冒険者ギルドでステータスを見てもらおう
古い仮面ラ〇ダーのポーズと共に叫ぶ
「ステータスオープン!」
この世界の厳しさに揉まれても生きていけるように強くならなけりゃね。
今までほとんど忘れてたけど、ぼくは自分のステータス見れるんだった。
自分の強さを目で見て知れるのに知ろうとしなかったのは怠慢だな。
名前 プックル
レベル 1
HP 9
MP 3
力 3
魔力 2
耐久 2
敏捷 2
器用さ 3
スキル 生活魔法(初級) 一般魔法(初級) 道具製作(初級)
隠しスキル 自動翻訳 精神制御(微)(自) アミタレ神の加護
前に見たのはもっと幼かったときだけどレベル0で数値もほぼ1とかだったからそれからいうと成長してるといえるかな。
魔法も初級って括弧書きがついてるけど生活魔法と一般魔法を覚えてる。
道具製作は竹トンボとか風車かな、結構作ったもんな。
ちなみに言っておくがステータスオープンは屋敷の敷地内の人気のないとこで見たんだぞ。
ステータスオープンと叫ばなきゃ見られない糞仕様になってるからな。
自分のステータスは分かったけど、他の人がどの程度なのか知りたいかも。
確か冒険者ギルドか教会で調べてもらえるんだったよな。
というわけでやって来ました冒険者ギルド。
まだギルドに登録できない年齢だから教会にしようかと思ったんだけど、
教会で調べてもらう場合小金貨1枚をお布施としてとられた上、司祭の口からステータスを聞くことになるんだそうだ。
司祭の魔法で調べる訳じゃなくステータスが表示される魔道具を使った上でそれを見ながら伝えられるという。
生前の個人情報保護の意識が残ってるため、これは受けられん。
冒険者ギルドは銀貨2枚で同じように調べてくれるが道具に表示された内容を自分で見ることができるんだそうな。
もっともそれは冒険者に限るが、ハルファス様がギルドマスターに頼んでくれることになった。
ぼくたちはここまで一緒に旅をしてきた護衛のおじさんと、いや名前を教えてもらっていたわ。
3人のリーダー格のガリルと冒険者ギルドの受付までやってきている。
「依頼人からの指名依頼ということで手続きしてくれ。詳細はこの手紙に書いてある」
「えっと、はい、かしこまりました。それでは手続きいたしますので別室にてお待ちください。はい、こちらです」
少し緊張した面持ちの受付の女性に案内され個室へと場所を移すとすぐにひとりの男性がやってきた。
「はじめまして、ここの副ギルドマスターをやらせていただいております。本日はヴァルツォーク家からここのふたりの護衛依頼ということで間違いございませんか」
「あぁ、元々俺たちはこの子の家族の護衛依頼を受けてるんだが、この街では自由にしていいって契約だったんだ。だが、この子が昨日誘拐未遂にあったためこの街でこの子たちの護衛をするっていうことになったわけさ。そして縁のあるヴァルツォーク家で護衛料を支払ってくれると。それが建前で、手紙にもある通りこの子たちのステータスを見させてもらいたいというのでここに来たわけだ」
「ステータスを知るのは教会でもいいのではないでしょうか」
「まぁその通りなんだが、こいつが司祭に教えてもらうのではなく自分でみたいと駄々をこねたというわけさ。もちろん謝礼としてこちらを預かってきている」
ガリルさんが出したは金貨2枚にはちょっと驚いたが無事ステータスを見る魔道具を使わせてもらえることになった。
目の前には大きめの弁当箱サイズの物体がある。
見た目青銅かな、装飾も模様もないただの箱?
