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我が家への帰還

 結構時間がたって、落ち着いたのか皆が集まってきた。


「今回の一番の功労者はその人間の子供だな」

「そうにゃ、一番にゃ」

「今までに無い刺激だったにゃ」

「すごかったよ、ここにいない子にも教えてあげなきゃ」


 ぼくの膝くらいまでの小さな子たちがぺちゃくちゃと皆楽しそうに喋っている。


「君たち喧嘩してたんじゃなかったの?」


「遊んでただけだよ。ぼくら皆同じく妖精女王の子供だしね。羽の生えてるぼくらはピクシー、猫みたいのはケットシーさ。ぼくはいまはピクシーだけど、飽きたらケットシーに生まれ変わったりも、他の同族や違う種族、つまり君のとこのガジローくんみたいに生まれ変わったりもできるんだ」


 たぶん、うちに居候している妖精さんだと思うんだけど、が答えてくれた。

 だって、猫の方は色とか毛並みで区別はつくんだけど、羽の生えたほうの個々の区別は難しいんだよ。


「まぁ、いがみ合ってたのでなければいいよ」


「それよりさっきの赤いのもっとかけてよ」

「欲しいにゃ」

「かけるにゃ~」

「あちちで涙ぼろぼろだー」


 わいわいがやがや、もっとかけろコールが鳴るがもう手持ちは残ってない。


「ごめん、さっきので全部使い切っちゃったんだ」


「そうかにゃ~」


 しばらく沈黙が続いたが、ぼくはそろそろ帰りたい。裸足だし。

 それよりここはどこなんだよ。


「えっと、ぼくは家に帰りたいんだけど、どうやれば帰れるの?」


 誰からも返事がない。

 彼らはじっとしてるわけではなく、うろちょろしたり、こっちを見たり、顔の表情は変わったりしてるんだけど誰も何も言ってこない。


「あの~」


「ごめんごめん。普段ぼくらは口ではなく、心で語り合ってるから、喋るの忘れてた。えっと、君はどうやって来たの?」


「ぼくと、このガジローくんに着いてきたみたい」


 ひとりの羽の生えた子がでを挙げて答えた。


「ガジローくんって?」


「がう」


「君のことか~。ぼくらは名前なんてないからね」


 話を聞いてみると、なんでも妖精さんには名前をつけるという習慣はないみたいなんだ。

 彼らは基本的に意思の疎通はテレパシーみたいのでおこなうらしい。

 その際に名前を呼んだりするのではなく、その人をイメージしてそのイメージが他の人にそのまま伝わるから名前が必要ないんだそうだ。

 名前を覚えなくっていいってのは楽そうでいいよね。


「今日一日は通路は繋がったままだから、そのまま来た場所に行けば帰れるよ」


「えっ!? ガジローくんたちが穴に入った後、どんどん穴が小さくなっていってぼくが飛び込んだ後に消えちゃったよ」


「あ~、そういうことか。見えなくなっただけだから誰かに開けてもらえばいいよ」


「ぼくがいっしょに帰るよ。ガジローくんもね」


 うちに居候してる妖精さんが穴を開けて一緒に帰ってくれるらしい。


「そっか、それでその子のところは楽しいの?」


「うん、楽しい!」


「だめだめだめー。着いてくるなんて言っちゃ駄目だよ。うちはもうこれ以上妖精さんが増えてもらっちゃ困るんだ」


 ただでさえぼくにしか見えてない不思議生物にこれ以上近くをうろちょろされたら変な反応しちゃうかも。

 何も無いとこにむかって喋る変な子なんて世間から見られたくないよ。


「さっき使った赤い粉をこの子にお土産に持たせてあげるから、ねっ、ねっ」


「わかったよ」

「でも面白いことがあれば呼ぶにゃ~。すぐかけつけるにゃ~」

「この後なにするかにゃ~」

「芋虫競争しよう!」

「やるにゃ~」


 走ったり、飛び跳ねたり、飛んだりしながら、あんだけいた妖精たちはあっちの方へと行ってしまった。

 ぼくらも帰ろっか。


 ついていきたい誘惑にも駆られたが、誰にも出かけることを言ってなかったから早いとこ帰りたい。

 門番はぼくが外に出たのを見てはいないし、神隠しだーなんて大騒ぎになったら大変だ。

 藪をぬけ、来た時通った道を戻っていく。

 まっ、道なんて無いんだけどね。

 でも追跡術を習うってのは忘れないようにしなきゃ。


 少し歩くと最初の大木に辿り着く。

 妖精さんが少し浮かび上がり手を当て何やら呟くと、木に向こうが見通せない真っ黒い穴が現れた。

 ふたりは気にする風も無く自然にその穴に飛び込むので、ぼくも思い切って飛び込んだ。

 二度目とはいえ、怪しい真っ黒い穴に飛び込むのは勇気がいるよ。



 我が家よ、私は帰ってきた!


 今度はヘッドスライディングのように飛び込んでも、お腹をズズっと腹ばいにならずにすんだ。

 飛び込んでからの前回り受身。

 中学のときに武道の授業で剣道か柔道の選択で、柔道を習ってたのがもしかしてまだ体に残ってたのか自然に動けたぞ。


 穴がもう少し大きければ歩いて入れたんだけど、妖精さんサイズで小さく飛び込むしかなかったんだよね。





CQ(シーキュー)CQ(シーキュー)、こちらプックル、神様応答願います。敵集団を発見、繰り返す。敵集団を発見』


『何をやっておるんじゃ。CQはお主のいた世界での無線での呼び出しに使われるが、誰でもいいから応答してって意味で個人を呼ぶものではないぞ』


 なんか昔映画とかで無線機もってシーキューとか言ってたのを思い出して使ってみたんだけど、使い方を間違えてたか。


『冗談はおいといて、うちに妖精がひとり住みついてて、その妖精とうちの仔狼のガジローくんが急に走り出したから追いかけたら、不思議な穴があってそこを抜けたら知らないことろにでて、そこで妖精40人位がわーわーと戦争ごっこみたいなことして遊んでました』


『ふむふむ、これか。お主の記憶を見せてもらった。妖精のことを頼んでおったなど正直忘れかけておったが、運よく妖精の女王に出会うことが出来たら、また教えてくれ。よろしく頼んだぞ』



 ぼくを転生させてくれたこの世界の創造神であるアミタレ神様に、たくさんの妖精と会ったことを頭の中で念じて連絡した。

 ちょびっと妖精さんを裏切った背徳感めいたものを感じるが、あの神様のことだから悪いようにはしないだろう。それだけは間違いないと思う。


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