一章 11 ゴブリン
それから、30分くらいで森についた。人が通れそうな場所もあるが、基本凸凹しててあるき辛そうってのが第一印象だ。萌音がちょっと嫌そうな顔をしていたが、これに関してはしょうがないと思う。馬が通るようなスキマもないし、ここならひと目につきにくい。逃げやすそうだが、かわりに俺たちも敵を見つけにくい。
「琴、悪いがまた地理に変えてくれねーか。俺とメイが気配察知持っているとはいえ、万が一にもモンスターや敵に気づかなかったらまずいから。」
森の中にいるとき360°警戒しなくてはいけないから。俺の集中力も落ちて見落とす可能性もあるしな。こういう場所は安全にこしたことはない。
「わかりました。結希斗先輩。」
琴は元気よく返事すると早速地理にかえていた。そして、
「このまままっすぐいけば赤い点と当たりそうです。」
と、続けていった。森の中で赤い点といったら、魔獣とかだろ。流石に見知らぬ人が急に敵意だすとは思えないしね。
「とりあえずその赤い点の近くまで行ってみて様子見てみようか?おそらく魔獣とかだと思うし。そういえば、メイ、さっきもここに来てたんでしょ何の魔獣いた?」
俺が、歩きながら聞くと、メイは俺の方に振り向き、
「ゴブリン。大量。あっ忘れていた。リュック返す。」
と、俺のリュックを返してきた。そういえば貸したままだったね。俺はメイからリュックを受け取った。そういえばなんで借りたのだろうか?このリュック鑑定したらわかるのかな?
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リュック
〘マジックバック〙〘重さ一定〙〘耐刃〙〘耐炎〙〘耐水〙
転移した際に何らかの影響を受けて、4.5メートル四方のマジックバックとなっている。
内容量
筆箱
ボイスレコーダー
ゴブリンの魔石74
ホブゴブリンの魔石17
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重さ一定
どれだけのものを詰め込もうと、中の重さは変わらない。
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なるほど、メイが借りた理由がわかった。それにしても74と17って。一体どれだけ狩ったのだろうか。
そんなこと考えていると、琴葉がとまった。どうやら赤い点のちかくまで来ていたみたいだ。木の影からから覗くとそこには緑の身体に腰巻きしたやつが2体、棍棒もってたっていた。琴葉の察知能力が高いおかげでこっちは気づいているけど向こうは気づいてないみたいだ。ゴブリン同士で、
「うぎゃうぎゃ」
と、言っていた。とりあえず鑑定かけてみるか。
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ゴブリン
討伐ランクF
性別 オス
Lv 3
HP 28
MP 0
STR 15 DEF 5
INT 0 RES 4
MDF 0 AGI 3
DEX 12
スキル
〘棍棒Lv1〙
装備
頭 無し
上半身 無し
下半身 汚れた腰巻き
靴 無し
武器 汚れた棍棒
アクセ 無し
所持品 無し
抵抗しない女性を襲い繁殖行動をとる。腰巻きは全く洗ってないため汚い。ばい菌や寄生虫がいる場合が多く、万が一にも触る場合は、浄化魔法使うか、使い捨ての手袋使う方がいい。
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とても弱いな。もう一匹も似たようなものだった。ふたりともそれを感じたのか少し安心したような顔をした。琴葉は浮かんでいるテキストブックを音楽に変えて、萌音も幣を構えていた。そしてゴブリンの方をみなおすと、お互いに棍棒で殴り始めた。俺が不思議に思っていると、
「超音波で攻撃って、ちょっと分かりずらかったのですが今のゴブリンを見てみると、状態が幻覚になっているんですね。」
と、琴葉がいった。なるほどね。だからなのか。まぁ人間も超音波聞き続けていると、身体に不調出るといわれているしその一種なのだろう。ゴブリンはMDFもRESも低かったので、おそらくかかりやすかったのではないだろうか?
「その状態ってかかりっぱなしなのかな。私が近づいても、かからないよね?」
萌音が、確認すると琴葉はちょっと答えづらそうにしながら、
「状態については、僕が音楽で超音波飛ばし続けている限り続くと思いますが、萌音さんや私達への影響はわからないです。超音波は敵指定ではなく、場所指定なので、もし近づくなら僕が超音波きりますね。」
と、琴葉は答えた。これは要検証だな。万が一のときもあるし。とはいえやるとしたら全員防御装備をガチにして攻撃を最低にしていたときがいいだろ。
「了解。じゃー5秒後くらいに行ってくるからその瞬間にきることができる?」
萌音が幣をかまえながら琴葉にきいた。
「大丈夫です。あわせるのはとくいですから。」
琴葉もそう返した。どうやらふたりでやるらしい。俺は、とめようかと、一瞬迷ったが、任せることにした。先ほど俺だけが戦って謝られたばかりだ。そして準備が整ったのか萌音は走り出した。それにあわせて琴葉も地理にテキストを変えた。ゴブリンたちは互いに棍棒で殴り合うのをやめたが、超音波の余波かまだクラクラしていた。そのすきに萌音は近づき、幣を払った。するとゴブリンの2匹の頭の上から黒い煙みたいなのが現れ抜けていくとゴブリン2匹は倒れた。俺が鑑定をかけてみると、
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ゴブリン(死体)
装備
頭 無し
上半身 無し
下半身 汚れた簀巻き
靴 無し
武器 汚れた棍棒
アクセ 無し
所持品 無し
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と、ステータスがなくなっていた。亡くなった人のステータスは存在しないんだなと思っていると、メイが萌音のちかくまでいって萌音の幣に浄化魔法かけたあと、ゴブリンにも浄化魔法かけた。そしてきれいになった状態で俺があげたナイフをスカートの中からとりだし、胸あたりに一撃いれた。そして丸い5センチくらいの玉みたいな石を取り出し、その後右耳を切り落として、浄化魔法かけて、俺のほうに戻ってきた。
「ご主人様これ。」
と、俺にさしだされた。なんとなく予想つくが一応鑑定かけると
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ゴブリンの魔石
状態最良のいい魔石。Fランクの魔石
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と、書かれていた。やっぱりな。
「ありがとな。メイ。そして、萌音と琴もお疲れ様。」
おれ、3人に声をかけた。萌音の幣も琴葉の音楽も十分に武器になるな。そう考えていると、
「あっ。」
と、琴葉から声が上がった。俺が琴葉の方むいてどうしたと聞くと、
「科学が解放されました。」
と、喜んだように話しながらかえされた。そういえば条件は魔物と戦うことだったな。試しに使って見ようというはなしになり、ゴブリンの死体を処理したあとに平野みたいなところでゴブリンが20体集まっているところにいった。琴葉が水素をためはじめて、
「行きます。」
と、白い透明な丸い玉をゴブリンの群れに投げた。念のため他の敵が集まらないようにサイレントにして、爆発させてみた。すると、サイレントの結界の中にいる俺等にはすごい大きな音が聞こえたあと爆風がおしよせた。15メートルくらい離れていたのにこの威力だ。俺ら4人ともあっけにとられてしまった。爆風がおさまったあと、メイがかけていき爆心地を覗いたが何も残っていなかったらしい。俺はそれに呆れながら
「効率はいいが、しばらく封印しような。」
と、いうと琴葉も理解していたのか、
「はいそうします。MPも全部なくなりましたし。」
と、いった。琴葉のMPきれたこともあり、せっかくだしここで休もうという話になった。ここは、開けていて真ん中の爆心地を無視するならとてもいい場所だからだ。