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アリア 1-14 朝は挨拶の時間


グランデル新王国の王都に向け出発する日になった。


イリヤとジーナに見送られたアリアは、待ち合わせ場所となっている北門前の広場に向かっていた。

アリアは早朝の寒さに身を震わせながらも、新たな場所への期待からかその足取りは軽やかであった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・



アリアは待ち合わせ場所に到着するが、朝の北門広場は多くの冒険者や旅人、これから行商に出ると思われる商人や積み荷を乗せた馬車などで埋め尽くされていた。


アリアは辺りを見渡すがメルトとネイアは見つけられなかった。

あまりにも混雑した広場に足を踏み出せずにいると、後方から声がかけられる。


「アルス君、こっちなの。」


アリアが後ろを振り返ると、ネイアが少し離れたところから手を振っていた。


「ネイアちゃん、おはよう。」

「おはようなの。メルトと依頼人の人たちはあっちにいるなの。」


ネイアが指さす方向を確認すると、広場の端に馬車2台と商人風の人たちの隣にメルトの姿が確認できた。

そして商人たちの近くには帯剣した女性とローブ姿の女性がいたので、彼女たちが例のホウセンカというパーティなのだろうとアリアは考えた。


「メルト君、おはよう。」


アリアはメルトのところに向かって歩いていき、挨拶をする。


「おう。出発までもう少しかかるらしい。俺たち護衛の荷物も馬車に積んでくれるみたいだから、あっちの馬車に乗せてくるといいぞ。」

「分かった。ちょっと行ってくるね。」


アリアはメルトが指さしたほうの馬車に近づき、御者らしき男性に挨拶をして荷台に上がった。


着替えなどの入ったバッグパックを積み込み荷台から降りると、先ほど見かけた女性冒険者の2人がアリアに近づいてきた。


「君が今回同行する新人冒険者の子かな?」


剣を腰に携えたほうの女性は微笑み、アリアの顔をジーっと見ながら話しかけてくる。


「はい、アルスと言います。よろしくお願いします。」

「私はライナ。Bランク冒険者でホウセンカの剣士よ。そんでこっちが・・・」

「シルル。よろしく。」


剣を腰に下げた赤い髪の女性は『ライナ』と名乗り、ローブ姿の小柄で物静かな雰囲気の少女?は『シルル』と名乗った。


「シルルは見ての通り魔法使いよ。少し不愛想に見えるけど、優しい先輩だから安心してね。」

「不愛想は余計。」

「ごめんごめん。それにしてもアルス君はなかなか綺麗な顔をしてるわね。冒険者の男の子だと普通はもっとカサカサした感じだけど、アルス君はぷにぷにね。」


ライナはアリアの頬を人差し指で(つつ)きはじめる。

アリアはどう反応すればよいかわからず、しばらくされるがままになっていると、


「ライナ、この子困ってる。それパワハラ。」


シルルがあきれた表情でライナを諫めてくれた。


「いやー。アルス君のほっぺが気持ちよくてつい。お詫びに私のほっぺも触っていいよ。」

「あはは・・・。」

「ライナしつこい。アルス、(きみ)のパーティメンバーを呼んできて。今回の仕事の打ち合わせをするから。」

「はい、分かりました。」


シルルに言われ、アリアはメルトとネイアを呼びに行ったのだった。





メルトとネイアを連れて戻ってくると、ホウセンカの2人だけでなく今回の依頼主と思われる女性がその場にいた。


「私はポーツ商会エリアス支店の支店長のクインといいます。君たち3人のことは冒険者ギルドのギルマスから聞いてますよ。新人ながらとてもお強く優秀らしいですね。今回の依頼で出会えたのも何かの運命、ポーツ商会とエリアス支店を今後ともよろしくお願いしますね。」


クインは商人らしい笑顔をたたえて、一息(ひといき)に挨拶をしてくる。

その圧力の凄さにアリア達はたじろいでしまうのであった。



その後アリアたちは、ホウセンカの2人とクインを含めた6人で護衛の流れや王都への行程などの最終確認を終え、王都へと出発した。


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