二章 56 欠損奴隷
最奥の部屋、そこは厳重に守られていた。だが監禁しているわけでもなく、いや、監禁みたいなものか。でも、むしろ守っているような感じだ。何故なら、
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浄化の扉
〘浄化EX〙
中にいるものを浄化する。呪いなどの進みを止める効果もある。
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聖札
〘呪い無効〙〘瘴気無効〙
呪いを完全に止める能力を持っている。この聖札でつつめば呪いが漏れることはない。ただし浄化の能力はないためその場しのぎでしかない。この御札は装備していると、どのような瘴気発生場所でも、普通のように呼吸して活動することができる。
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浄化の扉に聖札が貼られている。この状況を考えると中にいる人は呪われている可能性が高いな。
「ここは開けて大丈夫なの?それに中の人は大丈夫なの?」
琴葉も心配そうに呟いた。
「こちらで最後になりますが………………正直無事とは言えないですな。昔、悪徳奴隷商が魔物に襲われた時に囮として置き去りにされまして…………………ここに来たとき、それはそれは酷いものでした。ですので、彼女は本当に信頼できる人しかうれません。何より、身体だけではなく、心も傷付いていますのでそれを癒せる方にしか。」
と、店主は、話してくれた。まだ彼女を見ていないのでわからないが、ここまで言われるということはほんとにひどいんだろうな。
「俺らも、そこまで信頼されるようなことはしてないと思うが、どうしてそこまで話してくれたんだ?」
純粋な疑問だ。俺等自身お客さんではなくひやかしの類だ。少なくとも信用される要素はないと思う。それなのに店主が包み隠さず説明してくれることに関しては疑問がわく。
「ふむ、それは、お客様方の目です。ここに来る者はまるで道具を見るかのような目で来店されるお客様がおおいのですが、お客様方の目線は人として見てました。これでも商人としては長い方です。人を見る目は備わっている方です。だからこそ、この話ができました。もし、お客様が購入してくださったら、彼女は幸せになるとおもえたからです。……………それでみていかれますか?」
店主は不安そうな顔をしながらこちらに聞いてきた。
「むしろ入っても大丈夫なのか?中にいる彼女?は呪いが進行して苦しんだりとかはしないのか?」
俺が質問をした。もし俺等が入ることでキツくなるようならやめていたほうがいい。今の俺には中にいるこの傷を癒せない。
「そちらは大丈夫です。この扉には呪いの進行を抑える役目がございまして、開けていても閉めていてもさほど効果は変わりません。」
と、店主から返ってきた。俺は琴葉と目を合わせて、互いにうなづき確認して、
「一応見てみたい。」
「もしかしたら知り合いが直せるかもなの。」
と、2人でいった。琴葉の言っている知り合いとは萌音のことだろう。どこまで効果があるかわからないけどないよりはましだと思う。
「かしこまりました。それではご案内いたします。」
そういった、店主はとびらを開けて中にご案内した。中は今までの奴隷部屋と同じように、奥にトイレ。床には布団らしきものがある。他と、違うところあげるとしたら、その少女だろう。おそらく獣人だと思うが、左手と右足がなく、片目は潰れていた。頭についた耳もかけており、身体は紫に変色していたところもあった。俺達は絶句した。
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ノーネーム
年齢 11
性別 女
Lv 2
HP 30/50 (欠損中のため40%減)
MP 15/25 (欠損中のため40%減)
STR 27 DEF 18
INT 7 RES 0 (呪いにより0に落ちている)
MDF 6 AGI 48
DEX 15
スキル
〘逃げ足Lv1〙〘聞き耳Lv5 (現在発動不可)〙
〘氷魔法の可能性〙
称号
〘忌み子〙〘呪われし子〙
状態
左腕欠損 右足欠損 右目欠損 両耳欠損 魔の呪い
装備
頭 無し
上半身 女性用 奴隷服
下半身 女性用 奴隷服
靴 無し
武器 無し
アクセ 無し
所持品 無し
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魔の呪い
特定の魔物に襲われた時につく呪い。この呪いを発症すると、どんどん衰弱していき、しまいには命をおとす。解除するには身体に溜まった魔を払うしかない。
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なるほど。もしかしたら萌音が直せるかもだな。
「案内ありがとう。この店って何時まであいてる?もしかしたら近いうちに彼女を直せそうな心当たりの人物とくるよ。」
俺は、そういった。