二章 45 冒険者
「それはおいておいて、今回の謝罪も含めてだ、紹介状もあることだし、結希斗、萌音、琴葉。3名をDランクと認定する。そして、萌夢、ジェイド、ソウヒナをEランクに認定する。」
その言葉に俺達はポカーンとした。少なくともジェイドが聞いてたより俺と萌音、琴葉は3人は高い。
「1つ聞いていいか?聞いた話だと、初心者がなれるのはEが最高みたいな感じじゃなかったか?」
相手はギルド長ジェーダスだが、俺は敬語を使っていない。下手に敬語使って、さっきみたいに舐められるのも嫌だしな。萌音や琴葉も気になっていたのか、俺の言葉にうなづいている。ジェーダスはそれに対して少し笑いながら、
「少なくとも、君等3人は盗賊討伐経験あるだろ。俺のところに報告が来てるぞ。まぁ兵士や貴族両方からだな。冒険者ギルドは有事に備えて普段から様々な情報を集めてるからな。あらかじめ知っていたから本来の試験より難易度あげてたんだが……………まぁ、お前の試験は潰れたが、おかげでよりお前の実力わかったしな。あそこで倒れていた奴らは高いやつでDだが、あれだけ人数いるのは盗賊依頼だと、Cランクの6人以上のパーティもしくはBランクのクエストだからな。少なくともDですら低い。とはいえCにあげるための条件は足らないからな。」
と、ジェーダスは説明してくれた。確かに俺等のことギルドに知られてておかしくはないか。昨日だって貴族のバールディアに情報渡ってたしな。まぁバルガーやサザカなど砦の兵士からだろうが、まぁ冒険者ギルドもそこからかもな。それにしてもあんな弱いやつが表記通りDだったんだな。
そしてそれを聞いて、俺は納得したが琴葉は逆に困惑した顔していた。
「結希斗先輩の試験なにがあったの?」
と、つぶやいていた。まぁまだ言ってなかったしね。まぁその説明は後でするとするか。そんな事考えていると副ギルド長のベクトが、書類を俺らの前に置き始めた。
「それではランクが決定いたしましたので、冒険者としての講習を始めます。」
と、ベクトが宣言した。そういえば、試験後にちょっとした講習があるって言ってたな。俺が手渡された資料を見ると、まず冒険者ランクについてとめやすみたいなものが書かれていた。
「皆さんはDやEになりましたがそこから上のランクについて説明いたします。3名がEランクのためDランクから説明いたします。盗賊討伐しますと、よほどのことがない限りDランクとなります。理由としましてはEランクまでの墜ちた冒険者が盗賊になるケースが多いからです。ギルドとしては嘆かわしいはなしですが。ただし、そう都合よく盗賊などいませんので、基本的には依頼達成数と、Dランク魔物の討伐有無です。Dランクの1個上がCです。こちらは、基本的に依頼達成数が規定数行くことと、護衛依頼が必須となっております。また依頼受けるペースだったりなども加味されますのですぐには許可がもらえないです。その時に所属しているギルドマスターの許可をもらえてやっとランクアップ試験が受けれます。」
なるほど。冒険者ギルドのこと知らないからこういう講習はありがたいな。次の目標としての行動指針がわかりやすい。ジェイドの話だと盗賊討伐が必要って言っていたけど必ずしも、というわけではないんだな。まぁ確かに都合よくいすぎたらそれはそれで困るか。治安が悪すぎるということになるからな。
「本来ここまでしねーんだが、お前らなら冒険者第2のかべも簡単に超えそうだから説明するけど、Cの上はBだ。B以上だと指名依頼も増えるから、その分難しさも厳しくなる。具体的な試験内容とかはいえねーが、凶悪と分類される魔獣のパーティで討伐できることが必須条件となる。そしてBの上はA、S、SS、SSSとなるな。現在最高ランクに位置しているのこの大陸で1人だな。別の大陸には他にもいるだろうが、冒険者ギルドは基本大陸ごとで管理してるから他の大陸の情報は入ってこないからわからん。まぁこの大陸の近くの島国までは管轄だがな。」
と、ジェーダスがさらに上のランクと冒険者ギルドの管理状況までおしえてくれた。この世界って別大陸とかもあるんだな。とはいえ大陸一個の情報入るのか。それはそれでかなりすごい組織だな。
「質問なの、その最高ランクになるにはどうすればいいの?」
萌音も俺みたいに敬語は使わずにきいた。言われて見たら疑問だよな。大陸で一人しかなれないほどの冒険者になるためとかわからないし。
「あーSSSになるのは一番条件カンタンだぞ。大陸の危機と評される程のモンスターとか倒すとか、いくつかの国を崩壊させた奇病などを治療に貢献したとか。そのレベルの偉業やるだけだからな。つまり英雄になればいいってことだ。」
と、ジェーダスは言った。
「「「「「「いやそれのどこが簡単なんだよ。(簡単なの?)(簡単ではありませんわ。)」」」」」」
思わず突っ込んでしまった。ここだけは全員シンクロしてもおかしいことではないと思う。大陸で危機とされるほどのモンスターとか、今までのモンスターが蟻みたいなものだろう。普通に考えて出会いたくもねーな。それにしてもジェーダスは余裕そうだよな。まさかジェーダスがSSSなのか、言うくらいの余裕だよな。まさか本当にそうなのか?
