ボルス 1-2 闇の中で・・・
ボルスは暗闇の中、泣くことしかできなかった。しかし、泣きながらたくさんのことを考えたのだった。
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初めは父、フリーデンのこと。
父上はあまり私のことを見てくれたことはない。
幼少期は乳母と王妃である母は私をかわいがってくれたが、父上はあまり私に興味を持っていなかった。
先ほども私にゴミを見るような眼を向けていた。
なぜ私を愛してくれないんだ。
次にアリアのこと。
私が今このような目にあっているのはアリアが原因ではないか。
アリアがキャスをいじめたのがそもそもの原因ではないか。
幼いころからアリアが私に興味を持っていなかったことは知っている。
初めは私も婚約者である彼女と仲良くなりたかったが、アリアはいつも私に冷たい目を向けてきた。
子供のころの私にはそれが恐ろしかった。
だからアリアとは関わらないようにしたのだ。
そしてキャスのこと。
キャスはどうして今隣にいないんだ。
これからはずっと一緒にいようと約束したのに。
それとも彼女は本当に私を騙していたのだろうか。
アリアに嫌がらせをされていたという話は、みんなが言うように彼女の嘘で、私は無実のアリアをこのような場所に追いやってしまったのだろうか。
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そんなことをボルスは日が昇り始めるまで考え続けた。
考えたが答えは出なかった。
だからこそ、ボルスはアリアを見つけて今度こそちゃんと話を聞こうと決意する。
アリアを探しに行こうと太陽のある方向に向かって歩き始めるのであった。
ボルスがいた場所の少し離れたところでは、一晩中周囲の魔物を倒し続け、ボルスの様子を見守っていた女性騎士がいた。
「うーん。ずっと大泣きしているから声をかけ損ねてしまった。」
その後、女性騎士は気まずそうにボルスに話しかけ、驚き警戒するボルスとともにエリアスの街に向けて歩き始めた。
次話はアリア視点に戻ります。