アリア 1-6 お手伝いを・・・
「ハイド、イリヤ。そういうわけでアリアの面倒を見てもらえないだろうか。」
ディーは、アリアが最近あちらの世界から飛ばされてきたこと、危険を避けるために男装させていること、お嬢様育ちだから一人で生活させることに不安があることなどを説明した。
「俺は構わないですよ。イリヤは?」
「私もいいですよ。ジーナもアリアちゃんがいたら喜ぶでしょうし。」
ハイドとイリヤはディーの頼みを快諾する。
「おねえちゃんもいっしょにくらすの?」
話を聞いていたのか、ジーナはアリアの顔を見て尋ねた。
「うん。そうなるのかな。ジーナちゃんは私と暮らすのどうかな?」
「えーとね。たのしそー。」
「ありがとー。」
アリアは嬉しくなりジーナを抱きしめる。
そしてアリアは立ち上がり、ハイドとイリヤに頭を下げる。
「ありがとうございます。冒険者の仕事がないときは、お料理は・・したことがないですが、掃除や洗濯はできると思いますのでよろしくお願いします。」
「「ああ(ええ)、よろしくな(ね)。」」
その後、急におしかけたにもかかわらず、イリヤはアリアとディーの食事を用意してくれた。
5人でご飯を食べた後、ディーはアリアを残し兵舎に帰っていった。
アリアは今日はお客さん用の部屋を使わせてもらえることになり、ジーナと少し遊んだ後は早めに休むことにしたのだった。
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昨晩早めに眠りについたアリアは、普段よりも早くに目が覚めた。
窓から外を見ると、まだ日は昇っておらず薄暗かった。
しかし、朝食やお弁当を売っている店や屋台はもう始まっているらしく、どこかに働きに行くであろう子供たちや、冒険者風の人達が屋台に並んでいた。
耳をすませると、ハイドの家の人たちももう起きているらしく、アリアは慌てて身支度を済ませる。
部屋を出てリビングに行くと、
「あら、おはよう、アリアちゃん」「アリアちゃん、おはよう。」
「おはようございます。イリヤさん。ハイドさん。」
イリヤは朝食の準備をしており、ハイドはソファーでくつろいでいた。
「あの、私起きるのが遅かったですか。」
「いやいや、そんなことはないさ。俺はいま街の衛兵をしてて、朝から昼の担当なんだ。だからイリヤにも早く起きてもらってご飯を作ってもらっているのさ。」
「それなら良かったです。あっ! 私もお手伝いします。」
「じゃあ、配膳をお願いしてもいいかしら。その後で、ジーナを起こしてきてくれる?」
「分かりました。」
アリアは慣れないながらも料理をテーブルに並べていく。
あらかた並べ終わると、
「それではジーナちゃんを起こしてきますね。」
「ええ、お願いね。」
2階に上がり、ジーナの部屋の扉をノックした。
「ジーナちゃん、おはよう。朝ごはんの準備ができたんだけど起きてるかな?」
「うぅ、分かった。」
それから少し待っているとドアが開く
「おはよう、おねえちゃん。」
「おはよう、ジーナちゃん。ごめんね、朝早く起こしちゃって。」
「んーん、だいじょーぶ。きのうはおねえちゃんとあそんで、たのしくってなかなか眠れなかっただけだから。」
「ジーナちゃんっ。」
ジーナの言葉に喜んだアリアは、ジーナを抱きしめた。
ジーナと手をつないでリビングに行くと、なぜかそこにはディーがいた。
「おはようアリア。ジーナちゃんも。2人ともずいぶん仲良くなったみたいだな。」
そう言って笑うディーに対し、
「えっ!いつ来たんですか? というかなんでいるんですか?」
アリアは挨拶も忘れて、そう尋ねることしかできなかった。