お茶って高級品なの? &異世界での炭酸
日が落ちる前に馬車を停め、明るい間に野営の準備を始める。
暗くなってから焚き火の明かりで野営の準備をするなんて難度の高いことはしない。
電気のないこの世界では常識だ。
馬車を停めるのにいい場所、獣やモンスターから襲われにくそうな場所、いろいろな条件を考えつつ野営の場所を決める。
そして少しでも薪の足しにと枯れ枝や木を探し集めたり、馬の世話をしたり、食事の用意をしたりとやることは結構ある。
夕暮れ前から日の出までの結構長い時間に準備、食事、睡眠といったことを皆が一斉におこなうわけではない。
深夜の見張りをする人間は早々に寝て、皆が寝るときに交代するのだ。
例えば夜10時くらいから皆寝始めて2~3時間ごとに見張りを交代なんて馬鹿なことはしない。
夕方4時くらいから寝た人間が夜10時とか11時に起きて交代して見張りをするのだ。
他には夜ずっと起きて見張りをするが、昼間は馬車でずっと寝ているといった方法をとるものたちもいる。
今回の旅ではぼくとリーグにぃは見張りを免除になっている。
起きていられるかとか、何かあっても危険を察知できるかの信頼性がないから当然といえば当然だが。
護衛のおじさん二人が寝ている中、ぼくらは焚き火を囲んで食事をおこない雑談をしている。
皆の前には大皿とひとりひとりにカップが置かれている。
大皿には昼間捕まえた兎の肉を焼いたものが盛られており、串で刺して取ったりフォークで刺したりして口に運んでいる。
パンはぼそぼその黒パンだ。
そしてカップの中には白湯が入っている。
寒くなってきたこの時期暖かい飲み物は嬉しい。
「お茶の方がよかったな」
「贅沢いっちゃダメだよ」
「お金持ちの飲み物とまでは言わないけど、お茶を飲むのはある程度裕福なおうちかしらね」
「えっ、高いの?」
「高いものばかりではないけど、わざわざお金を出してお茶を買うのはやっぱり生活に余裕のある人だけじゃないかな」
「いやいやいや、お茶って自分で作ったりするもんじゃないの?」
伯父さんたちの話を聞いてみると紅茶やハーブティなんかのことを言ってたみたいだ。
僕の認識ではぶっちゃけ葉っぱを乾燥させてお湯で煮出せばお茶って考えだ。
手近にあった木から松の葉を抜いて皆に見せる。
「ぶっちゃけこれを乾燥させ沸かしたお湯に放り込めばお茶だよ」
「いやいや、そんなわけないでしょう」
伯父さんのぼくの言葉を信じないにのに対し夜の内職を開始した。
松の木から棘棘というか、しゅっとした針状の葉を採り集める。
そして葉の根元部分にある茶色っぽい袋状のやつを取り、魔法で出した水で汚れをとり洗う。
ざるかなにかあればよかったのだが、布の上に葉を重ならないように置いていく。
お日様で乾かせばいいのだが、今は夜なのでそれは明日になってからだ。
全部を布の上に置いたわけではなく一部残しており、それは容器に入れ売り物の蜂蜜を分けてもらい水と一緒に入れ密封する。
どちらにしても明日にならないといけない。
労働の後の適度な疲労は心地よい睡眠をもたらしてくれた。
「じゃじゃ~ん」
数日後の昼、馬車を停め休憩をとっている時にそれを取り出した。
お日様で暖め醗酵をうながした後、松の葉をこし取り除いたものはリトルウォータでだした水に容器ごとつけ冷やしてある。
それをカップにいれ伯父さんに差し出す。
ぷくぷくと小さな泡が立っている。
「こ、これを飲むのかい? なんか泡がでて弾けてるんだけど……エールみたいなものかい?」
「いいから、ひと口だけでも」
「……!!?」
「どう?」
もうひと口くちにした後感想を述べ始めた。
「甘苦く苦味が少し気になるが、面白い!」
「やっぱいまいちかぁ。松葉サイダーは若葉の柔らかい時期に作れば結構いけるはずなんだけど、今の時期の葉はだめかぁ」
「リーグも飲んでみなさい、レジーナも」
「あら、わたしは好きよ、これ」
「にが~い、口の中でぱちぱち弾けて少しびっくりした。苦いのなければいいのに」
苦味の素の松葉がなければ、それなんてはちみつ水。
あ~、はちみつレモンとかいいな。
次いで松の葉茶もふるまう。
乾燥した松の葉を煮出したものだ。
焚き火なんかしてないから、リトルファイアの生活魔法で直接鍋を暖め湯を沸かした。
「ほう、紅茶なんかとは違うがこれはこれで美味い。もっともこちらも苦味が少し気になるがね」
「水のほうが美味しいと思う」
「わたしもこれ好きよ。なんといってもその辺に生えてる松から簡単に作れるってとこが魅力ね」
「血液をさらさらに綺麗にしたり、ビタミン豊富で体にいいらしいよ」
あ、ビタミンは翻訳されなかったからこの世界ではまだビタミンって見つけられてないみたい。
今回は松の葉だけど、柿の葉とかよもぎとか、どくだみ、そば、いろんなものでお茶を作ることができる。
この世界ではお茶といえば紅茶を指すようだが、お茶の葉を完全に醗酵させたものを紅茶、半醗酵させたものをウーロン茶、醗酵させずに作ったのが緑茶になる。
緑茶を作って売ろうかと思ったが、緑茶という言葉はスキルの自動翻訳で翻訳されたのでどの程度広まっているかはしらないがこの世界に緑茶はあるようだ。
半醗酵のお茶であるウーロン茶は翻訳されなかったので、もしかするとないのかもしれない。




