二章 57 良心
「誠ですか?」
店主は驚いたように聞き返した。
「あぁ。ただ確実とは言えないけど……………」
俺は最後の方は、少ししりすぼみになってしまった。萌音が実際に呪いを解いているところは見たことがない。能力だけ見たら可能だと思うが。
「なるほど。ちゃんと効くかわからない薬みたいなものですか。それでも嬉しいです。彼女を見た者で、心配するのは、ほんの一部。酷いものなど即刻処刑しろみたいな事を言っておられました。少しでも解決法探してくれる方は今までいませんでした。噂に聞く公爵
の派閥のものに相談できたら解決法見つかるかもしれませんが、わたしにそういったコネもありません。」
と、店主は残念そうにいった。それにしても、公爵はどこでも出るがよほど善政をひいているのか?確か四人いるんだっけな。それで特定の誰かの名前が出ずに公爵と一律されているのは意味があるのかな?
「すまない。あげて落とすようなことして、また近いうちにくる。」
俺は踵をかえした。少なくとも1度萌音達と合流して、情報共有したあと萌音にここにきてもらうしか無い。
「ごめんなさいなの。絶対またくるの。」
琴葉は厳重に守られた彼女に1言謝って俺等についてきた。
店主が頭をさげて、お見送りを受けながら、通ってきた露店を走りながら、俺等は戻り始めた。
「目的変わっちまったが、とりあえず合流しよう。こちらでは見つからなかったな。悪いが琴。帰ったら、そのまま萌音をつれて戻ってくれるか?あのまま放置するのは良心が痛む。」
おれは、走りながら琴葉に頼んだ。
「もちろんなの。」
琴葉の返事を聞きながら、俺等は来たときの3倍の速度で戻っていた。
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俺等が宿についたのは、どうやら最後だったみたいだ。ついた頃には全員揃ってた。もちろん、バールディア男爵も。何故か俺のベッドで寝ていたが。
「見つかったんだな。」
俺が1言漏らすと、それを聞いていたのか萌音が、
「そうなんだよ。萌夢が見つけてくれたんだ。」
と、自慢するような萌音の声が帰ってきた。
「そうか。それで説明は?」
俺は焦る心を抑えながら聞き返した。
「それは。今からかな。結希斗くん達もここで待ち合わせしてるって言ったら、帰ってきたらおしえて。と、言って眠ってしまって。それより大丈夫?琴ちゃん結構疲れているみたいだけど……………」
と、俺の後に入ってきて、かろうじて立ててると言っても過言ではない琴葉を見て萌音は心配そうに声をかけた。
「……ハァハァ……大丈夫なの。……………萌音先輩……………ハァハァ………………ついてきて………………ほしいの。」
琴葉はバテバテだったが、すぐに戻るように踵を返した。
「あっ待って。回復かけるから。それでどこにいけばいいの?」
萌音は琴葉を心配しながらついていった。
「馬車を使え。ソウヒナ御者を頼む。」
俺は再び走り始めそうな琴葉に声をかけ、ソウヒナに頼んだ。
「かしこまりですわ。」
ソウヒナは返事をして、二人の後をついて行った。
「なにかあったのですか?」
萌夢や、ソウタは呆気に取られ、ジェイドは不思議そうに聞いてきた。
「あぁ。すまないな。今回のこととは関係ない個人的なことだが、どうしてもほっとけなくて。それもふまえて説明するよ。」
俺は奥の方のベッドに座っていて、うたた寝しているバールディア男爵に目を向けた。