半身 異世界の制服 学ラン
下半身 異世界の制服 ズボン
靴 異世界のシューズ
武器 無し
アクセ 無し
所持品 リュック
…………………………………………………………………………………………………………
このステータス見ながら俺は、苦笑していた。エクストラスキルはよくわからんがまだいい。問題はスキルと称号の方だ。どう考えても日本にいた頃のことがそのままスキルと称号になっている。確か称号はみれるといっていたから、この称号見られたらなんと言われるだろうか。黒波を継ぐものは、分からなくてもいいとして刀を極めしものは確実にバレたらまずい。なんで刀を極めしものになってるかは分からないが。だが俺の思ってたこととは違う方に騎士は反応してた。
「またか」
そうつぶやくと俺も囲まれて二人の女の子の方に連れて行かれた。正直触れられなかったのはよかったがどうやら俺も欠陥スキルらしい。確かにガチャはわからないもんな。俺自身わかんねーよ。ガチャはわかるよ。好きだったし。エクストラスキルのガチャは何がでるん?そもそもどうやって引くんだよ。まぁ俺的には好都合だったし、多少扱いが荒かったが抵抗しなかった。するだけめんどくさいし、とりあえず一旦流れに任せることにした。
それから全員のスキルチェックが終わりを迎えた。それまでに何度かガチャを使おうとしたが、やはりうんともすんとも言わない。もしこのあと、殺そうとしてくるならなんとかして剣を奪って戦うしかないか。剣は扱ったことはないがおそらく大丈夫だろう。剣で刀の動きをすればいいだけだからな。
そんなこと、考えていると聖王の前のスペースがあけられていて俺たちはそこに連れて行かれた。俺は、軽く周りを見渡して一応人の位置を確かめた。万が一もあるからだ。同じ境遇なのだから隣の二人は意地でも守って見せると心に決め、聖王の言葉を待った。ここで冒頭に戻り、俺等はめでたく追放。同じクラスだった男共はこの追放についてとめないのは当たり前として、ある程度仲良かったはずの友達なども何も言って来なかった。そして先程生徒守ると口にしてた先生とかも、こちらを厳しい目で見ている。この時点で、なんとなく察することができた。おそらくだが、俺たち追放される3人以外は催眠術かなんかにかかっているのだろう。よく思い出せばいろいろおかしかった。異世界召喚に喜んだ男子がすぐ押し黙る、水晶に触れるまでに怪しむ様子のなく、連れて行かれた女の子たちにも無関心、次に並んでいた人など気づくはずなのにだ。それにあの先生もまるで台本読んでるかのように、納得が速かった。だがそのまま連れて行かれるのも癪だし、少しだけ仕返しすることにした。
俺たちが召喚された部屋からでる瞬間に部屋全体に殺気を飛ばした。スキルにあった威圧のおかげかもしれないが、きらびやかな服着てた人の一部は腰が抜けて座り込んでいたり失禁してたりしていた。それはクラスの奴らなど耐性ないやつはことごとく食らってた。一部、聖王の横についてた騎士などは剣を抜いて応戦体制に入ったが、一瞬のことだったこともあり俺と特定できなかったみたいだ。もしかしたら特定したかもだが隣で聖王の腰が抜けているため動けなかった可能性もある。立ち位置的に感じていたが聖王の護衛だろ。俺はスカッとしながら、一緒に追放となった二人の女の子を見た。二人は追放もそうだが信頼していた友達に裏切られたこともあってか、顔色は悪く人生に絶望していた。俺が気の利いた言葉でもかけてあげれたら良かったかもだが、連行している兵士もいるため。それは叶わなかった。
その後、俺たちは馬車に敷き詰められその馬車が動き始めた。馬車の中にいるのは、俺たち3人だけ。俺たち乗ってる馬車の御者に2人、馬車の隣で馬に乗って並走しているのが2人の計四人での連行らしい。なぜらしいなのかというと、馬車の中というより窓なしの監獄みたいで外の様子が全くわからない。それにこの馬車じたいも特殊なのか中から外に出れなそうだった。だから、今は無理だが停まったときに二人を連れ出して逃げ出す方法を考えようとしたときに、頭にピコンと文章が聞こえた。
…………………………………………………………………………………………………………
『城から出るという条件が達成しました。これによりガチャ機能が開放されます。』
『現在開放されているのは〘初異世界チュートリアル無料10連ガチャ〙となります。』
『ガチャを引かれる際には心でガチャ名と起動と念じてください。するとガチャ本体が現れます。あとはガチャまわす条件を挿入していただきますと、ガチャを回すことができます。ただし無料ガチャは条件は存在いたしません。』
…………………………………………………………………………………………………………
この言葉が聞こえたとき、きたと叫びたくなったがすんでのところで我慢した。聞こえたことを整理すると、エクストラスキル『ガチャ』は、なにかの条件を達成するたびに開放されるらしいな。ガチャを回す条件に関してはおそらくだが地球のスマホゲームでいうところの石のことだろう。その石がなにかは説明されてないが、無料では消費しないという文章的におそらく間違いはないはずだ。それにしてもエクストラスキルも地球での俺に引っ張られているのか?まさに俺に適したスキルだな。まぁ色々考えるのはやめて、とりあえず引いてみるか。俺は、2人の方をちらっとみて確認すると、2人とも下を向いていた。どんなのが出るか分からないが2人には一応説明したほうがいいだろう。
「ふたりとも、一回俺のエクストラスキル使って見るからできれば声を出さないでほしい。少なくとも外にいる兵士たちにはバレないようにな。あいつらは敵だから。」
俺が外には聞こえないくらいでふたりに話しかけると、ふたりともこちらを振り向いて静かに頷いた。それを確認した俺は心で念じることにした。
『初異世界チュートリアル無料10連ガチャ。起動』
そう、念じると、タブレットみたいなものが自分の目の前に現れた。