表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/94

こっちの竹はぼくのんだ

「プックル様、このペースですと明日の昼には到着する見込みですので、私だけ先に行ってハルファス様にプックル様がいらっしゃることをお伝えしてもよろしいでしょうか」


「えっとねぇ、前から思ってたんだけど様付けはやめてね、ぼくは平民なんだから」


 ヴァルツォーク家の使用人がぼくのことを坊ちゃんとか言うのはまだいいんだけど、平民でまだ5歳のぼくに様付けとか尻がこそばゆくなってしまうわ。


「そういうわけには参りません。ご当主様の四男であらせられるラパウル様のご子息様でいらっしゃるので敬うのは当然でございます」


「あー、もういいよ、先触れだっけ? 行くって連絡もしないでここまで来てしまったから、少しでも早く伝えておいたほうがいいのかな。じゃぁ、お願い!」


 爺ちゃんが今回の旅につけてくれ、王都から一緒にここまで来た騎士二人のうちの一人が馬を走らせ、ぼくらの馬車よりどんどん前に進み小さくなっていく。

 やっぱ、馬車って遅いよな。

 大量高速輸送出来る方法ないんかね、自分たちだけ。

 せこいと言われても、世界のため、みんなのためではなく自分やその周囲の人間が一番なのよ。


 線路だ蒸気機関車なんてのは絶対作れないし維持できないよね。

 でも武装列車とか装甲列車とかいって列車の上に機関銃や大砲乗っけて、魔物を撃ちながら移動ってのちょっとかっこいいかも。

 まぁ、作る気も作れる気もしないんだけどね。




「ハルファス伯父さん、こんにちは。プックルくん来ちゃった、えへっ」


 無事領都に到着し、案内されて屋敷に入ったところにハルファス様がいたので挨拶したら、ガバっと抱きつかれてしまった。


「ラパウルは天使だったが、ここまで可愛らしくはなかった。これもまた良しっ!」


 キリリとした出来る人って感じなんだけど、ぼくには甘いんだよね、この人。

 長男で次期当主のハルファス様、いや、ハルファスさんじゃなくて、ハルファス伯父さん。

 この人キリっとしてできる人の雰囲気漂わしてるけど、実はうちの父ちゃんのラパウル大好きで、ぼくがハルファス様って呼んだらラパウルの息子がそんなに他人行儀な呼び方するんじゃないって、ハルファス伯父さん呼びさせられることになった。


 なんでも息子はヴァルツォーク侯爵家の人間として厳しくしつけなければいけないとかいって、子供には結構厳しいみたい。

 末の息子で今王都の学園に通ってるマーカス君なんかは小さい頃甘やかしてしまったばっかりに、我侭な子に育ってしまったって嘆いてて、躾のやり直しをしたとかなんだとか。


「もー、苦しいよ」


「すまん、すまん」


「ハルファス様、ご機嫌麗しゅう存じます。こちらがガイネル様よりの(ふみ)となります」


「うむ、すまぬがこの場で読ませてもらうぞ」


 スムーズに話を進められるよう、爺ちゃんに手紙を書いてもらったんだ。

 その手紙を伯父さんがハルファス様に渡す。


 あれ? もしかして伯父さん主導の商売なのか?

 あ、そういや、石鹸とか洗濯板はぼくはやらないから、伯父さんの好きにしていいよって言ったんだったか。

 でもその後結構ぼくも力貸してる気がしないでもない。

 まぁ、いっか。


「漁村で石鹸を作るのを我が家で支援をするということだな、よかろう」


「支援というか、えっとね、ドワイト伯父さんがね、王都の近くの村で石鹸の作り方を教えて、作ったものを全部買い取るって話をしてたんだけど、他の商人に高値で買うからって横から石鹸事業を掻っ攫われちゃったの。だから、そういうこと出来ないように領主様の後押しで今度はやりたいってこと。領主様の持ってきた話を村人は裏切れないでしょ」


「ちょっ、プックルくん、そんな恥ずかしいこと暴露しないでください」


 いや、だって裏話を漏らしておいたほうが話が早いしね。


「ふむ、その村は王都に近いのであろう、ヴァルツォーク領の外れにある漁村などで石鹸を作っても運ぶのが大変ではなかろうか」


「あー、そうそう。のっとられたとこで作ってたのは液状の石鹸で、漁村で作ろうとしてるのは固形の石鹸なの。固形の石鹸は海がないと作るの難しいから、品物が完全に被るってわけではないんで大丈夫だと思うよ」


「当主である父上が賛成しているのであれば、否は無い。わたしも今回の話には賛成だ。貧しい漁村の民の暮らしが少しでもよくなるのは良いことだ」


 おっと、他にも頼まなきゃいけないことがあったんだ。

 この都市近郊の村で竹を栽培させてもらえないか聞いてみたところ、他の村に比べ農作物の生育が少しよくない村を紹介してくれた。

 そこも今より生活がよくなることを期待するだそうだ。



 竹を植える予定の村は馬で日帰りで行って帰ってこれる距離だったので、翌日に僕だけここの騎士さんたちと一緒に行って、さくっと終わらせてきた。

 ぼくはもちろん独りでは乗れないので騎士さんに乗せてもらった。

 バイクや自転車で二人乗りって後ろに乗るんだけど、馬って操る人が後ろで、前側に乗せてもらうんだね。

 なんでも、馬は後ろの方が揺れるから、揺れの少ない前に乗せてくれたとか。


 村ではヴァルツォーク家からの指示であり、ぼくは領主様の孫ということで紹介された。

 ヴァルツォーク侯爵家の人間ではないけど、面倒だから特に否定もせず、竹を植え世話するよう村長さんにお願いしておく。

 契約書は作ってないけど、勝手に売ったり使用したりしないよういい含めることだけは忘れない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