二章 69 報告
「大変だったんだね。」
と、萌音が涙浮かべながらみやびを抱き締めた。それに続くように琴葉や萌夢もみやびに近づき頭をなでたり背中をさすったりした。想像以上だったというのが答えだ。差別に騙されて奴隷など不幸という言葉ですませれるレベルではない。
「これからは私達が絶対守るの。」
と、琴葉が決意の声をあげた。それには賛成だ。そしてそれを聞いていたみやびは、再び感情が高まったのか泣き出してしまった。無理もない。幼い子には過酷すぎる人生だ。みやびが泣き止むまで再び待つことにした。その間1つ確認したいこともあったため、俺はジェイドに顔を向けた。
「ジェイド1ついいか?」
俺がそう言うと、何か考え事していたジェイドが俺に顔を向けて、
「いかがなさいましたか?」
と、考え事をやめ自分の方に聞き返してきた。
「もしかしたら同じことを考えているかもだが、聞き覚えあるか?」
俺がそのようにとうと、やはり同じことを考えていたのか主語を話してないのに伝わったみたいで、
「いえ、主様私は聞き覚えないです。少なくとも、孤児院いる頃その名前を聞いたことありません。今、昔聞いた会話を思い出しても、スコーピオンという名前しか覚えがないですね。まだ、スコーピオンと取引関係にあった者たちが全員捕縛されたわけでも無いのでそちらも気をつけたほうがいいと思います。」
と、ジェイドはいった。スコーピオンか。確か軍関係者に忍び込んでて逃げ出したやつはメイが捕まえていたはず。スコーピオンの盗賊共は俺等が退治したから残党はいるのかな?それと取引相手は少なくとも孤児院と領主は黒だろうからそこの裏をあぶり出すしか無いか。できる限り、速く解決したいもんだよな。それと…
まぁ、今あれこれ考えても無駄か。メイと合流するまではどうしようも無いな。メイの居場所わかるアイテムとかほしいな。俺があれこれ考えているうちに時間がたったのかみやびは泣き止んでいた。
「それじゃ報告するの。」
落ち着いてきたときをみて琴葉が話しかけてきた。そういえばここについてすぐ琴葉達とはすぐに別れた。何していたかはわかるけど一応互いに報告したほうがいいか。
「僕は、萌音先輩とともに奴隷商いった後、萌夢ちゃんの報告を聞いて、僕達も結希斗先輩な手伝いをしたくて北側に行ったの。そこでモンスター大量発生していて、Fランク78、Eランク43、Dランク23個集めたの。」
と、琴葉が報告しながら、魔石を取り出した。北側でも大量発生していたのか。
「一応ギルドにも報告してきたけど、『北もですか………』と、言われたよ。やっぱり結希斗君達の方も多かったのかな?」
と、補足するかのように萌音が言った。どこもかしこもそんなふうになっているのかな?なにかギルドから依頼とかされたら進んで受けたほうがいいかもな。
「ああ。俺達の方もだ。俺からも、報告という程ではないが東の方に行きかなりの数の魔物を倒した。俺らが倒した方にはゴブリン、スライム、オーク、キラーアント、スタントカゲ、ドクロキノコだな。奥には言ってないからなんとも言えないが、相当なかずいたと思う。魔物狩りが終わったあとはここに帰ってきた時にサクが覚醒して、今にあたる感じかな。ちなみにギルドには報告自体はギルマスに直接伝えている。後は……ジェイド他におかしいところあったっけ?」
俺がジェイドに聞くとジェイドは一例してから、
「違和感を感じたことが2点ありまして、まず1つ目は何らかの魔物から逃げているような感じがいたしました。もう一つは、スタントカゲと交戦時にスタントカゲの能力である電気が全快ではなかった点です。」
と、ジェイドが話した。
「そういえばそうだったな。あのときは連戦だったから忘れていたが、スタントカゲが身体にためていた電気満タンてはなかった。今思えばそれもおかしな点だ。まるで何かから身を守ったあとみたいな。」
俺もジェイドの言葉を聞き感じたことを話した。萌音達も考えるような顔をした後、
「私達の方も何だよね〜。琴ちゃんが探知できるなら囲まれたり先手取られることはなかったけど、遭遇する魔物達、まるで逃げているみたいだった。」
と、萌音の方でも同じことが起きていたらしい。やっぱり北と東は同じことが起きているのかな?ギルド長であるジェーダス次第でもあるがメイを待つ間フルメンバーで調査するのもいいかもしれない。