「ステータス板に手を当てて魔力を流してみてください。魔力の流し方がわからなくてもしばらく手を当てておいてください。魔力を流せばすぐに、流さなくてもしばらくしたら表面に文字が浮かびあがりますので表示されたら手を離してください。そのまま少しすると勝手に文字は消えますが故障ではありませんので安心してください。私は仕事に戻りますのでステータスの確認が終わりましたら部屋の外にいるものをお呼びください。それでは失礼いたします」
おぉ、自動終了機能付きか。
「みんな後ろ向いててー」
隠しスキルが表示されたらちょっと困るから見ないでほしい。
手を乗っけてっと……おぉ浮かび上がってきた、どれどれ。
よかった、隠しスキルのとこは表示されておらず、それ以外はステータスオープンで見たのと同じだ。
「ステータスって普通見せあったりするの?」
「みせびらかすやつもいるにはいるが、同業とはいえ手の内は明かしたくないってのが普通だな。レベルとステータスやスキルは直結する訳じゃないが俺らは大体レベル20くらいだ。目安としてレベル20で中堅より少し上かな。レベル30越えなんかはこの国にも数えるほどしかいないって感じだ」
「ふ~ん、みんな見ていいよ」
「レベル1か、それにしてはステータス低いな」
「いや、こんなもんだろ」
「それより、スキル3つって凄くないか」
護衛の3人があーだこーだ言ってる間に表示は消えてしまった。
「それじゃ、ぼくもいい?」
「もちろん! 最初は後ろむいてるね」
「うん!」
普通ギルドでは受け付けカウンターでチャチャっと使わせるそうな。こんな別室に来たりはしない。
それはそうとリーグにぃも見ていいっていうのでみんなで見せてもらった。
名前 リーグ
レベル 1
HP 11
MP 7
力 4
魔力 5
耐久 3
敏捷 2
器用さ 5
スキル 生活魔法(中級) 一般魔法(初級) 道具製作(初級)
ステータスがぼくより少し高いな。
レベルは同じだけどステータスが高いって言ったら、レベルが変わらなくても一般的に20歳くらいまでは年齢を重ねればほんの少しずつだがステータスが増えるんだそうだ。
それに鍛えたり行動によっても多少変動があるという。
スキルはおんなじのしかもってないな、商人的なのを持ってるかとも思ったんだけど。
いや、生活魔法が中級か、旅の途中でも頻繁に使ってるみたいだしな。
聞いたところによると生活魔法は上級まで持ってる人も珍しくないが、他のスキルは中級までいけば一人前と言われるそうだ。
そして初級ながらこの歳で生活魔法以外に二つもスキルをもってるのは凄いことらしい。
他の人―特に同年代とかのステータスも見てみたかったが、またそんな機会もあるだろうと外に待機していたギルドの人にステータスの魔道具を返却してギルドを後にした。
次は薬屋だ。先日の店でいいかな。
素材の入った袋はリーグにぃが回収してくれていたが、爪は傷付き欠けていたり、袋を踏んづけたのか薬草も痛んでいたが小金貨5枚と王都のギルドで払ったお金は倍以上になって戻ってきた。
王都からここまでの日数、隊商の人数、危険度、荷の大きさから送料を考えて今回の取引は旨かったのかどうかもぼくには判断できない。
商人としてはまだまだ全然だな。
「うぉ~、さみぃと思ったら雪が舞ってるわ」
ラパウルが木窓を開け、震えながら呟いている。
この世界では強度不足でまだ大きな板ガラスは作られておらず、せいぜいが手のひら大程度の板ガラスを複数使って採光を採っている。
それでもそんなことができるのは貴族や裕福な商人くらいで、庶民の家にはガラスも使われていないところがほとんどだ。
だがこの宿は木の板窓がメインだが壁に完全な透明ではないものの瓶の底をカットしたようなガラスを埋め込んで木窓を閉めた状態でも少しは明かりが入るように工夫されている。
宿の各部屋に暖房があるわけもなく、宿泊客のほとんどは暖炉のある1階の酒場兼食堂で過ごしている。
地球でガラス窓のない時代の冬なんかは窓を開けてない場合火を灯してないと昼でも部屋の中は暗かったそうだが
この世界では明かりの魔道具や生活魔法でのライトの魔法といったものがあるため明かりにはそれほど苦労していないようだ。
「そうねぇ、ぷっくるちゃんも早く帰ってこないかしら。王都の辺りは雪は滅多に積もったりしないけど、本格的に冬になる前に帰ってきて欲しいわね~」