表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/124

二章 50 孤児院の裏取引

 自分は眠れなかったことが神父にバレないようにしながらいつも通りふるまった。そして、隙をみて奴隷たちに接触した。そこにいた奴隷は12人いた。全員暗い顔して下を向いていた。飯は食べているのか痩せ細ってはいない。どうやら自分が把握してない人たちもいたみたいだ。




「すみません。いきなり本題に入ります。君たちは逃げてください。今夜売られてしまいます。」




 自分は、声を潜めていった。それに奴隷たちは驚いた顔をした。しかしすぐに暗い顔に戻った。




「…………………できるなら逃げ出したいにゃ。でも奴隷の首輪のせいで逃げられないにゃ。だから今はせめていいご主人様があたるのを期待するしかないにゃ。」




 と、黄緑髪のショートの猫獣人族がそういった。そういえばそうだった。自分は伝えなきゃという一心で忘れてたけど、本来奴隷の首輪というのはそういうものだ。1度つけられると、その時の一番えらいご主人様しか外せず、せっかくの奴隷を手に入れたのに、そこで首輪を外すような、お人好しな人はそんないないだろ。




「ごめんなさい。」




 自分は謝ることしかできなかった。自分も首輪外せないし、無理に外そうとするとその首輪の持ち主が胴体と永遠にお別れをすることになる。




「別にいいにゃ。その優しさは受け取っておくにゃ。だから、もう行くにゃ。君までバレて巻き添えくらう必要は無いにゃ。」




 と、その猫の獣人は話を切り上げた。彼女の言う通りだ。自分はここにいても仕方ない。そう頭で納得して、その場からはなれた。そしてその日の夜。自分は布団からこっそり抜け出して、彼女たちを見に行った。もちろんどうこうできるわけでもない為、敵を知るためだ。可能なら助けたかったが、それで死なせてしまったら本末転倒だ。そこにいたのは、偉そうな騎士と、スコーピオンのメンバーと思われる薄汚れた服を着て、人相の悪い武器を持った男が数名。そして、商人みたいな格好の人。おそらく奴隷商だろう。どうあがいても自分ではどうにもできないような人数だった。




「せめて、彼女達の未来に幸あれ。」




 自分はそういうことしかできなかった。それが聞こえたのかは分からないけど、先程話した猫獣人が、自分の隠れている壁当たりを一瞬だけみて、速く行け、とでも言いたげに顎をクイクイと動かして。すぐに顔を向き直した。






 ………………………………………………………………………………………………………





「ちなみにですがその猫獣人ですが、今は大丈夫です。何故なら主が助けましたから。」




 と、そこでジェイドは話をきった。俺が助けたって言うならおそらくユフィアだろ。まぁ正確にはメイだが。実際のご主人様とやらは俺に当てはまるし。




「ちょっとまて。一つ確認したいんだが、その猫の獣人ってユフィアだったりするか?。もしそうなら、2ヶ月半前に消えたパーティと名前が一致する。」

 と、ジェーダスは




 と、ギルド長ジェーダスがジェイドに聞いてきた。聞かれたジェイドは静かに頷いた。




「なるほどな。スコーピオンはやはり冒険者ギルドにも手を出していたんだな。おいベクト。この後調べまくるぞ。少しでも関与している奴ら全員に罰を受けさせる。」




 と、ジェーダスは、力強く副ギルド長のベクトにそういった。確かに信用問題とかにも関わるだろうしな。




「そうですね。このままでは、信用失墜だけではなく、あの方に顔向けもできなくなります。」




 と、ベクトは証言書を書きながら答えた。あまりの話の重さ的に証言を残した方がいいという判断だ。ジェイドが話し始めてすぐに許可を求めてきた。




「あの方?」




 萌音がたまらず聞き返したが、




「こっちの話だ。」




 と、ジェーダスは話す気がないらしく、そっぽを向いた。





 ………………………………………………………………………………………………………





 その後、自分は神父の目を盗み、他の子供達を説得して1ヶ月のあいだに逃げ出す準備をしてまわった。。自分はコツコツお金を貯め、逃げ出した時に保護してくれる冒険者を雇う準備をしていた。




「スコーピオンとはいえ、冒険者いる中堂々と襲ってはこないだろう。」




 そんなことしたら、ギルドも本気で討伐するためにSランク以上などを派遣することになるだろうし。それに自分達の証言があるならそれ相応の対応してくれると思う。




 そして、ついにその期限の一週間前になった時、例の商人が来て、ソウヒナを連れてきました。まだその頃は奴隷の首輪もつけていなかったため、ソウヒナも巻き込んで脱出する準備を深めた。ソウヒナはこんな性格だが、面倒見が良かったため、小さい子たちもすぐに懐いた。




 その2日後に自分はギルドの受付に依頼をだした。これで逃げ出す準備は完璧と思っていたのに、ここからさらに悪夢が始まった。




 当日の夜




「皆、準備いいか?」




 自分が小さく声をかけると、皆とうなづき返した。そして神父にバレないように移動して、冒険者との待ち合わせ場所に行った。だけどそこには冒険者は誰一人いなく、代わりに奴隷引き渡しのときにみたスコーピオンが前後を挟み打ちにした。




「お疲れ様ー餓鬼共。いい考えだが足りなかったな。さてコイツラは商品だ。傷つけるなよ。」




 と、1人のリーダーみたいな人がいうと、オーと全員返事して俺達を捕まえようとしてきた。




「…………ジェイド兄ちゃん。」




 不安な声を上げる歳下の子たちを守るように経ちながら自分とソウヒナは戦った。だが、多勢に無勢、俺達が負けるのは時間の問題だった。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