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するめは干し肉の代わりになるのだろうか

 ぼくとリーグにぃ、そしてガジローくんは騎士さんひとりをお供に村を見て回ってる。

 いつもナップザックに入ってるガジローくんだが、ここは人通りの多い王都と違って道をちょろちょろ歩いてても危険なことは無い。

 そんなわけでぼくらは連れ立って歩いている。

 まぁガジローくんはあっちうろちょろ、こっちうろちょろしてて、頻繁に呼んであげないといけないけどね。


 村に入るときに最初に気になっていた場所にやってきた。

 ここでは数人の村人が農作業をおこなっている。

 豆を作ってるようだが、見た感じあまり生育状況は良くないみたいだ。


 村を回ってみると、どの家も戸を開けっ放しにしており、みんな家の外にいる感じだ。

 家の前で網を修理していたり、魚を干していたり、日陰で横になっていたり、寝っころがっていたり、座ってぼけーっとしていたり、あっ、子供は元気に走り回ってるな。

 にしても、働いてない人多すぎだろ!


 魚を干してる婆ちゃんに『みんなのんびりしてますね』って聞いてみたら、仕事がないから皆ゴロゴロしてるんだって言われた。

 漁といっても自分たちで食べるのと、干した魚を少量近くの村に売りに行くくらいなので、三日に一度程度しか漁をする必要もないし、畑といっても土が悪いのか作物があまり育たないのでこじんまりとしかやってないしで、やることがないんだそうだ。

 ここの領地の騎士さんに聞いたら、海の魚は領都にほとんど入ってきてないみたいだった。

 その騎士さんは干魚(ひうお)、まぁ干物なんかは一度だけぶつ切りしたのが入ったスープを店で頼んだことがあったが、骨がじゃまでそれ以降魚は食べてないらしい。


 狭い村を廻ってると、船が帰ってきたの声が聞こえた。

 漁といっても、村からも見えるくらいの近海で漁をしており短い時間で戻ってくるらしい。

 村人が食べるくらいなものだから、たくさん取る必要も無い。


 小船が帰ってきて、砂浜に乗り上げ、潮が満ちても持っていかれないよう、どんどん砂の上を押していくのを眺める。

 漁から戻ってきたのは初老の男性と青年の二人だ。どちらもよく日に焼け、上半身裸の体は細身ながらも引き締まった筋肉を持っている。


 騎士さんの姿を見た二人は砂の上に膝をつけ土下座の姿勢をとろうとするが、騎士さんがかけよってそれをやめさせる。

 ちょうど小走りで来た村長さんが僕らのことを二人に紹介してくれたので、ぼくらは二人の許可をもらい採ってきた魚を見せてもらった。


 なんか見たことあるような魚もあれば、なにこれ?って魚も多い。

 クラゲみたいなのが混ざってたが、それは海に投げ捨てられている。


 ふと思ったことがあり、両手を使って体をくねくねさせながら、こんな生き物海でとれない? って聞いてみた。


「タクルーか?」


 なんか聞いたことがない言葉だ。

 ぼくは神様に翻訳スキルをもらったが、それはぼくの話したい言葉の口の動きと、相手の聞こえる言葉が異なるというもので違和感ありありっぽかったので、この世界の言葉は自力で覚えて使ってる。

 そんなわけで、初めて聞く単語の意味はわからない。


「えっと、タクルーだっけ?」


「そう、タクルーのことか?」


 翻訳スキルをオンにしてみると「そう、タコのことか?」って耳に入ってきた。


「タクルー。タクルーは取れないのか? それとタクルーと似たやつで……」


(以後作者の都合上タクルーはタコと記されます。ここでは独自の単語は使わないのよ)


 ついでにイカという単語も聞き出し、覚えることができた。


 漁師さんにイカとタコを買うから採れるだけ採ってきてほしいって頼んだ。

 すると老人と小さな子供を除いて村人総出で海に潜りだした。

 なんでも素潜りで銛で突いて採ってきてくれるらしい。

 もちろん全員分の銛なんてないから、素手の人もいる。


 魔物とか大丈夫かって思ったけど、ここの近くは大きい魔物や凶暴なのはおらず安全なんだそうで、よかった。


 1時間もすればほとんどの人は漁をやめ、戻ってきた。

 結構な量が集まったので、手の空いた人に胴を開き洗って綺麗にしてもらった後、干してもらうようお願いする。


 その間にぼくらというか、伯父さんとリーグにぃとぼくでお金を、特に銅貨と銀貨を手持ちの中から集めていた。

 こんな村で小金貨とかいっても使ったりするのは大変だろうと細かいお金での支払いにするためだ。

 それと、伯父さんの商売にしても良かったんだけど、いつも伯父さんの儲けばかりにしてないで我が家の利益にもしなきゃねって思ってタコイカは三人で代金を支払うことにした。

 王都で借りたお店の税金とか、今の板芝居のレンタル代だけじゃ厳しいからね。

 それにぼくの学費もあるから稼げるとこで稼いでおかないとまずい。


 ぼくはいたる所に干されたイカやタコを見て満足した。

 魚を採るときに使ってる網や、予備の網なんかを家と家との間に吊るして、その上に干してある。


 じゃねーや、これで満足してちゃ駄目だ。今回来た本来の目的は石鹸だった。

 みんなにお願いして海草を取ってきてもらう。

 のんびりして怠け者の村って感じだったけど、ただ仕事が無いからのんびりしてただけだったみたい。


 海草と、おっと油だ。

 村長さん、油って大量に……あるわけないですよね。

 村人で近くの森で狩をしてる人がいるっていってましたよね。狩人さ~ん、獲物をとってきてくださ~い。できれば脂ののったやつ。騎士さんたちもできればお願いします。


 あれ? 魚から油とってもよかったのかも。でも、魚油のことはよくわからんから獣脂でいっか。


 どちらにしても到着したその日に石鹸作りを始められなかった、不覚。


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