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王都に帰ってきたぞ

「母ちゃ~ん、ただいま。伯母ちゃん、ただいま。途中で伯父さんたちと偶然会っちゃって、一緒に帰ってきたんだよ。二人はね、今馬車置いてきてるから、じきに来ると思うよ」


 帰ってくるなり大分大きくなってきている母のミュレのお腹にほっぺをすりすりした。

 男の子か女の子かは分からないけど、はやく元気な子供が生まれてきてほしい。

 いや、弟がいいかな。妹だったら男の子と付き合ったり、結婚したりするとか言ったら耐えられないかもしれない。

 ぼくの逆側からお腹にほっぺすりすりしてる男がいる。いやまぁ父ちゃんなんだけどね。


「ただいま~、会いたかったよ~。プックル、もうしばらく遠出は無しだ。当分ミュレの傍を離れないからな!」


 母さんは苦笑い。伯母さんは微笑んでいたけど伯父さんが帰ってきて、伯母さんの膨らんだお腹に抱きついたら、こちらも苦笑いに変わった。

 リーグにぃは少し離れてにこにこしている。ひとりクールだ。

 あれ?通算年齢からいっても、精神制御(微)スキルを所持していることからもぼくがクールキャラのはずではと思ってみたりもした。


「それじゃぁ、ぼくは出かけてくるから」

「さっき帰ってきたばかりでしょ。ゆっくりしていなさいよ~」


 帰った挨拶だけして出かけようとしたら、止められた。

 ぼくは5歳ということで遊びたい盛りなんだよ。家でじっとなんかしてられないよ、なんて子供みたいなことを考えたりしちゃったりして。


「ぼくを待っている人がいるんだ! もしかすると飢えてお腹を空かせているかもしれないよ」

「なにいってるのよ~」


「いや、まぁ、冗談ってわけでもないんだよね。この前知り合った魔道具職人さん。明るさ10倍の魔道具の追加購入は見合わせることにしたし、そのこと伝えにいかなきゃと思ってるんだ」

「あ~、あいつか。腕は悪くなさそうだけど、いまいち金に結びつけるのは下手そうだもんな。あれから何も売れてなかったりして。ちょっと様子見にいってこいよ」

「すぐお外に遊びに出かけようとするんだから、もぉ~。でも、帰ってきたら色々お話し聞かせてね」


 母さんの許しも出たのでゴー。あっ、リーグにぃも誘おっか。


「リーグにぃもどう? 面白そうなところだよ」

「いや、馬車の荷物の整理とかあるし」

「行ってきなさい。魔道具職人なんて珍しい人と知り合えるなんていいことですよ。商売になりそうな人でしたら私にも今度紹介してくださいな。荷物の整理は明日おこなって、昼過ぎから父さん達のとこに行きましょうか」


「あっ、商人の爺ちゃん婆ちゃんとこぼくも行きたい! 明日一緒に行っていい?」

「もちろんいいですよ」

「それじゃぁ、プックルくん。その魔道具職人さんとこに行こう」

「うん!」


 出掛けにナップザックの底に藁束突っ込んできた。

 なぜかというと、袋状のナップザックにガジローくんIN!

 そのまま袋に入れると大きすぎてすっぽり入ってしまうので、半分くらい藁を敷いたの。これで顔を出せるよね。

 いろんなとこに一緒に出かけて、楽しんで欲しいんだもん。



「ダンジョンで使った明かりの魔道具を作ってもらったとこだっけ?」

「うん、ちょっと問題あって役に立たなくなったけどね。それより走ろう!」


 人口5万を超えるといわれる王都はなにしろ広いんだ。端から端まで歩いて2時間とかそれ以上かかるんじゃないかな。

 今回は端から端までではなく職人地区までなんだけど、それでも普通に歩いたら1時間くらいはかかってしまう。

 なんか速い移動手段欲しいよね。

 大通りと貴族街なんかは石畳だけど、他は土の道だし、その石畳も馬車で通ってみると結構ガタガタで乗り心地は悪いんだ。

 そんなわけで自転車とかも無理だろうし、う~ん。

 やっぱ走るのが一番なのかね。


「こんにちわ~、ドンツクさんいますか~」


 部屋の扉をドンドンドンと叩くと、かすかな呻き声の様なものが聞こえたので、返事も待たずにドアを開ける。


「ドンツクさ~ん、お邪魔しますよ~」


 中を窺うとガラクタの山の中に横たわる小柄な人影が声を漏らす。


「は、腹減っただ~」


 ハーフリングとドワーフのハーフで、ぼくらより少し年上のお兄ちゃんって見た目だけど、実はうちの父のラパウルよりももっと年上のドンツクさんだ。


「ご飯食べてないの? お腹すかせてるかもって言ったのは冗談だったんだけどなぁ。まぁ、その冗談のおかげでパンを持たせてくれたんだけど。ほら、ガジローちょっと出ておいで」


 ナップザックからガジローを取り出して床に置くと、中から潰れもせず形も変えず自分の頑丈さを主張する固いパンが出てきた。

 いや、それは言いすぎか。少し固目ってだけだからね。

 藁と一緒に袋に入っていても、そこに狼の子供も一緒に入っていたとしても気にしない。

 むしろパンを地面に置いたとしてもこの世界のほとんどの人は気にしないくらいだ。

 最近の日本が潔癖症すぎるんだよ。


 パンを渡すと貪るように食べ、水で流し込んでいる。


「まだ物足りねえだが、人心地ついただ。ここんとこ水だけだったから助かっただ、ありがとさん」

「この前それなりの額を渡したと思ったんだけど、もう使い切っちゃったの?」


「あぁ、あれはどこで嗅ぎつけたのか、お金が入ったのを知った家主に溜まってた家賃としてほとんど持っていかれただ」

「プックルくん、プックルくん」

「あぁ、そうそう、ぼくと一緒にいるのは従兄弟のリーグにぃ。そんでこっちはガラクタ部屋の主のドンツクさんね」


 リーグにぃに肘で小突かれ促されて初対面の二人を紹介する。


「はじめましてリーグです。父が商人でぼくは商人見習いやってます。よろしくお願いします」

「おらドンツク。魔道具職人やってるだ。何か欲しい魔道具ねぇだか? 今なら安く売ってやるだぞ」

「それじゃぁ、ここにある魔道具見せてもらっていい? いや、見ただけだと分からないからどんな効果か教えてよ」


 ガラクタの山の中から、作りかけのものではなくとりあえず出来上がってるものを見繕ってどのような品なのか説明してくれた。

 触れると音がする板、重量軽減の魔法がかかったカップ、重量増加の魔法がかかったカップ、温かくなる皿、握ると光るナイフ、力が少しあがる壊れた革鎧等々、使い道の分からないものをたくさん見せられた。


月から金曜日投稿でやってます。

祝日で投稿するか迷いましたが、新たな読者が増えることを期待して投稿します。

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