アリア 1-3 アリア⇔アルス??
アリアはディーと馬に乗って移動し、その日の夕方には人が多く暮らす街に到着した。
その街の名前はエリアスといい、人口は2000人以上の比較的大きな街であった。
アリアは今男装をしていた。
これはディーのアドバイスで、街の中には衛兵がいるものの男性よりも女性の方がトラブルに巻き込まれやすいことや、エリアスに到着したら最初に寄る場所と関係している。
元々着ていたドレスとは違い、ごわついた生地の服と男物のズボンをはいている。
この服は道中で出会った行商人風の男からディーが買い取ったものだ。
長い銀髪は後ろで縛っている。
アリアは少し鋭い目つきをしているため、ディーいわくかっこいいらしい。
褒められたアリアはあまり表情には出さないが、内心ではかなり喜んでいた。
アリアは整った顔立ちをしているものの、冷たい目つきをしていたため、他人から容姿を褒められることはあまりなかった。
(アリアは知らなかったことだが、他の貴族令嬢にアリアの隠れファンが多くいたのは余談である。)
街に近づくと門番らしき青年がこちらに近づいてきた。
「ディーさん、お疲れ様です。そちらの方が今回の?」
「ああ。名前はアルスだそうだ。道中確認したが危険な人物ではないと思う。」
これもディーと決めたことだが、アリアは男装しているときは『アルス』と名乗ることになった。
「とりあえずアルスを冒険者ギルドに連れて行って、冒険者登録しようと思う。街に入るから手続きをしてくれ。」
「はいっす。」
冒険者登録をするとギルドカードが発行され、ギルドカードは冒険者であることを示すだけでなく身分証にもなる。
他にも冒険者になれば仕事を受けることができるメリットがあった。
そのため、アリア達は街についたら冒険者登録することを事前に決めていた。
男装しているのも、女性冒険者だと男性の場合よりもトラブルに巻き込まれやすいからである。
門番による手続きが終わり街の中に入ると、ものすごく活気があることが分かった。
夕方だからか仕事終わりの人たちが屋台で飲み食いして騒いでおり、公爵令嬢のアリアにとってその光景はとても楽しそうに映った。
「フフッ。アルス、食事よりも先に冒険者登録だ。その次は君の面倒を見てくれる人の家に行くから食事はそのあとだ。」
「別に食事をしたくて見ていたわけではありませんっ。」
アリアがそう否定するものの、ディーは笑って聞く耳を持たないのであった。