淫魔族最後の男の自己PR
本日はこれが二つ目の投稿です。
昨日見てくださった方いらっしゃいましたら、一つ戻ってお読みください。
しばらくしてから、ドアが開いて村長が戻って来た。
「おや、誰か来てるのかい、レミル?」
と、そう言いながら俺を見た村長は、軽く目を見開いて驚いたようだった。
「おや、知らない人だね、どなたかな?」
さて、ここから自己PRの時間だ。
「どうも、旅をしておりますエイルと申します」
まず自分から名乗る。つい先ほど習ったことをここで活かさない道理はない。
「これはこれはご丁寧に。私はここデューネ村の村長をしておりますテイルと申します。して、何用で此処に?」
なんだか、俺と名前が似てるな。ちょっとした親しみを感じる。
さて、ここからが舌の回しどころだ。
「この度はこの村にいくらか滞在させて頂きたく思いましてここにお邪魔し、テイルさんがいらっしゃるまでレミルさんにもてなしを受けておりました」
これだけでは何の意味もない。ここから有用性を示していかないといけない。
「勿論、ただでとは申しません。私自体そこそこの腕の覚えがありますし、簡単な魔術も使えます」
すいません騙してます。簡単、というか極めてます。そちらでいう「特級」どころじゃないです。ああ、騙している罪悪感が酷い……。しかしそんな事を言ってはとんでもない事になるし、まして信じてもらえるとも思えないから曖昧に言うしかない。これでも嘘は言っていない。「簡単な魔術が使える」としか言っていない。嘘ではない。その上も使えると言っていないだけだ。
「なので、一時的な用心棒とか肉を狩ってくる補助要員として使って頂きたく思います」
それを聞いた村長は考え込む。
「んー、確かに魅力的な提案ではあるのですが……」
おや、なかなか悪くない提案だと思ったのだが、なにか引っかかったのだろうか。
「この村は少し前から魔物が多く出ないのですよ。まあ、魔物でない動物も減ったのですが……それに、狩りの人員が不足しているということもないので、あなたが入ってもいささか過剰戦力と言わざるを得ません」
そうか。魔物はあまり出ないのか。姿を隠す魔法は自分の周りに包ませるように魔力を展開するので問題はなかったが、流石に魔力を薄く広げる魔力探知等は他の魔族に感づかれるだろうと今までせずにいたまま忘れていたから、ここらの魔物が少ないという事に気付かなかった。
しかしそれならそれでやりようがあるな。
「それなら、私が村の子供達に読み書きや計算を教えるのはどうでしょう? 村にも旅商人や他の商人が来るでしょうし、そうでなくても徴税官からさばを読まれる事もなくなります。読み書き計算ができるだけでも相当有利に生活ができると思いますよ」
さて、これならどうだ。
「おお、それは有難い。そうですな。それなら是非にお願いしたい。それと、万が一の時には頼らせて頂いても構いませんか?」
「ええ、その時は微力ながら力を尽くしましょう。まあ、魔物もいないのなら私が出る必要は……」
ん? でも魔物が一部地域に限定して出ないとか、そんなことがあるか?
何か嫌な予感がする。
「テイルさん、魔物がいなくなったその『最近』って、なにか原因があっていなくなったんですか? 領主の兵が最近ここで魔物狩りの演習してるとか、魔物討伐者が最近来てるとか」
「? いえ、そのようなことはないはずなのですが……」
となると、嫌な予感は当たっているかもしれない。
「すみません、ここら一帯を魔力探知してもいいですか? 嫌な予感がするので」
わざわざ言うのは何もやましいことが無いというアピールと、まずいことが起きていると知らせるため。
「? 嫌な予感、ですか。構いませんが……」
「有難う御座います。それでは」
早速自分の魔力質にした魔力を広げ、魔力探知を発動する。
そうしてすぐに、村の南東、木々の茂る森の深くの恐らく洞窟で、大量の魔物の魔力が引っかかる。
ついでにもう一つ、こちらはかなり良い情報が手に入ったが、今はそれはいい。可及的速やかに解決するべき問題はこっちだ。
「テイルさん」
伝えないといけない。
「魔物が群れてます。恐らく、群れのリーダーであろう強力な魔物が引き連れる形で」
評価とか、感想とか、レビューとか。
確かに嬉しいんですが、ここでお願いです。
感想については、「面白いな」と思ったなら感想は書かないでください。
逆に、「ここについてここが駄目だと思うけど、どうよ」というような感想頂けると、泣いて喜びます。
できればそれをきっかけに議論ができると最高なんですけれど、難しいかもですね。
まあ、そういう人がいてくれたら嬉しいなっと。
では、明日も一応二つ投稿して、そこからは一日に一つとか、体調を考慮して二日に一つでぼちぼちやっていこうと思います。