自動翻訳スキルって実はチートなみだろ
『僕プックル。3しゃい』
やってやろうときばらず、体と心の赴くままに生きてきたら
こんなに早く喋るようになるとは、こんなに早く歩けるようになるとは天才だ秀才だ神童だ、
なんてことにならずにたぶんだが普通に成長できたと思う。
3歳にもなるとちょこちょこ自由に歩けるようになる。
お外は車が危ないなんて注意されることもない。
母親の後を付いて回り、あれなにー、これなにーと聞きまくる。
ちなみに母親の名前はミュレで、ヒゲ、もとい元ヒゲの名前はラパウルだ。
ヒゲは1歳の頃「パパ、おひげ嫌ー」って言って剃らせた。
門番としてよわっちく見えると言って嫌がったが、子供の声は母をも味方につけ無事にヒゲを退治した。
ヒゲがなくなるとイケメンではあるが、確かになよっとして弱そうに見える。
首になったらどうしようかと心配したが、なんとかやっていけてるようだ。
今住んでるのは人口1000人程度のハイミーという小さな町というか大きな村だ。
小さいといっても3歳のお子さまな僕は、そう僕なんだ。
今まで心の中で自分のことを俺とか言ってたが、家族の手前僕と口にだしてたら
心の中でも僕呼びが普通になった。
はなしが逸れた。
小さな町といってもまだ3歳児の僕にとっては大きすぎる世界だ。
ひとりで出歩くのは近所と父親のいる門のところまでだ。
今日は母親について露店に買い物に来ている。
おっ、リンゴ発見。
「あれなにー?」
「ポポルの実よ。甘くてちょっと酸っぱくて美味しいのよ。買っていこうかしら」
「りんごりんご、ポポルの実ー。あそこに見えるオレンジなんじゃらほい」
なんとはなしに頭の中で自動翻訳スイッチをオンオフ切り替えながら小声で歌ってしまった。
えっ!?
「ポポルの実ポポルの実、ポポルの実ー。あそこに見えるオーレの実なんじゃらほい」
って聞こえた。
もう一度オンオフ切り替えながら小声で
「お米が食べたい、カレーライスに親子丼、ついでにラーメン食べたいな」
「モッチの種が食べたい、カレーライスに親子丼、ついでにラーメン食べたいな」
って聞こえる。
やっぱりだ、これから分かることはお米はモッチの実という名前で、カレーライス、親子丼、ラーメンはそのままだったということだ。
「砂糖、醤油、マヨネーズ、魚醤」
「シャーレ、醤油、マヨネーズ、しょっぱい魚の腐れ汁」
口にしたつもりの言葉と耳に入ってくる言葉がやはり異なっている。
砂糖と魚醤はこの世界にもあるようだ。
醤油とマヨネーズは同じ言葉で存在するか、翻訳で対応する言葉がないためそのまま聞こえたのだろう。
家でゆっくり検証が必要だ。
こんなとこでブツブツ聞いたことない言葉を呟いてたら怪しいやつ認定されてしまう。
自動翻訳スキルは想像外ちょこっとチートだ。
例えばリンゴをイメージしリンゴとしゃべると他の人にはポポルの実と聞こえるらしい。
タイミングよく翻訳スキルをオンオフ切り替えると自分で喋ったリンゴという言葉が他の人と同じように自分にはポポルの実と聞こえてしまう。
これでリンゴもしくはリンゴに類似したものはこの世界に存在し、かつポポルの実と呼ばれていることがわかる。
この世界に米が存在するのかとおもえばモッチの種という名前で存在するらしい。
ラーメンをイメージして口にするとそのままラーメンと聞こえる。
このことからこの世界にラーメンと地球と同じ名前で呼ばれるラーメンが存在する、
もしくはラーメンが存在しないため口にした言葉が変換されないままだったということがわかる。
標準語翻訳のため、この世界に存在するがこの標準語圏内で知られていないため翻訳されなかったという考えも微レ存。
拝啓 神様
バグか小技か知りませんが、自動翻訳スキルで翻訳されるかどうかで地球のものと同じものがこっちにあるか調べることができるということがわかりました。
異世界転移もので米が食べたい、だがこの世界に米があるのだろうかなんて定番の不安を感じずにすみました。
でもお約束がないのが嫌であれば修正の必要があるかもしれません。
「報告内容受理。次の世界での修正を検討。この世界での修正はありません」
*以後小説内では分かりやすくポポルの実ではなくリンゴ、砂糖も砂糖と書いていきます。
*微レ存、びれぞんとは微粒子レベルで存在しているを略したもので、限りなく可能性が低いもののゼロではない」といった意味です。昔ネットで使われてたこともありましたが、最近はあまり使われることはありません。




