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アリア 1-12 ジーナちゃんとの休日で・・・


前回は殺伐としてたので、今回はおやすみ回です。

よろしくお願いします。


(アリア視点)


私たち3人が初依頼を達成してから1週間が経ちました。


あれからゴブリン退治以外にも薬草採取、下水道に繁殖したネズミ退治、街の清掃活動など、毎日依頼を受けてきました。

ですが今日は、メルト君とネイアちゃんが装備を新調するために冒険者の仕事は休みにすることになってます。


なので私は家でイリヤさんのお手伝いをしたり、ジーナちゃんと遊ぶつもりです。


「イリヤさん、おはようございます。何かお手伝いすることはありますか?」

「おはよう、アリアちゃん。今日はせっかくのお休みなんだし、休んでていいのよ。」

「いえ、いつも自由にさせていただいてますから、今日ぐらいは。」

「そんなに気を使わなくていいのよ。でもそれなら今日は一日ジーナの面倒を見てもらってもいいかしら。」

「分かりました。私もジーナちゃんと遊びたいと思ってましたので。」

「それじゃあお願いね。」

「はい。」


イリヤさんのお手伝いはできませんでしたが、その代わりにジーナちゃんと本気で遊びましょう。


「ジーナちゃん!今日は一緒に遊ぼう。」

「ほんとう!」

「うん。一日中一緒にいられるからね。何かしたいことはある?」

「うーん。じゃあいっしょにおそといこう。」

「うん、いいよ。じゃあ準備してくるね。」


私は部屋に戻って着替えようとしました。でもとても大きな問題にぶつかってしまいます。

女性の恰好か男性(アルス)の恰好のどちらで出ればいいのでしょうか。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「きょうはおねえちゃんとおでかけがしたい」

というジーナちゃんの要望で、女性の恰好で外出することにしました。


「ジーナちゃんはどこか行きたいところとかある?」

「おねえちゃんのふくをえらぶー。おねえちゃんきれいだから、もっときれいにするの。」

「ありがとう、ジーナちゃん。私もジーナちゃんの服を選ぶね。」


ジーナちゃんが今日はお姉ちゃんの恰好がいいといったのは、私の服を選ぶためだったみたいです。

ジーナちゃんはいつも私のことを、きれいやかわいいと言ってくれるのでとても嬉しいです。



ジーナちゃんと手をつないでしばらく歩くと、商業区にたどり着きました。


どこか良さそうなお店がないか見まわしていると、偶然にもメルトさんを見つけてしまいました。


メルト君はお店の前で武器を真剣な目で見ています。ネイアちゃんとは別行動なのでしょうか?


「メルト君、こんにち・・」


あっ!そういえば今私はいつものアルスの恰好ではありませんでした。

ですがメルト君はこちらを振り向いてしまいました。


どうしましょう。



メルト君はなぜか私を見たまま固まっています。

私がアルスだと気づいたのでしょうか?


「かわいい。」

「えっ?」

「えっ。いえ、すみません。なんでもない・・です。」


そう言ってメルト君はどこかに駆けていきました。

メルト君が何かをつぶやいたのですが、よく聞き取れませんでした。


バレていない気はしますが今度会うときが怖いですね。


「おねえちゃん。いまのひとだれ?」

「メルト君って言って一緒に冒険者をしてる人だよ。」

「そうなんだ。ふふっ。さっきあのひとのおかお、まっかだったよ」

「えっ、そうなの!」


私は気付きませんでしたが、メルトさんは体調が悪かったのかもしれません。

明日会えたら聞いてみましょう。



「メルトー。どこ行ったなのー?」


すると先ほどメルト君が武器を見ていた店の向かいの店からネイアちゃんが出てきました。


ネイアちゃんは周りをキョロキョロと見まわしていましたが、私と目が合うと近づいてきました。


「???お姉さん、どこかで会ったことがありませんかなの?」

「えーと。ふふ、あるかもしれませんね。お連れの男の子でしたらあちらのほうに走っていきましたよ。」

「そうなの?!なんでメルトはどこかに行っちゃうなの!お姉さん、ありがとうなの。」


ネイアちゃんはお礼を言うと、私が指さした方向に走って行きました。


「あのひともおねえちゃんのぼうけんしゃなかまだよね。」

「うん、そうだよ。」

「ふたりともたのしそうなひとたちだったね。」

「うん。メルト君もネイアちゃんも明るくて楽しくて、とっても大切な仲間なんだ。でも私はアルスが女の子だってまだ言えてなくて。私自身アルスとして二人と一緒にいるのが楽しくて、本当のことを言うと関係が変わりそうで少し怖いかな。」


大切なふたりに嘘をついている罪悪感と、秘密を明かすことの恐怖から、私は最近どうすべきなのか分からなくなっていました。


だから今日のような休日を望んでいたのかもしれません。


「そっかぁ。」

「ごめんね、ちょっと分かりにくかったよね。」


「ううん。おねえちゃんはふたりのことがだいすきだから、きらわれたくないんだよね。ジーナはおねえちゃんがいまのままでいたいなら、まだいわなくていいとおもう。でもおねえちゃんがかくしごとをしたくないとおもったときは、ほんとうのことをいわなくちゃだめだよ。」


「・・・うん、分かった。ありがとう、ジーナちゃん。」


私はジーナちゃんの言葉に疲れていた心が癒される気がします。


「よしよし。」


私はジーナちゃんに頭をなでられています。ジーナちゃんが凄すぎて、ジーナちゃんに抱き着いてしまいました。




それからは特に何事もなく、2人で服を売っている店に行ってお互いの服を選んだり、色々な物を見て、疲れたら果実水を買って休憩したりして過ごしました。


「きょうはたのしかったね。おねえちゃん。」

「うん。すごく楽しかった。帰ったらイリヤさんにもジーナちゃんのカッコ良かったところを教えてあげないと。」

「それははずかしいよー。」

そんな話をしながら、私とジーナちゃんは手をつないで帰りました。



―――――――――――――――――――



翌日、アリアはメルトの体調を心配するが首を傾げられ、メルトはアルス(アリア)に対し街でとても綺麗な女性に出会ったという話をするのだが、アリアはそれが自分のことだとは思いもしなかったのであった。



ジーナちゃんが凄すぎる(汗)。



この作品をお気に召していただけておりましたら、ブックマークや評価を付けていただけると嬉しいです。

よろしくお願いします。


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