ボルス 2-1
久々のボルス君の回です。
アリア達がオルティアに到着した日、相変わらずボルスたちはニールの街にいた。
「ボルス。お前に少し重要な話がある。」
ボルスはいつも通り冒険者の仕事を終え、拠点にしている宿に戻ってくると、ルインが宿の入り口近くで待ち構えていた。
ふたりはボルスの泊まっている部屋に入ると、ルインが真面目な表情で話を切り出す。
「いきなりで悪いが、私は明日王都グランディアに戻らなければならなくなった。」
「えっ、明日!?どうして?」
ルインの突然の話に、ボルスは目を見開いて驚く。
「なんだお前?普段は悪態ばかりついているが、私と離れるのが寂しいのか?」
「いや、それは・・・まあ。」
ボルスにとってこちらの世界に来てからずっと世話になっていたルインの存在は、すでにそばにいて当たり前の存在になっていた。
悲しげな様子のボルスを見たルインは、ニヤニヤと満足げな表情になる。
「フフッ。安心しろボルス。ちょっと様子を見に王都に戻ったら、すぐに戻ってきてやる。」
「そ、そうだったのか。というかルインさん。わざと俺が誤解するような言い方をしただろっ。」
「おかげで面白いものが見れた。まあ、もしお前が嬉しそうな表情を見せていたら、私が戻ってくるまでの間、地獄の特訓メニューを課していたしたがな。」
「なんて迷惑な話なんだ。」
ボルスはどっと疲れが押し寄せていた。
ジト目でルインを睨むが、睨まれている方はどこ吹く風であった。
ボルスはため息をついて気分を切り替えると、詳しい話を聞くことにする。
「それで、どうして王都に戻らないといけなくなったんだ?」
「1か月前、王都でクーデターが起こったことはお前も知っているだろう?」
「ああ。ここニールでもちょっとした騒ぎになっていたからな。」
「クーデター自体は何の問題もなく解決したんだが、一度騎士を集めて今後についての話をするらしい。」
「そうなのか。しかしそんな状況で本当に戻ってこれるのか?」
「ああ。なんと言われても戻ってくるつもりだ。お前とともにアリアという少女を探す、と約束したからな。」
「・・・すまない。迷惑をかける。」
「ルインさん、頼みがあるんだ。」
ルインに謝罪したあと、何かを考えている様子だったボルスが唐突に言った。
「なんだ?言ってみろ。」
「俺も王都に連れて行ってもらえないだろうか?」
「・・・なぜだ?」
「理由はいくつかある。一つはニールでは今のところアリアの情報は全く入ってこない。」
「そうだな。」
「だから、今度は王都に拠点を移してアリアを探したいんだ。」
「確かに、その方が効率的かもしれないな。他の理由は?」
ルインが続きを求めると、ボルスは言いづらそうな表情をした後、ためらいがちにゆっくりと次の理由を話し始める。
「俺自身この世界の、この国の人が作った王都を見てみたい。この世界を作ったのは俺の先祖だ。だが、この世界はファルマール王国で伝えられているような、人が住みにくい世界ではなかった。この世界が本当にヒトを異世界に追放するために作られたのか?それとも別の目的で作られたのではないか?それをこの国の王都を見れば分かる気がする。」
「ふむ。お前はこちらの世界に来てそう感じたのだな。」
「本当に申し訳なく思っている。こちらに転移させられてきた人たちが、血のにじむ努力をして今のこの世界を作ったのだと想像できる。だけど俺はまだ自分の先祖の別の可能性を捨てきれないでいる。」
「・・・そうか。ならばお前を王都に連れて行こう。そして何をどう感じたか改めて聞かせてもらおうではないか。」
「感謝する。ルインさん。」
「しかし、ヴィアに相談して決めなくてよかったのか?」
「あっ!」
ボルスはヴィアの存在を失念していた。
ルインはそんなボルスを呆れた顔で見つめるのであった。
翌日、ボルスが王都に行くことをヴィアに伝えると、
「私も絶対に付いていきますからね。」
そう言って、勝手に決めたことを少し怒った様子で、それでもボルスの腕に抱き着くのであった。
ボルス君はこれから王都に向かいます。
その間はアリアの場面に戻ります。




