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アリア 1-23

生誕祭のパレードのあった日の夜、アリア、メルト、ネイアは宿の食堂にいた。

少し前までアリア達は部屋におり、アリアの様子が落ち着いたので3人で食事をしに来たのであった。


「アルス君、大丈夫なの?」

ネイアがアリアの顔を心配そうに見ながら尋ねる。


「うん。もう大丈夫だよ。ごめんね。パレードを最後まで見られなくて。」

「ううん。気にしなくていいなの。アルス君のほうが大事なの。」

「だな。気にすんなよ。」

「ありがとう、ふたりとも。」

アリアはネイアとメルトの言葉に、目に涙をためながら心から感謝する。


「それで、どうしてあんなふうになったんだ?」

メルトはアリアに尋ねる。

「それがあの時、」

アリアがメルトの質問に答えようとすると、

「ごめんなさい、相席いいかしら?」

横から声がかかった。

その声のしたほうを向くと、金髪の黒いドレスを着た色気のある美しい女性が立っていた。

気が付けば先ほどまで騒がしかった宿の食堂が静まり返っていた。

他の客たちの視線はその女性に集まっている。

メルトもその女性に見惚れているようであった。


「それで、どうかしら?他の席はいっぱいで。」

「あっ、はい。どうぞ。」

アリアは慌てて返事をする。

「ありがとう。助かるわ。」

そう言って黒いドレスの女性はアリア達のテーブルの空いている席に座った。


アリア達は注文を終えると、黙り込んでしまった。

初対面の人が近くにいるのと、周囲の視線が自分たちのテーブルに集まっていたからである。

くわえてドレスの女性はなぜかアリア達を見てほほ笑んでいた。


「あの、僕たちに何か?」

沈黙に耐え切れず、アリアは意を決して女性に尋ねる。


「あら、ごめんなさい。実は私、パレードのときにあなたたちがいた場所の近くにいたの。そこであなたが突然気分が悪そうになって運ばれていったから少し心配だったの。」

「そうだったんですね。ありがとうございます。今は体調も戻りましたので。」

「それなら良かったわ。」


「そうだった。アルスにどうして気分が悪くなったのか聞いている途中だったんだ。」

今まで女性をチラチラ見ていたメルトは思い出したように声を挙げる。

その言葉にアリアとネイアは呆れたようにため息をつく。


「私も聞いていいかしら。」

女性は微笑みながら、アリアに尋ねる。


「実は黒い騎士の人と目が合ったのですが、その時とてつもない力が身体を通り抜ける感覚がして、そのあと恐怖で身体が動かなくなったんです。」

「陛下の近くにいた騎士ね。」

ドレスの女性はアリアの説明に、その騎士をすぐに言い当てる


「お姉さん。パレードで国王陛下の傍にいた黒い騎士のことを知ってるなの?」

ネイアは興味深そうに女性に尋ねる。


「黒い騎士、正式には黒陰騎士と言われているわ。グランデル新王国の筆頭騎士に与えられる称号でもあって、名前通り黒い鎧と兜を身に着けているわね。」

「筆頭騎士」

その女性の説明に、アリアはつぶやく。


「そう。グランデル新王国の正式な騎士は、6ある下位の騎士団とその上位に位置する3つの騎士団のいずれかに所属しているわ。下位の騎士団の説明は今は置いておくわね。上位の騎士団の名前は赤陽騎士団、黄光騎士団、そして白影騎士団があるわ。」

女性はそこで言葉を切り、アリアの顔を見つめほほ笑む。

アリアはどうしたのだろうか、と思い軽く首をかしげる。


「ふふ。それでそれぞれの騎士団には役割があって、赤陽は戦闘、黄光は治安維持、白影はそれら以外の少し特殊な任務を専門にしているの。補足しておくと赤陽が戦闘で一番強そうに聞こえるけど、3つの騎士団に力の差はほとんど無いと言われているわ。そして黒陰騎士はそれら3つの上位の騎士団の中で最強の者に与えられる称号なの。」

「最強、ですか?」

アリアにとってこれまで出会った最強はディーであった。

しかし、今日のパレードで見た黒陰騎士はそれ以上だと聞き、驚きが隠せなかった。


「そうよ。とは言っても、戦闘能力が最強なだけであって、知識やその他の能力まで最強というわけではないからね。」

「お姉さん、詳しいんだな。」

メルトは感心したように言う。


「王城に知り合いがいて他の人より詳しいのよ。あら、注文した食事が来たみたいね。さあ、食べましょう。」

騎士の話はそこで終わり、4人は食べている物の味や、王都についての話に花を咲かせるのであった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ごちそうさま。あなたたちのおかげで久しぶりに楽しい食事ができたわ。」

「いえ、こちらも色々お話が聞けて良かったです。」

「お姉さんの話、面白かったしな。」

「そうなの。お姉さんに教えてもらったお店に行ってみるなの。」


「ふふふ、ありがとう。それじゃあ私は行くわね。そういえば名前を言ってなかったわね。私の名前はダーナって言うの。あなたたちとはまたどこかで会う気がするから覚えておいてね。」

そう言い残し、ダーナと名乗った女性は食堂から出ていったのであった。


もうすぐ第1章も終わります。

第1章が終わったら章のタイトルと各話のタイトルを少しずつ付けて行こうかと思っています。

第2章も大まかな内容をいくつか考えていますが、どの話にしようか悩み中です。

というわけで、これからもよろしくお願いします。

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