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お土産を渡そう

 海に面した漁村から色んなものを持ち帰ったぼくらは領都でハルファス伯父さんにお礼と挨拶をした。


「ハルファス伯父さん、騎士さんや兵士さんをつけてくれてありがとうございました。とても助かりました。それとこれお土産です」


 屋敷の応接室でリーグにぃとこのおじさんとリーグにぃ、そしてぼくが横になって座り、向かいにはハルファス伯父さんが座っている。

 そして壁際には一緒に行った騎士や兵士の人たちが立っていた。

 ガジローくんはリーグにぃの膝の上だ。みんなには見えていないようだけど、妖精もガジローくんの上に乗っている。

 ごめん、ぼくがハルファス伯父さんに色々お話するのに君たちに膝の上に乗られてると邪魔なんだ。



 ぼくはテーブルの上に色んなものを並べていくが、忘れないうちに言っておかなきゃってのを思い出した。

 手を叩き「騎士さん、忘れないうちに報告お願い」と口にする。

 するとここの領都からついてきてくれた騎士が背を伸ばし「発言よろしいでしょうか」と許可を求め、ハルファス伯父さんの「うむ」という返事の後話し出した。


「今回の件は後ほど詳細を報告させていただきますが、プックル様が気にされていたことがございまして、そちらだけ先に報告させていただきます。プックル様一行が村に着いたときのことです。わたしが村の入り口で中に入る許可を求めて声をあげたところ、それを聞いた村人全員が急いで集まり、両膝をついて頭を下げ歓迎の意を表す光景にあいました。そこでプックル様にこれが普通なのかと問われ、そんなことはないはずとそこではお答えしました。村の管理、徴税をおこなっているものがそのようにさせているのかもしれません。関係者らの調査が必要かと愚考いたします」


「そのようなことがあったのか。プックルよ、お前からわたしに言うのではなく、騎士に報告させてくれたこと感謝する。そして我が領地ではそのような真似をさせる気はない。きちんと調査することを約束しよう」


 うん、まぁ多少威張るくらいなら許せるけど、ちょっとやり過ぎな感あるもんね。


「あっ、料理人呼んでもらっていい?」


 屋敷の主に呼ばれ、飛んできた料理長さんにぼくは魚の一夜干しとタコとイカのスルメを渡し、どの程度焼けばいいのかを伝え、焼いてもらうことにした。


「伯父さん、これ口にしてもらっていい? 固いからね。干し肉と同じように噛んでみて」


 干したイカの足をちぎって渡そうとしたがぼくの力で千切れるわけもなく、自分で千切って口にしてもらった。


「ふむ、確かに歯ごたえがあって固い。だが、噛めば噛むほど味がでてくる。これはなんと言う?」


「はい、干しイカと名付けました。そしてこちらは干しタコです。漁民にも尋ねましたし、商人である伯父さんも見たことも聞いたこともないといっておりますので、新しい保存の仕方、食べ方だと思います」


 この干したイカであるするめ(・・・)というものはぼくの翻訳スキルを使って、この世界で存在しないことは確認した。

 スルメイカってイカの種類と混同しそうと少し戸惑ったが、するめがこっちの単語で存在しないことは間違いない。

 ほんとこの翻訳スキルって、翻訳できるかどうかでこっちの世界で存在するのかがわかるなんてお役立ちスキルだと思う。


 ハルファス伯父さんがくっちゃくっちゃやってるところに、料理長さんがやってきて、一夜干しと干しイカをあぶったものを持ってきてくれた。

 魚は半分ほぐして身を取ってあり、イカは食べやすいように一口大にカットしてある。

 机の上に皿を置くときに口からほんのりイカの匂いが漂ってきたが、味見を許可してあるので問題は無い。


 ハルファス伯父さんは口の中のイカを飲み込んだ後、醤油がないので塩だけで味付けした一夜干しを口にし、次にあぶったイカも美味しそうに口にした。


「これはいずれも美味だな。干した魚がこんなにふんわりとしてるとは驚きだ」


 この世界では生のまま持っていけないようなところには、完全に乾燥させた魚を持っていって売ったりするんだそうだ。

 イメージとして完全に乾いてるっていうと煮干しとかかな。

 まぁ、半乾燥の一夜干しとは違うわな。


「そちらは一夜干しといいまして、少しだけ干したもので長くて5日程度くらいしかもちません。漁村からこの領都まではなんとかもちますが、王都などへは日にちがかかりすぎるため輸送することはかないません。干しイカの方については長期間保存も可能です」


「わたしどもは残念ながら王都を中心に商いをしているため、一夜干しは扱うことができませんが、どなたか良い方がおられましたら、漁村と領都で商いをおこなっていただくのもよいかと思います」


 伯父さんが扱えるのは干しイカ、干しタコだけだろうね。


 昆布と煮干もちょこっとだけ手に入れたけど、ほんとにちょっとだけだ。

 漁に使ってる網の目が大きすぎて小魚は取れなかったので、荒い布で試しにちょっと取っただけなんだよね。

 それを茹でて干したものがぼくの袋に入っているが商売につかわなそうなのでテーブルの上には出してない。

 昆布も自家消費用だ。他にもいくつかあるが全部自分で使うお試し用。


 次にテーブルの上に少しだけ置いてある白い粒について説明する。


「これは海の塩ですね」


 日本では岩塩はあまりとれず、海の水から塩をとっていたが、外国では岩塩がたくさんとれる国も少なくは無かった。

 この世界というか、この国では大きな塊の岩塩がよく取れ、海の水から塩を取るといったことはやっていないようだ。

 だが、岩塩がたくさん取れるとはいえ、塩は決して安いものではない。

 海の水から塩をとって、金額的に岩塩と勝負できるかは知らんが、とりあえずほんのちょびっとしかない海の塩をハルファス伯父さんの前に出すだけは出しておいた。


「コストが問題なのか。プックルはこれをどう見る?」


「今のとこ取り扱いは真剣に考えてないかな。でも一応村で製塩できるか試してる最中だよ」


 お日様の力だけで塩が取れればいいけど、煮たりするには燃料の木がたくさん必要になるから、その場合はパスかな。


「それで、最後はこれね。石鹸」


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