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ボルス 1-6

ボルスとヴィアは今回の依頼の依頼主となる、ワンダー村に到着していた。


ワンダー村はニールの街から片道2時間ほどの比較的近い場所にある畑作が盛んな村である。

ボルスとヴィアはワンダー村に到着後、村長宅に案内してもらい、村長に詳しい依頼内容を確認した。


依頼内容は、ワンダー村の作物を狙って最近現れるようになった、イノシシ型の魔獣『バークボアー』の群れの討伐であった。

バークボアーが現れるのは、夜の人気(ひとけ)がなくなる時間帯ということなので、ボルスとヴィアは村で宿をとることにしたのだ。


「ヴィアはバークボアーを見たことがあるか?」

村にひとつだけあるという宿屋に移動する途中、ボルスはヴィアにバークボアーについて尋ねてみる。


「いえ、お肉になったバークボアーはニールの街で食べたことはありますが、生きている状態のものを見たことはありません。ですがギルドの資料によると、名前の通り毛や皮膚が樹皮のように変化したイノシシで、森林地帯で木々に(まぎ)れて生息していて、本来はあまり人里には姿を見せないみたいです。見た目通り外側は樹皮のように固いので矢が通りにくく、硬い体による体当たりはかなり危険で、一般の猟師では対処が難しいということです。ただ、内側のお肉は柔らかく人気の食材で、以前食べたものはどこか蜜のような甘味のあるお肉でした。」


「それは食べてみたいな。しかし、ヴィアはそこまで調べてくれたのか。・・・すまない。俺も次の依頼からは事前にもっと調べておこう。」

「でしたら次は一緒に勉強しましょう!」


名案です、とヴィアは両手を合わせて微笑むのであった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ご宿泊はおふたりですね。お部屋は二人部屋でよろしいでしょうか?」


宿の主人の男性がニヤニヤした表情でボルスに尋ねる。


「いや、一人部屋を2つで頼む。」

「はあ、本当によろしいので?」

「そう言ってるだろう。」


しつこく聞き返してくる宿の主人に対し、少し苛立ったようにボルスは言う。


「は、はい。失礼しました。」


さすがに宿の主人もまずいと思ったようで、すぐに部屋の鍵を用意したのであった。




「しかし少し意外だったな。」


宿の部屋に移動する途中、ボルスはつぶやく。


「何がでしょうか?」


ボルスのつぶやきをヴィアが拾う。


自惚(うぬぼ)れているように聞こえるかもしれないが、いつもの君なら同じ部屋に泊まりたがるかと思って。」

「あはは。すっぴんや寝起きの顔を見られるのは、まだ少し緊張しますので。」


ヴィアは恥ずかしそうにそう言うのであった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・



深夜、ほとんどの人が寝静まり、民家から漏れる光もなくなったころ、ボルスとヴィアは畑を見渡せて、なおかつ姿を隠せる場所に潜んでいた。


「さすがに星の光だけだと、ほとんど何も見えないな。」


ボルスは闇に慣れてきた目を凝らして周囲を見渡す。

しかしその目には畑とそうでない場所の境目すら見分けることが難しかった。


『我ら深淵にあり 闇を見通す亡者の瞳を さらに求める 生あるものを白く映せ』


ボルスは突然耳に入ってきた、ヴィアの魔法の詠唱を聞いてそちらを向く。


するとボルスの視界は徐々に暗闇の中でも鮮明になり、さらにヴィアの姿は白く映り、よりはっきりお互いの居場所が分かるようになった。


「今の魔法はもしかして『縮合魔法』か?」

「はい。暗視の魔法『ダークアイ』と熱探知の魔法『サーマルサーチ』の縮合魔法です。系統や効果の近い魔法の詠唱をつなげることで、魔力を練り上げる工程が1回で済むうえに、詠唱にかかる時間や魔力の消費を抑えることができるんです。」

「すごいな。」


ボルスは元の世界で縮合魔法について学んでいたが、2つの魔法を組み合わせる難易度の高さから、ついぞお目にかかったことがなかった技術であった。


「ま、まあ、今の2つの魔法を縮合する必要はあまりなかったのですが・・・。私が多少はできるというところをボルスさんに知ってもらおうと思いまして。えへへ。」


ヴィアは照れたように言うのであった。


そんなとき、ボルスの視界に四足歩行のイノシシ型の生き物の姿が白く映る。


「しっ。見つけた。」


ボルスは声を潜め、ヴィアに分かるように方向を指で示す。


「バークボアーで間違いないでしょう。少し遠いので魔法で倒しますか?」


5mほど離れた位置に現れた白い影を見たヴィアは、手に持つ杖を握りしめてボルスに尋ねる。


「いや、ここは俺が行こう。」


ボルスは身体強化魔法の術句を唱える。

ボルスの身体から淡い光が放たれた。


腰に下げた剣を抜き手に持つと、バークボアーに向かって駆け出す。


ボルスの足音と淡く光る姿に気づいたバークボアーたちは驚きで動きを止める。

ボルスは走る勢いそのままに剣を腰だめに構えて、片方のバークボアーの額に剣を突き刺した。


一刺しで絶命したバークボアーの顔にボルスは足裏を当て、突き刺した剣を引き抜く。

死んだバークボアーは地面に崩れ落ちた。


「ガ、ガアアァァァ!!」


パートナーだったのか片割れを殺されたバークボアーは怒りの雄たけびを上げる。

そして剣を構えるボルスに向かって、怒れるバークボアーは突進を始めたのだった。


第1章は残り1話です。


バークボアー

バーク(bark)=樹皮

ボア―(ボア boar)=イノシシ

そのままです。


縮合魔法、今後アリア側でも出るかも


これからもよろしくお願いします。

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