一章 10 逃亡開始
「嫌な気配感じてさ、起きてみたんだけど、何してるの?」
俺は静かにきいた。もともと敵だと思っていたが、よりによって手をあげようとするなんて、俺の中でこいつらの評価が一番下にまで落ちた。掴んでいる腕にドンドン力が入っている自覚もある。掴んでない方の兵士が
「そこどけろよ。どうせお前もそいつらも処刑なんだから。最後くらい楽しんだっていいだろ。」
と、俺に向かって。言ってきた。それにつられてか、手を掴んでいる方の兵士も、
「さっさと離しやがれ。抵抗しようが未来は変わらねーんだからな。そうだこいつ先に殺して怖がっているやつ犯すのもいいな。」
と、言ってきた。俺は鑑定を使ってこいつらのステータスを覗き見た。名前とか興味なかったんで、ステータスだけだ。
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Lv 15
HP 72
MP 84
STR 34(+17) DEF 27(+14)
INT 14 RES 9
MDF 27 AGI 10
DEX 20
スキル
〘剣術Lv2〙
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Lv 24
HP 89
MP 76
STR 40(+17) DEF 31(+14)
INT 19 RES 7
MDF 12 AGI 20
DEX 33
スキル
〘剣術Lv3〙〘防御術Lv1〙
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「雑魚が。」
俺よりレベルは高かったが、それだけだ。Lv1の俺にいろいろ負けてる。
俺は手を掴んでいたやつの手を離し蹴飛ばした。漫画であるように吹き飛びはしなかったが、数歩下がって馬車からおちた。
「てめぇよくもやりやがったな。」
と、落ちた雑魚Aがわめいた。俺が進行方向邪魔していた、雑魚Bは剣を抜き、
「一撃で殺そうと思っていたが、気が変わった。楽に死ねると思うなよ。」
と、言いながら剣を振り下ろしてきた。
「「キャー」」
と、最悪の想像してしまったのか、後ろから悲鳴が聞こえ、兵士の男はニタァと笑みを広げた。だが結果は三人が思い描いた未来とは別だった。俺は、装備していた、黒刀を抜刀して相手の剣を受け流したあと、そのままがら空きだった胸の部分に深い一撃を入れた。即死だったら楽だったもののどうやら耐えたらしく口から多くの血を吐いてた。馬車から落ちたやつもポカンとしていたのでそいつの上に今斬った敵を蹴り落としてそいつの体重で動けなくなった一瞬をついて二人同時に刺した。それだけのことをすれば他も集まってくるものだ。料理などの準備していた残り二人も剣を持って立ち上がろうとしてた。だが俺はあることにきづいたので、
「バレずに逃げる予定だっだが予定変更だ。やれ。」
俺がそういうと、メイが二人の首にかけてた糸を引いて、すぐトドメ刺した。
「任務完了。ご主人様。戻った。」
少し見ない間にかなり強くなってるみたいだな。一体どんなスキル検証をしたのだろうか。
俺は、馬車の方に振り返り、放心している。二人に話しかけた。
「怖がらせてしまってごめん。本当はこんなことするつもりはなかったんだけど、二人が危なそうだったし。ちょっとイラッときてて。殺ってしまった。ふたりとも怪我はないかな?」
俺が優しくこえをかけたが、二人は震えていた。それはそうだ。目の前で怖いことおきて、その後人が死んだのだから。普通の人なら俺のことも怖くなって当然だ。俺自身も実際に人を斬るのははじめてで、平気そうに装っているが若干左手が震えていたしな。流石にこの惨状の元凶いたのでは落ち着くことなどできないだろう。
「俺はそとで待ってるよ。落ち着いたら出てきて。」
俺はそれだけ言い残して馬車から降りた。そして少しでも見えなくするように兵士2人分の死体を持ってメイのところに行き。二人で穴をほって埋めた。多少汚れたがメイが生活魔法の洗浄魔法かけてくれたおかけで元通りに戻った。その後は馬を逃すことににした。さっき兵士たちは国王命令で俺たちを処すと言っていた。そう命令された人たちがいつまでも帰らなかったら、おそらく不審に思い、追手が来るだろう。その時馬の足跡があったらそっちに向かうと思う。少なくとも人間より足跡がつきやすいからな。あくまでこれは推測の域だから、なんともいえないけど。
