書くことが苦しいんだ。
小説家とは孤独なものだ。
人に読んでもらい、評価されるその時まで、ただひたすら画面とにらめっこしている。
その間は己との対話。 まるでラッパーのフリースタイルの向き合い方みたいな状態がずっと続く。
書きたいこと、書きたいもの、書きたい世界、頭の中に広がるそれを文字にして落とし込む。
あぁ、なんて苦しいんだろう。
この世界にある言葉なんかじゃ言い表すことなんてできない。
果てしなくどこまでも広がる私だけの世界を、どうやったって伝えきることなんてできない。
溢れ出るアイデアを、具現という呪いから守りきれはしない。
漫画は半分程度、小説はそれよりもっと少ない情報しか伝えることができないらしい。
苦しいだろうこんなもの。
本当に伝えたいこと、見せたかった景色、分かってほしかったこと、どれも半分も伝わらないなんて。
このたった四百文字の小説とも言えないこの文字から、私の気持ちはどれほど伝わるのだろう。