かき氷っていいよね
夢じゃなかった。
目が覚めて食堂に行ったら、リーグにぃがぷりぷりしながら言うんだもん。
「昨日の夜やっと氷の生活魔法が使えるようになったからプックルくんのとこに行ったら、もう既に寝てて、ぼくが起こそうとしても『もう眠いの~、寝るの~』とかいって全然起きてくれないんだもん」
皿の上にゴロゴロと生活魔法で氷を作り出して見せてくれた。
ぼくの作り出す氷とは少しだけ形が違うが、イメージした元の物を知らないからだろう。
どや顔の少年の前にあるのはほぼ立方体だが、そこにぼくの魔法で作り出した氷を追加してみる。
そこには二種類の形の氷が存在していた。立方体と四角錐台だ。
台形ってあるけど、それを立体にしたのが四角錐台。製氷皿から取り出しやすくするためか、こんな形になってるんだよね。
家の冷凍庫の氷をイメージしたぼくとの違いだけど、まぁどうでもいっか。
「すごいやリーグにぃ!」
でも、また面倒なことになるかな。
「氷の生活魔法を教えてくれたってことは、これでまた何か商売をするつもりなの?」
う~ん
「あっ、コラっ」
テーブルの上に乗ったガジローくんが氷の入ったお皿にダイブして、氷を撒き散らしてしまった。
妖精さんはその氷の上に乗ってつつーっと机の上を滑って遊んでいる。
その姿が見えないリーグにぃには机の上を氷が勝手にあっちにいったり、こっちにいったりと滑ってるように見えてるはずだよね。
机の上の氷を指で弾き、妖精が乗っている氷にぶち当てる。妖精は吹っ飛ぶ。
それが楽しかったのか、げらげらと笑ったと思ったら再度氷の上に乗り、お尻ふりふり尻ふりダンスをしてこちらを挑発なんてし始めた。
ぼくは氷を手に取り机の上を滑らせ、目標を狙うが相手もさるもの滑ってそれを避ける。
ちょこざいな。
連続攻撃、いっけー!
「それが今度やることなの?」
「あっ、ごめん。違うんだ」
ガジローくんが机の上に散らばった氷を前足で弾きつつ集めているのを見ながら考える。
暑い夏には冷たい飲み物や食べ物が食べたい。
それはそうなんだけど、腐らないように魚なんかを冷やして輸送したいよね。
もっと皆気楽に氷を使えるようになるのがいいのか、ぼくらだけで独占して稼ぐのがいいのか、う~ん。
ぷっ
氷を集めてると思ったら、またそこにダイブして遊んでるよ。
ふわふわのパピーコートと呼ばれる毛が濡れてベタっと貼りついて小さな体がより小さく見える。
「プックルちゃ~ん、ガジローちゃ~ん、そんなことしたら駄目よ。机の上だけじゃなく床も濡れてるじゃない。朝ごはんの前に奇麗に片付けちゃいなさい」
「「は~い」」
少し大きくなったお腹を見せつけるように、腰に手を当て体を反らしながら母さんがぼくらを嗜める。
それに対してぼくらは返事をし、片づけをはじめた。
リーグにぃはなにも悪くは無いんだけどね。
ガジローくんは母さんに捕まり、布に包まれ毛を乾かしてもらっている。
ガリっ
「もうひとつ」
「そのまま食べて美味しいの?」
竹で作った筒状の入れ物を口につけ、溶けた冷たい水を飲んでから氷を取り出し、コンセルくんの手の上に乗せてあげる。
飲み物を飲んだ後の氷を口にし、ガリガリ噛み砕く前世の知人のことを思い出した。あんましお上品ではないよね。
ガリガリ
ぼくの質問に対する答えは氷を噛み砕く音と頷きだけだった。
もうしょうがないなぁ。
「貴族街の爺ちゃん家行くよ」
一度家に寄ってから爺ちゃん家に来たが、爺ちゃんは留守だった。でも婆ちゃんが出迎えてくれた。
「婆ちゃん、この屋敷で氷の魔法を使える人っている?」
こんな大きな屋敷なんで魔法を使える人はたくさんいたみたいだけど、すぐ近くにいたメイドさんを紹介してくれた。
ぼくは氷の生活魔法と水の生活魔法を使って金属の箱を満たしていく。
水から作るより、氷も混ぜてれば何発も氷魔法をぶつけなくても大丈夫なんじゃないかと予想した、見事に一発で箱の中身が大きな氷になったよ。
それを持って今度は厨房にいく。
ここの屋敷の厨房にはちょくちょく遊びに来てるから、皆顔なじみだ。
我が家にはないんだけど、ここにはあれがあることを知ってるんだよね。ジャム。
ジャムって果物を煮詰めて作るんだけど、結構な量の砂糖を加えるから、砂糖が高いとジャムも高くなるんだよね。
砂糖の代わりに蜂蜜っていっても、蜂蜜もそこそこ高いしね。
そんなジャム。それに水と砂糖を加え加熱する。そうすることによってどろっとしたものから、とろっとした液体に変えることができた。
「料理長さん、これを包丁で薄く削ぐように削っていって」
「これって氷ですか。この季節に氷とは珍しいですね」
素人なんかがやると危険だけど、さすがプロなだけあって見事な手際で氷を削っていく。
横にはさらさらとした雪のようなものがこんもり積み上がっていく。
まだやるの?って目でこちらをみるが、まだまだと首を振り、続けさせる。
氷が随分小さくなったとこで止めてもらい、粉状になった氷を皿に盛り付け、冷やしておいたジャムから作ったシロップをかける。
コンセルくんはすぐ手に取り食べようとしたが、婆ちゃんのところに行っていっしょに食べようと嗜める。
余った粉状の氷で料理人たちにも試食してもらおうと思ったけど、それにガジローくんとその背に乗ってる妖精さんが突っ込んでバタバタと遊んでるんで無理になった。
妖精さんライドオン状態になったら、以前より身軽に行動できるようになったっぽい。
床をうろちょろしてたと思ったのに、ジャンプしてぼくの体を使って三角跳びの要領でテーブルに飛び乗ったりするようになったよ。
そんないたずら好きの二匹をほったらかしにして婆ちゃんの元へ。
ぼくらだけじゃなく、婆ちゃんにも味見してもらいたいしね。
「あら、冷たくて甘くてふんわりしていて美味しいわ」
婆ちゃんは上品にゆっくり食べてるが、コンセルくんはガツガツと一気に食べてしまっている。
頭にキーンとくるあれ。アイス頭痛にならないのかなって思ってみているけど問題ないみたい。
実はあれって、なる人とならない人がいるんだよね。
ぼくもアイスや冷たいものを食べて口の中が冷たいって思うことはあっても、頭が痛くなったことはない。
どこまで信憑性のあるデータかはしらないけど、以前見たものではならない人の割合の方が多かった気がする。
今まで誤字報告をおこなってくださっていた方ありがとうございます。
誤字報告というシステムがあることは他の方の投稿している小説を読んで知っていましたが、システム上誤字報告というのがどこに表示されるのか今日はじめて気付きました。
遅ればせながら、報告のあった箇所を確認、修正しました。
主人公「この世界の神様の名前って聞いたことがあるけど少し違うようなものが多いよね」
創造神「たくさんの神を作ったが、作るより名前を考えるほうがめんどくさかった。そのため別世界の神々の名前を少し変えて使わせてもらったのじゃ」




