二章 46 冒険者2
「では、ここから、冒険者としての仕事内容を説明したいと思います。冒険者は大きくわけて5つの仕事で成り立っています。【討伐】、【採取】、【護衛】、【散策】、【雑事】です。」
と、副ギルド長のベクトが、指を折りながら説明した。【討伐】、【採取】、【護衛】はある程度想像はつくが、残り2つの【散策】、【雑事】はちょっと分かりづらいな。
「では【討伐】から説明したいと思います。これは、指名手配犯の捕獲や街に被害をもたらす魔物の討伐などがこれに当たります。また、魔物がスタンピードを起きたときに魔物の征討にあたるという仕事もこちらに分類されますね。そして、【討伐】の仕事系統は、基本的に討伐証明が必要になります。例えばですが、スライムなら核。ゴブリンなら左耳。ウルフ系統なら牙みたいなものですね。それらを受付に提出することにより、依頼達成となります。初心者クエストだとゴブリンを倒せ。とかですね。」
ここまでは、よろしいですか?と伺うような顔で副ギルド長がこちらを向いてきた。【討伐】に、関しては一番想像がつきやすいな。地球知識の通りだ。だが、わからないこともある。討伐証明の場所だ。せっかく倒したのに、それが証明にならず無駄骨とかはやめたい。まぁわからなかったら倒した魔物をそのまま持って帰って来たらいいだけだが。
「一応聞くが、討伐証明の場所とかギルドが教えてくれるのか?それとも依頼書とかに書かれているのか?」
俺の質問に感心でもしたのか。2人揃って「「ほぉー」」と声を漏らした。ベクトは驚きで目を見開いて、ギルド長のジェーダスはニヤリと笑った。新人がこの質問するのは珍しいことなのか?その反応を見た萌音達は逆に困惑した顔をしている。
「おまえらちゃんと聞いてるんだな。しかも、その質問にたどり着くのはいい。冒険者の座学聞かねーやつ多いし、その疑問をもたないやつは必ず依頼でミスする。上目指すなら人の話聞けってんだ。まぁ愚痴は今はいいとして、お前さんの疑問は場合によりけりだ。例えばだが、皮が欲しいからホーンラビットを討伐して欲しいという依頼があるとしよう。本来のホーンラビットの討伐証明は角だが、この場合は皮になる。まぁ討伐証明というより依頼品納品だが、これが、依頼書に書かれている場合な。ただホーンラビットを討伐して欲しい。だけなら討伐証明である角だ。そして、討伐証明については、ギルドの受付嬢に聞けば答えてくれるだろう。他だとギルドの中にある図書にいけば魔物分布や討伐証明など色々学べるぞ。貸出はやってないが、勝手に調べて自分用の紙に書いたりとかしたらいいぞ。」
と、ジェーダスが説明してくれた。なるほどな。後で図書室にも行くか。唯華ならすぐに覚えられるだろうけど、今、いない人に頼んでいたらそれこそ見の破滅に繋がりそうだしな。てか唯華は今何しているんだろうな?
「質問なの。討伐数とかあるの?それと討伐証明だけではなく、討伐した魔物全部持ってきていいの?」
と、琴葉が質問をした。確かにそれも知っていた方がいいか。もし討伐から帰ってきた時に、足りないから依頼達成にならないと言われても困るからね。それともう一つの質問は、明らかに魔法収納やマジックバックのことを考えての質問だな。俺達、基本解体ナイフで解体はしているが、なにが必要かもわからないため全部持ってきているからな。最初のゴブリン共以外。あいつだけは持ちたくねー。
「その説明には、まず依頼について理解を深める必要があります。依頼も3つありまして、【常駐依頼】、【通常依頼】、【緊急依頼】の3つあります。【常駐依頼】は毎日同じクエストが貼られているやつでして、薬草収集や、スライム、ゴブリン討伐などが基本となります。これらは受付で依頼を受ける必要がなく、毎日どれくらいやっても問題ないものとなっております。そのため1匹だけ狩ろうが、100匹狩ろうが、1匹の買い取り価格は変わりません。それに対して【通常依頼】は、日付と依頼料が決まってますので、それだけの数集める必要があります。もし多すぎた分はギルドが買い取ります。ギルドは適正価格で買い取りますので期待はしないでください。」
と、説明してくれた。つまり数指定の場合過ぎても問題はないのか。それなら気にせずどんどん倒して、一日の最後に数えて、足りてたら納品したらいいのか。
「そして、2つ目の質問ですが、そちらもゴブリンなどの常駐のものは基本的に討伐証明以外いりませんが、それ以外の魔物は買い取れる場所は買い取ります。ただし、解体してなかったら報酬一割減となります。」
と、詳しく説明してくれた。
「詳しく理由を説明するとだな、討伐証明以外は扱いとしては自由依頼となる。だから、ギルドの貢献ポイントは入らねーし、納品ばっかしててもランクはあがらねー。でも素材によっては何かと使えるから買い取ってるってわけだ。例えばオークやボアなどは食用になるし、ウルフなど毛皮のある動物魔物は服などに使えるしな。まぁちょっとしたお小遣い稼ぎだな。」
なるほどな。これなら俺等も助かるな。基本的にゴブリン以外のやつは解体したあと保管しているから、換金してお金に変えてもいいな。つまりだ。俺達はそれに対してはすごく有利というわけだな。
「ありがとうなの。わかりやすかったの。」
琴葉のお礼を聞いたベクトは、俺達を見渡しながら、
「他に【討伐】についての質問はありますか?」
と、確認をとった。俺もチラッと萌音達を見た。全員軽く首を振っていたため、俺が代表して、
「今のところは無いな。また質問出たらその都度きくよ。」
と、まとめた。
「わかりました。続いて【採取】について説明いたします。こちらも【討伐】に続いて多い仕事内容と、なっております。主に、鍛冶ギルドや医療ギルドなどからの業務連携しているギルドからの依頼が多いですが、薬草を摘んだり、鉱石をほったりが多いです。依頼内容によっては所持スキルにより受けれないこともありますのでご注意くださいませ。そしてこれが、一番大事なのですが、常駐依頼の薬草採取ですが、日によって報酬が変わります。」
と、ベクトは言った。