アリア 2-16 魔の一族の里③
*今回の話は過激な表現が所々見られます。
なので話の長さは短めにしておりますが、苦手な方には本当に申し訳ございません。
「そ、それはどうして?」
ゲルドは少し前まで使用人だった男の意図が分からず尋ねてしまう。
男はその質問に不快そうな表情を浮かべると、
「ああん? うるせえよ。てめえは黙ってこっちの言うことを聞いてればいいんだよ。それともコイツの首を刎ねてやろうか?」
そう言ってエビラに突き付けたナイフをわずかに皮膚に食い込ませた。
「っ痛ぅ!」
「エビラちゃんっ!」
エビラは突如走った鋭い痛みに声を上げてしまう。
その姿を見たゲルドは悲壮な表情を浮かべ、
「わ、分かったわ。分かりましたからもう止めてっ。」
床に頭を擦り付けて懇願する。
それを見た男は不快そうな表情を柔和な笑みに変えると、
「ええ、ええ。分かればいいんですよ。こちらも手荒なことはしたくないですからね。」
と言ってナイフに込めていた力を緩めて見せた。
ゲルドは安堵の息を漏らす。
「おい、新入り。さっさと出せや。」
「はいはいっと。」
男はフォルテの方を向くと、イラついた様子に戻り命令する。
それに対し飄々と返事をしたフォルテは懐から『魔人化の呪法』について記されている書物を取り出し、ゲルドの方へと投げた。
(どうしてあなたがこれを持っているの?)
ゲルドはそう疑問が口を出ようとするが、先ほどの二の舞になることを恐れ、口をつぐむ。
その様子を見たかつての使用人は、
「この男はここに来る前に、その本を保管していた場所を襲って回収してきたんですよ。先ほどの爆発音に似た音はその時に生じたものです。」
優しげな表情を浮かべ説明した。
そしてすぐにその表情を嗜虐的な笑みに変化させ、
「まあそのときにこの里の人間が何人か犠牲になってしまったんですが。」
そう説明して楽しむようにゲルドたちの顔を見つめる。
「そんなっ!!」
悲痛な声を上げるゲルドの様子に、男は満足げな表情になる。
そして・・・
「それじゃあ、そろそろ始めてもらいましょうか。大事な息子さんのために」
こうして男はゲルドに『魔人化の呪法』を使わせたのであった。
過去視点での説明は今回で終了し、次話では治療中のエビラの口から、魔の一族の里でその後何がどうなったか軽く説明があります。
次回もよろしくお願いします。




