異世界時計管理室〜進んだ針を戻しましょう〜
小説家に『なろうラジオ大賞3』応募作品です。
テーマは時計
異世界時計管理室①
ここは、異世界時計管理室。
今日も山のような調査資料が机の上に積み上がっている。
「あー!また時計の針が進み過ぎてる」
私は一枚の報告書を見ながら頭をかかえた。最近多いんだよね、時計の針を進めすぎる異世界転生と召喚。
物語になればすごく面白いのよ?私は、スキルチートも知識チートも転生悪役令嬢の逆転ざまあも大好き。
でも、ここは物語じゃない。彼らは、物語に似た顔や名前の人達が居る世界に転生したり、魔族や魔物や魔法が存在する世界に召喚されているだけなの。
だから、あまり時計の針を進めないでほしいんだよね。技術が進んだのが数年程度ならなんとかなる。
でも、召喚されて色々持ち込んじゃったり、世界観に合わない大ブーム作ったり、ホイホイ王太子廃嫡したりは、やめて〜。戻すの大変なんだから!
食べ物は……まぁいっか。甘いお菓子は世界を救う。私もよく利用させてもらってます。
そんなこんなで、今日も時計が進みすぎた世界があった。
「今度は何で、進み過ぎたんだ?」
頭を抱えて考え込んでいた私を見て、室長が話しかけてきた。
「魔導士が会社員召喚して、この世界にノートパソコン持ち込んだんですよ。今の所メモリー内の技術で五十年は進みます」
「オーパーツ案件か、でも電気も電波もないよな?だったらそんなに進まないだろ」
「魔導士の召喚が下手で時空が歪んで、繋がってるんですよ、電波。電気はバッテリーの残っている間にパソコンで調べれば、この世界の物でも発電できますし」
「彼、気付くかな?」
「少し様子見ですかね?気付かなければ、ただの鉄屑オーパーツになります」
「もし気付いたら、使い方によっては……」
「この世界だと、彼の居る国に魔族送り込みですかね」
「できればやりたくないけど、時計が進みすぎた世界を戻すには、一度破壊するしかないからな」
本当に、むやみに勇者召喚とか転生チートとかリアルでは、やらない方がいいよ?
世界には時計があって、適切な速度で針を進める必要があるの。
せっかく平和に暮らせていたのに、時計の針を戻す為に、無駄に私達と争う事になっちゃうからね。
リアルに異世界転生、召喚があったら、、、
の、もしも物語です。
テーマ
『時計』『お菓子』『オーパーツ』入り。
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