二章 63 一難さらずにまた一難
おれらはその後ギルド長室に連れてこられた。そこにはベクトがいた。
「すみません。ギルド長ジェーダスは多少遅れます。それで、スタンピードがおこる可能性があるとはどういうことでしょうか?」
と、ベクトはギルド長室にある、ギルド長席の横に座りながら書類をだした。事情聴取みたいなものだろ。情報の間違いなどがあったら民が被害をこうむる可能性もある。だからこそだろう。伝言ゲームの信用率は低い。俺は自分のギルドカードを取り出し、ベクトの前に置きながら、
「まず、この討伐記録をみて欲しい。依頼討伐分もあるが、それにしても数が多い。今までの森でもそんな数はいなかった。証拠はそこのカードに入っている討伐証明は全部入っている。それにだ、俺等が潜ったのははいって近くだけで奥まで探索していない。」
俺がギルドカードを出したのをみたジェイドも同じく提出した。それを受け取ったベクトは近くにあった機械に通した。
「こ、これは。確認しました。確かに異常です。ギルド長のきてからの判断になりますが、直ちにDランク以上でパーティー以外の冒険者の依頼を受ける事を一時的に凍結します。その、指示をしてきますので少々お待ち下さい。」
と、いって立ち上がりギルド長室を出ていった。俺等はやることがないのでソファーに座った。そして、しばらくしたら、ベクトとギルド長のジェーダスが入ってきて、
「ワハハ。お前達は問題持ってこなくては気がすまないのか?それにしても面倒だな。この時期にスタンピード疑惑とか、きなぐさい。とはいえ、無視もできぬ。とりあえず、そっちはAランクに指名依頼だすから。報告頼む。もう一つの方もな。」
ジェーダスはギルド長席に座って俺等に報告求めてきた。俺はベクトにした説明より、より詳しい説明をした。襲ってきた順番や数、その他森の状況などだ。
「確かにおかしいな。そもそも今回の討伐量考えると、たった数時間で森の魔物が全滅していてもおかしくはないくらい勝っているが、全滅ボーナスは出ていないしな。それに奥深く行っていないのもふまえて、難易度はC以上。下手したらBとかか。今回の調査俺も一緒に出向いたほうがいいか?そっちはわかった。もう一つの方は?」
それと、同時にギルド長が技を使った。その魔法が部屋を覆った。おそらく防音とかの魔法だろう。
「もう一つの方も進展があって、無事あえた。とりあえず今は仲間のメイまちだ。」
そう伝えた後、まだついてない仲間やこれからの作戦について話した。
「なるほど潜入か。少なくとも俺等がやるよりはバレにくいだろうな。それにしてもメイか。こちらも聞いた名だな。まさか君等と繋がっていたとは世間がせまいな。とはいえ、作戦は承知した。だが、バレて逃げられそうになるなら俺は冒険者率いていくから、潜入させるにしろ連絡手段だけは確保しておいてくれ。とりあえずユキト。しばらくは森の調査はいるからその間は自由に英気を養っていておくれ。その後どちらかの方で頼むかもしれない。それでいいか?」
ジェーダスが簡潔にまとめて、俺に聞いてきた。俺は特に問題なかったので頷いた。それを見た、ジェーダスは頷きながら、
「それと今持ってる魔物の素材を買い取りに出しておけ。それに対していくつかの依頼クリアにもしとくし、情報料もだそう。素材に関してはいくつあっても困らんからな。」
と、笑いながら指示を出した。俺にとってはありがたい申し出なのでそれを受けることにした。こうして密談は終わったのだ。