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アリア 1-9 年下の2人


(アリア視点)


ギルドの訓練場内で走り込みを始めて3日が経ちます。


私は同じく養成訓練を受ける少年『メルト』さんと少女『ネイア』さんの2人とおしゃべりをする仲になりました。


「俺たちはオルティアの民っていう力を重んじる民族で、一族の掟で12歳になったら自立して生きてかないといけないんだ。」

「先月12歳になって冒険者登録したなの。そのときに養成訓練を受けるとギルマスのクライブさんと戦えるって聞いたなの。」

「はぁ、はぁ。そ、そうなんですね。」


メルトさんとネイアさんは私と並走しながら喋ってるのに全然息切れしていません。

それに同い年ぐらいだと思っていた2人が、私の3つ下だったとは驚きました。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・




私は途中で力尽きて、訓練場の隅で休憩しています。


おふたりはまだ走っていますね。

3日間走って少しは体力がついてきましたが、ふたりには全然かないません。

少し休憩したらまた走らないとですね。


私がそんなことを考えていると、クライブさんが訓練場に入ってきます。


立ち上がらないと。


「ふぅー、やっと仕事がひと段落したぜ。おうアルス、お疲れの様子だな。そのままもう少し休憩してていいぞ。」

「はい、すみません。」

「気にすんな。」


アリアが慌てて立ち上がろうとするが、クライブはそれを制止した。

アリアは再び座りなおす。


「おーい、メルト、ネイア、組み手すっからこっちに来い。」

「うっす。」「やったなの。」


クライブさんが呼びかけると、おふたりはうれしそうに走ってきます。


「よし、いつでもかかってこい。」

「「・・・シィッ」」


いつも通りクライブさんはふたりを同時に相手をするようです。


こちらは飄々とした感じですが、メルトさんとネイアさんは雰囲気が変わりましたね。

無機質な表情なのに熱気や気迫が伝わってくる感じがします。


メルトさんとネイアさんが走り出しました。

先ほどまでの走りと違ってかなり速いですね。


おふたりは左右から挟み込むつもりのようです。


あっ、クライブさんがメルトさんに向かって走っていきました。

そしてメルトさんと位置を入れ替えて!


なるほど。


挟み込まれる前に近づいて、入れ替わることでふたりがいる方向を同じにしたのですね。


メルトさんはどっしりと構えてクライブさんと打ち合っていますね。

ネイアさんは風のような速さで立体的に動き回って隙を探しています。


でもおふたりの攻撃は全く急所に届いていません。


あんなにゆっくり動いているのに、ほとんど腕や肘、肩や膝で弾いています。


ああっ!クライブさんがネイアさんの腕を掴んでしまいます。


ネイアさんも抵抗していますが、メルトさんに向かって投げられてしまいます。

というより人をあんな速度で投げられるものなのでしょうか。

私には魔法で身体強化してもできそうにありません。


投げられたネイアさんを受け止めたメルトさんもふっ飛んでしまいました。

メルトさんもネイアさんもダメージが大きいみたいです。


クライブさんがゆっくりと近づいて両拳をおふたりの顔に近づけて止めました。


「まあこんなもんだな。ふたりともすごくいいぞ。立ち回りは合格点だ。ただ俺を抑え込む技術が足りないな。俺に攻撃がすべてあしらわれている時点で、動きや攻撃に変化をつけなければいけなかった。だから簡単に腕を掴まれて投げられたんだ。」

「「はーい(なの)」」


クライブさんの評価を聞きつつも、ふたりは簡単にやられたことに不貞腐れているようです。


クライブさんはそんなふたりの頭をなでながらこちらを見ました。


「アルスがもし今の試合、ふたりと一緒に俺に挑むとしたらどうする?」


「そうですね・・。わた、僕は動きが遅いので、遠くからおふたりを身体強化の魔法で強化しようと思います。あと、おふたりがクライブさんを挟み込む際、それを防ぐためにクライブさんはメルトさんとの距離を詰め位置を入れ替えました。その時に僕は魔法でクライブさんを足止めできるかと。ネイアさんが投げられた際は風魔法で勢いを減衰させるか、クッションを作ってあげることなどできたかもしれません。」


「そうだな。だがもし俺がお前を狙ったらどうする?」


「魔法で自分を強化して逃げます。他にも魔法を使ってクライブさんの足止めをしながら。あとはおふたりに助けてもらいます。」


「うむ。よく試合を見て考えたようだな。だが、アルスが今言ったことを可能にするためには魔法の精度と詠唱の省略・破棄が必要不可欠だ。明日からは走り込みに魔法の練習を追加して、メルトとネイアと一緒に俺に挑んで来い。」


「分かりました。」



私とクライブさんの話を聞いていた、メルトさんとネイアさんは目を輝かせます。


「3人ならギルマスくらい楽勝だぜ。」

「アルス君と一緒なら、ギルマスを袋叩きなの。」


おふたりの言葉に、クライブさんは苦笑いです。


「うん。足を引っ張るかもしれないけどよろしくね。」


クライブさんと戦うのは不安ですが、メルトさんとネイアさんを見ていると少し楽しみになってきたのでした。


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