俺が思考を恵ませていると隣に座っているベクトがハァとため息をついて、
「Aランクまでしか行けなかったギルド長が何を言っているのですか。」
と、呆気なくバラした。やっぱりジェーダスがそんなことないか。そしてベクトは呆れたふうにジェーダスをみながらプリントの次のページをめくった。それにみならって俺等もページをめくった。それを確認したベクトは
「では、説明に戻ります。ここからは最低限の規則です。まず冒険者ギルドは国の政治と相互不干渉となっております。だから、貴族や王族などからのギルドを通さない依頼はいくら権力をちらつかされても受ける義理はありません。そもそもギルドを通さない依頼は自由依頼となり、それは冒険者各自の自由となります。たとえば、貴族などから自由依頼をうけて暗殺などしたとしましょう。もしその暗殺された人が、ギルドでも盗賊や、市民を害するものとして判断された場合は大丈夫ですが、もしただの政治的理由ってだけでの場合ギルドカード剥奪の上、兵士などに拘束されてもこちらでは責任を負いません。また、そういう理由で、剥奪された場合再登録できませんのでお気をつけくださいませ。あらかじめ説明しているはずなのですが、これは年に数回は確認される事案となっております。」
と、ベクトは俺等に声を低くして説明している。つまりだ。自由依頼受けてもいいけど自己判断でね。ギルドは関与しないし、最悪カード剥奪だよ。ってことか。でもこれは当たり前だろうな。ここまで具体例をあげるってことはベクトも言っていたが本当に多いってことだな。
「ベクトが、相互不干渉って言ったが、稀にだが国同士の戦争で国王や貴族が冒険者に依頼として出す場合がある。冒険者は大陸で管理しているが、戦争だと別だ。自分たちが所属する国の一般人をより多く守るため。ギルドとしても緊急依頼として正式に受けられる。受けたものには最低限のバックアップはする。まぁいわゆるギルドのグレーゾーン扱いということだな。冒険者にだって守りたい家族はいるもんだからな。」
と、ジェーダスが補足した。確かに戦争始まっても冒険者は動けず、眼の前で家族殺されるの見てろ。とかになると冒険者なりたがる人が減るだろう。それを防ぐ措置でもあるんだろう。
「もう一つ冒険者には報告義務があります。依頼時に感じた異変の報告はもちろん依頼書に書かれている内容を依頼人から反故にされたりや依頼じたい違う場合もです。例えば魔物の討伐と依頼出されていたのに、殺人依頼だった。とか、完璧な状態で納品したのに大きく買い叩かれそうだった。などです。これらは契約違反になりますので、依頼達成のために言われた通りに行わず、1度ギルドに報告してもらいます。そして相互の視点からみて契約違反と判明した場合は依頼取り消しとなります。」
「これについても補足だが、依頼されたのが角で折れてたために依頼料ださない。とかいうことあるんだが、それは冒険者の責任だ。それで文句言われても俺らは知らないし、普通に依頼失敗となる。ギルドは中立の立場だと思ってくれ。どちらからの視点も見るしどっちにもつかねぇ。」
と、ジェーダスが締めくくった。まぁ妥当だろう。どちらかのみかたするようなら、誰もその依頼受ける気はおきないだろうからな。