「メイ悪いけどさ、兵士たちの血も水で流しといてくれない?」
「わかった。」
俺が頼むとメイはすぐに流す作業を始めた。すぐ近くにある池?みたいなところに行き、どこかで拾ったのか、大きい盾のようなやつに水をくみ血を流してた。どこまで偽装工作できるか分からないが、万が一にも追手が来た場合、ここが争った場所とは思わせないほうがいいだろうしね。幸いにも道のりから外れたところに森がある。さっきメイが出てきたほうめんだ。あそこに行けば多少はまけるかな。
そうやって偽装工作を進めていると、二人が馬車から降りてきた。さっきと一緒で多少くらいが、明らかに変わっていた。というのもまず萌音が巫女服に着替えている。そして、琴葉は、地理から音楽に変わっていた。俺がなんて言葉をかけようかと思っていると、
「「ごめんなさい」」
と、開口1番に謝られた。俺が戸惑っていると、琴葉がその説明をするように、
「僕、せっかく音楽を手に入れて攻撃手段を手に入れたのに、怖がってばかりでなにもできなかった。それなのに助けてくれた結希斗先輩のことも怖がってしまって。本当にごめんなさい。こんな僕を許してください。」
と、琴葉が土下座しそうな勢いで頭を下げた。
「私もどこが甘く見てた。私のエクストラスキルと、この巫女服のことを考えて速めに着替えとけば、結希斗君と一緒に戦えたのに、結局結希斗君にだけ汚れ役やらせてしまって。それと助けてくれてありがとう。これからも見捨てないでほしい。」
と、萌音がいった。別に二人が謝る必要ないのに、とっさのときは本当に慣れてなきゃ動けないものだしな。二人にとってはそれがどうしても許せないことなのかな。
「二人は謝らなくていいよ。一緒に追放された仲間だしね。見捨てるとかとんでもない。それに自己紹介でいったろ。もしものときは俺が守るって。むしろこっちこそ目の前で人をやつけるようなシーン見せてしまってごめんね。」
俺がそう声をかけると、2人は、緊張がとけたのかはぁ~といきがこぼれ出た。どうやらおれが離れたことによって俺に嫌われたのではないか。と、思ったらしい。というのも、助けてもらったのに俺を怖がったから。別に俺自身嫌う理由はないしね。むしろおれが、嫌われないか心配だった。はじめてのことで全員ネガティブになってたのかな。そういって笑いあったところで、後ろの馬車が急に壊れた。
メイが気を利かせて破壊したらしい。まぁ、これだけ隠蔽しているならすぐ気づくよな。1番隠蔽したいのはこの馬車自体って。そしてそれを見ていた琴葉が口を開いた。
「そういえば、彼女は誰なんですか?先程から馬車を壊してますが。」
と、聞いてきた。琴葉はまじでわからないのか首を傾げてる。そういえば琴葉は俺のステータスは見てないな。萌音は察したのか、あの娘がそうなのかと小さく呟いた。
「琴は、俺のステータス結局みてないんだね。あの娘はメイ。あの娘も俺のガチャから出てきて、俺に忠誠誓っているんだよね。今も俺から頼んだ通り動いてくれてるし。」
俺がそう伝えると、萌音も、
「やっぱりあの娘、メイちゃんだったんだ。いい子そうだね。」
と、答えた。それに対して琴葉は驚いた顔しながら、
「え、ガチャから女の子もでるですか。」
と、驚いてた。そりゃそうだ。俺も萌音も最初ビビったからな。なんでもありすぎる。エクストラスキルの〘ガチャ〙は。俺は作業途中のメイをよんで、自己紹介させた。
「名前はメイ。ご主人様のメイド。」
あいかわらず、あまり話さずに簡潔にメイは自己紹介をした。それに返すように萌音と琴葉も挨拶した。そしてもう仲良くなったのか。萌音がメイに抱きつき、メイも嫌そうな顔せずにいた。
それから4人で協力して、馬車の残骸まで片付けしてから森に向かった。今日中にできるだけこの場から離れたいしな。本当にくるか分からないが追手から逃走しなくてはいけないし。