第二話 転生
目が覚めた先は小屋の中、足元には魔法陣がありその中心に俺が立っている、所々埃があり長年使われていないことが分かる。意味が分からん、確かに異世界転生とかいいな、とかは思ったが流石に非現実的すぎる。走馬灯の類か?よくわからん。
「よおあんた、召喚が失敗でよかったぜ」
背後から声、しかも日本語思わず振り返る。
声を出した諜報人は椅子に座っており、血塗られたロングソードとブローニング・ハイパワーを持っており、年は40代後半、日本人ではない、足元には5人の死体があった。本人は息遣いが荒く衰弱している。
「その反応を見ると言葉が分かるようだな、まあ俺を看取ってくれや、今から死ぬ人の願い事なんだ、聞いてくれや」
「看取ってやるのは構わないが質問させてもらうぞ、お前は何者だ、ここはどこだ、召喚ってのはなんだ、なぜ言葉が通じる」
「いきなり多いね、まあいいだろう。俺はウィリアム・ジェームズ覚えなくてもいい、ここはネキア共和国南側の廃村の中、召喚てのはあんたの場合、供物を捧げ、その代価として兵器が出てくるっていう仕組みさ、その際この世界の言葉が分かるらしい、それともちろん従えるように死の刻印を刻まれるんだが、ほれ俺の足元にいた奴らが召喚してたやつ、まあ死んじゃったから何もできなかったって訳。んでその中の一人に呪縛のスキル持ちがいてな、その効果が衰弱ということさ」
んん?今スキルとか言わなかったか、ということはここは異世界ということか!非現実的だが喜びが止まらない、でもあれ?供物は何なんだろう。
「すみません、さっき供物とか言ってましたが供物は何なんですか?」
「……この村の全ての住人さ」
は……一人に付き供物の量がおかしくないか、普通はなんかの動物の心臓とかじゃないの?!
「……そもそもあんたら対象者にはここに召喚された際、特別なスキルを持った状態でくるんだ、しかも過去の事例のほとんどの対象者は戦闘員らしいぞ、召喚する側からしてみればバケモノが数百人の犠牲で出てるんだぜ利用しないわけないだろ?」
「でもそれじゃ自国の民を捧げろということじゃないですか!それは流石に他の国民も黙ってないでしょう!?」
「敵国に攻めるんだ、領地も賠償金も手に入れられるしな、一石二鳥なんだ、それで俺が生まれる前に戦争があったんだが北のゲルカ連邦国が宣戦布告して周辺国は吸収され、ここもヤバかったらしいが敵の捕虜を使い召喚の儀を行ったそうだ、そして休戦までしたらしいが最近また活発になってきていてな、ここもその一環さ、つまり転がってんのはスパイってことだ」
つまりはそろそろ戦争が起きる、ってこか
「でもあんたはもう死んじゃうんだろ、どうすんだよ祖国を守れないじゃん」
「……お前がやってくれないか?俺の装備も全部くれてやる、だから頼む!」
自分は正直言ってこういう願い事には弱い、まあ色々話し合った仲だしな。
「分かった、その頼みは引き受ける、けれど何か連絡することはないのか?例えば家族とかさ、未練を残されたまま死なれるのは気まずいんでね」
「いいや、ないさ。今さっき上司にスキル【メッセージ】で事情を伝えたからな大丈夫だろう、ああそういえばスキルは自分が念じれば何のスキルが使えるか見えるぜ、ハイパワーの残弾数36発だ、そいつの弾の作り方は分からないから大切にしろよ!
あ、そういえばあんたの名前を聞いてなかったな」
「金剛、金剛・翔だどこにでもいた一般人だよ」
「そうか……召喚に巻き込まれた災難だったな、じゃあ俺は寝るよ、ありがとう」
そう言ってさっきまで話していた人の心臓の音が聞こえなくなっていった、俺は穴を掘りロングソードに銃・フード・胸当て・地図を取り、埋めた、こちらこそありがとう、そしてさようなら。
例の小屋から数分歩いたところスキルのことを思い出し確認してみる、目の前に出てきた文字それは、【観測者】隣の欄には飛び道具などの軌道が分かるようになる。と書かれている、これが果たして強いのかは知らないが二度目の人生、つぶすわけにはいかない。
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