表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/94

この世界を満喫させてもらってます

「なにー! プックル、急ぐぞ!」


「もちのろんさ」


 町の外で会った父ちゃんに手紙を渡すとこうなった。

 この町で携帯食としてカチカチのパンと干し肉を大量に買い込んである。

 水は魔法で出せるのでなんとかなるだろう。


 爺ちゃんからの手紙にはぼくの弟が生まれたことが書いてあった。

 一分でも一秒でも早く帰らねばなるまい。



 馬車で1ヶ月という距離をぼくらは身体強化魔法を駆使して12日で走り抜けた。

 村で宿をとらず、全部野宿だ。

 夜行けるところまで駆け、簡素な食事をとり、火もたかずにマントに包まって眠る。

 薪を集める時間も惜しい。

 地図を見て、ショートカットできると思えば森を突っ切る。

 魔物に襲われても走りながら斬り捨てる。

 あ、父ちゃんがね。

 ぼくの武器は途中で作った魔物の皮を使った鞭だ。

 剣とか重いし、走るときにガチャガチャと邪魔なのでぼくの分は捨てた。

 攻撃力とかあんましないけど、鞭はけん制に役立った。


 王都の門に着いたときはぼくら二人はぼろぼろの服で体も汚れまくりの小汚い格好だった。

 通常なら一般用の列に並ぶんだけど、誰も並んでいない貴族用の方へとズカズカと進んでいく。

 ぼくらのギラついた目に怯んだ兵士が槍を構え応援を呼ぼうとしたが、父ちゃんに気付きそのまま中に入れてくれた。

 元同僚だったようで、侯爵家のものであることを知っててくれたみたい。

 助かったよ。


 当然、街の中もぼくらは爆走し、無事我が家に到着することができた。


 いつものほほんとしている母にも流石に叱られた。

 わざとじゃなくて、不可抗力だったんだけどしょうがない。

 ぼくらは弟(息子)にすぐ会いに行こうとしたが、汚いってことで風呂に入り服も着替えさせられた。

 まぁ、当然だわな。




 プックル、6歳の春。

 なぜか学園の魔術科の入学試験を受けている。

 普通8歳で入る人がほとんどだが、平民なんかは才能があると分かった子を入学させるので8歳より遅い場合もよくある。

 ぼくの場合は王都に縛り付けるという理由が結構あるみたい。

 この前の妖精の件は不可抗力だよ。

 なんにしろ、うちの母さん、ヴァルツォークの爺ちゃん、婆ちゃんの強い要望で6歳で入学試験を受けることに決まった。


 筆記試験は結構できたと思う。

 歴史の問題とかは板芝居を書くのに色々調べたりしたのが役立った。

 魔法理論とかも詰め込んだよ。

 だから、筆記は大丈夫。



「この水晶に手を当ててください」


 おぉ、前世の記憶が言っている。

 これは魔力量測定の水晶だと。


「Cマイナス」


 なぜか、評価がアメリカ式なんだよね。

 A+からDー、そしてそれ以下の不可となる。

 ぼくのC-は下よりちょっと上って感じかな。

 いやいやいや、ぼくってずっと身体強化魔法とか使ってたりしたし、結構魔力あるはずでしょ。


「あの的を狙って魔法を撃ってください。属性はなんでも結構です」


「(アルヴァ様お願いします)ウォーターボール!」


「簡易詠唱魔法ですね。速度もコントロールも問題なし、評価A」


 アルヴァ様にお願いするのは心の中でおこない、魔法名だけを口にして魔法を放つのにはもう慣れた。



 入学試験には無事合格した。

 結果は点数こそ出されてないが点数順に名前が掲示される。

 ぼくは後ろから数えたほうが早い感じだった。

 あ、リーグにぃも商人科の試験を受けて無事合格してたよ。

 彼は上から数えたほうが早かったけどね。

 ぼくとリーグにぃは氷の生活魔法を作って、その権利と発明者という名誉を国に譲ったことにより学園の入学金や授業料諸々免除してもらえることになったんだ。

 学園に通っている間伯父さんは護衛の人たちと行商を続けることになっている。

 伯母さんは2年ほど行商には着いていかないみたい。

 あ、伯母さんのところはうちより1ヶ月くらい後に娘が生まれたんだ。

 その子もうちに一緒に住んでるけど、弟と並んで寝てたりしてて二人ともとっても可愛い。





 拝啓 神様


 学園の入学試験で魔力量の測定ができるっていう水晶で調べたんだけど、ぼくの魔力量は平均より大分下みたいなんです。

 長時間身体強化の魔法をかけ続けることができて、うちの父ちゃんも凄い魔力量だなって感心してくれてます。

 魔力量測定で少なく表示されるとかってバグじゃないでしょうか。

 確認お願いします。



 プックル



 頭の中で神様にお手紙を送ったらすぐに返事が来た。



『魔力量が少ないという結果に間違いはありません。魔力は使えば使うほど伸びるという考察にも誤りはなかったのですが、そもそも最初に魔力と思っていたものは、アルヴァ様があなたのスキルを調整した際の神力の残滓でした。その神力の残滓を魔力と勘違いして体に循環させたため、神々と比べると極微量ですが体に神力を蓄えることができるようになったのです。また、魔法を使う際にですがアルヴァ様にお願いした場合はアルヴァ様の祝福により神力を使用することができるようになっております。魔力を使う際は他の人間と同じく担当する神に祈りを捧げるとよいでしょう』


 結構初期の段階でバグを見逃してたのか、失敗失敗。


『そう気にするでない。こちらも今の今まで気付かず申し訳ない。神との繋がりから神力を掠め取られる不具合が見つかってよかった。お主については人による神力使用のテストケースとしてこのままにしておく。引き続きこれからもよろしく頼むぞ』


 この楽しい世界に転生させてくれて感謝しかありません。

 一生懸命とはいえませんが、人生を楽しみつつこの世界で不具合が見つかったら、報告させていただきます。


 ぷっくるくんはまだ6歳!

 学園への入学は決まったばかりだし、これからの人生まだまだ色々楽しませていただきます。




   ―終―




だらだらと毎日単発で話を続けていこうと思っていましたが、毎日投稿……毎日投稿?……毎日投稿(土日除く)で日々小説を書くことに追われるようになってしまい、負担が大きくなったため終わらせることにしました。

他に書きかけのものがあるので、それを書き溜めたりしてそのうちまた新しく投稿したいと思います。


いいねを毎回つけてくださった方、ブックマークや評価をつけてくださった方、話を書くにあたって、やる気を与えてくださったことに感謝いたします。


機会がありましたら、またよろしくお願いいたします。


9/17追記

新しく投稿始めました。

「元ニートのおっさん、罠師として異世界へ遠征する」

のんびり投稿していく予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] めちゃ面白い。 [一言] 続編に期待
[一言] 投稿お疲れさまでした。 ここ最近の楽しみだったので終わってしまうのは残念! でも、変にダラダラと引き伸ばすよりは良かったのかもしれないですね。 短編小説として見たときに、どうしても登場人物が…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