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アリア 1-26 大切な人たち


(アリア視点)


乗合馬車は門を通り、王都の外に出ました。

徐々に王都から離れていく馬車から、王都を眺めます。

新王国の王都を見ていると、ファルマール王国の王都での記憶が思い起こされてきました。


ファルマール王国にいる家族や学園の友人たち、みんなは私のせいで不利な状況に陥っていないでしょうか。

大切な人たちにもう会えないと思うと少し悲しくなってきます。


最近は平気だったんですけどね。

久しぶりにこの感覚を思い出しました。


元の世界では刺激的なことはなかったけど、確かに楽しかったんだな、と今更になって思います。



そんなことを考えていると、メルト君とネイアちゃんが私の顔を覗き込んでいました。


「どうしたの?2人とも。」

「アルス君、とても悲しい顔をしているなの。」

「ああ。今にも泣きそうな顔をしているな。」

「えっ。」


メルト君とネイアちゃんに言われて、私は自分の顔を触ります。

触ってしまいました(・・・・・・・・・)


「やっぱりなの。何かあったなの?」

「俺たちでよければ話を聞くぞ。」


メルト君とネイアちゃんは私が顔を触ったことで確信を持ったようです。


「う、ううん。なんでもないよ。だ、だからね。そんなかおを、しないで。」


私は(あわ)てて否定しようとしますが、何故かうまく言葉が出てきません。

ふたりの心配そうな表情を見ていると涙が出てきました。


「アルス君。」


ネイアちゃんが私を抱きしめてくれます。

私はネイアちゃんの胸で静かに涙を流したのでした。




・・・・・・・・・・・・・・・・




眠ってしまっていたのか、私は目を覚ましました。


横たわったまま周囲の状況を確認します。

馬車はガタガタと進んでいるのが分かります。

目的地にはまだ着いてないみたいですね。


周りをゆっくり見渡すと、メルト君や馬車の他のお客さんが何故か微笑んで私を見ています。


どうしたのでしょう?


頭を軽く動かすと、おでこに手が乗せられました。


「アルス君、起きた?なの。」

「うん。」


私はネイアちゃんの声に返事をします。

ですが、ネイアちゃんの声がとても近くに聞こえます。


私の意識が徐々に覚醒してきました。


たしか私は眠る前に泣いていたような。

それで、誰かに抱きしめられて・・・。

近くに聞こえるネイアちゃんの声と、今感じる頭の後ろの柔らかい感触は・・・?


そこで私は気付きます。

今、私はネイアちゃんに膝枕をしてもらっていることを。

頭を撫でてもらっていることを。

そして、周囲の温かい視線の原因に。


「うわぁ。ご、ごめんね。ネイアちゃん。僕、あのまま眠っちゃって。」


私は慌てて起き上がります。


年下の女の子に抱き着いて泣いてしまい、そのまま眠ってしまったことや、それを周りの人たちに見られていたこと自覚して、私の顔は熱を帯びてきます。


「アルス君、大丈夫なの?顔が赤いなの。熱があるなの?」


ネイアちゃんは私の額に手を伸ばします。

耐えられなくなった私は後ろに後退(あとずさ)ります。


「ううん。大丈夫だから。本当にありがとう。ネイアちゃんは足が(しび)れたりしてない?」

「大丈夫なの。でも良かったなの。アルス君、急に泣き出しちゃうから、とても心配だったなの。」

「うん。そっちももう大丈夫だよ。」


私は泣いたおかげか、今はとてもスッキリしていました。


「ネイアちゃんのおかげで元気になったよ。」

「よかったなの。でも悩んでることがあったら相談して、なの。」

「ありがとう。」


そうです。前の世界にも大切な人たちはたくさんいました。

でも、こちらの世界にも大切な人たちはたくさんできました。

ネイアちゃんやメルト君、ディーさんにハイドさんたち、他にも多くの大切な人たちがいます。


だから私は異世界に飛ばされても、元気にやっていけると思います。



ここまで読んでいただいたみなさま、ありがとうございます。

ここでアリアサイドの1章は終了となります。

いかがでしたでしょうか。


ボルス君の話をあと3話して、第1章全体は終了となります。


この作品をお気に召していただけておりましたら、ブックマークや評価を付けていただけると嬉しいです。

よろしくお願いします。


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